7話『パパン、あの人、悪い人かな?』
この人含めて、モブ2人だしたら、(今日思いついた)メインキャラ達書こう!
「はぁ…、どうしたもんか…」
男は、ほとほと困り果てていた。
パカラ、パカラとゆっくりと馬を歩かせているが、行先は分からない。
「…」
そして、そんな自分の行動が、誰かに見られているなんて想像もしていなかった。
「パパン、あの人、悪い人かな?」
『…』
「反応がない。屍のようだ。
いや、本物の屍だと笑いにならんな。まぁでも、パパンが返事をしないということは、典型的な山賊とかじゃなさそう。
こんな森の中にどうしたんだろうね?もしかして、この森、街に近いの?」
『…』
パパンが首を横に振る。
「違うのか〜。じゃあ、なんであのおじさん、ここに居るんだろうね?」
『…』
反応はない。
アオイに『おじさん』と呼ばれたのは、20代後半〜30代半ばくらいの小太りの男で、馬に乗っていて正確には分からないが、背は低い気がする。
今のアオイは、5歳なのでその辺の呼び方は躊躇しない。
「はぁ〜〜〜、、、」
深々と溜息を吐く男にアオイは、困ったように笑う。
「いざとなったら、連れて逃げてくれるパパン?」
『…』
「ありがとう!」
コクリと頷いてくれたので、満面の笑みをパパンに振りまいといて、アオイは、男に声をかけることにする。
「もしもし、おじさん」
「ん…、こ、子供の声!?!?」
「おじさーん!こっちこっち!!幽霊じゃないよ!」
びくりと肩を震わせた男にアオイは、言葉を続ける。
「ん?んん!人だ!!」
パパンを見つけた男は、嬉しそうな声を上げる。
「そうそう、人、人!パパンは、恥ずかしがり屋だから、私にも気付いて!」
「おっ、おお!!そんな所に!気付かなくてすまんかったね!」
「いいよ、おじさん。馬の上だしね!私、まだ小さいから!」
丈の長い草むらに身長が足りず、隠れるように立っていたアオイは、ぴょんぴょん飛んで自己主張する。
「でも、どうしてこんなところに人が?」
「ママンとパパンの事情!それより、おじさんこそ、何でこんな所に居るの?」
「私は、商人をしているんだが、街から街へと行く間で数十人の山賊に襲われてしまってね…。どうにもこうにもならずに、荷物を囮に命からがら逃げてきたんだ…。
それでも数名の山賊に追いかけられて、山道に逃げ込んで撒いてるうちに迷ってしまったんだ…」
「おじさん、迷子なんだね!」
「う゛ッ!」
アオイの無邪気な言葉に、馬の上で男は器用に胸を押さえてみせた。
「ま、まあ、だから、街道へと戻りたいんだ」
「なるほどね!パパン、お道知ってる?」
『…』
「知ってるって!良かったね!おじさん!」
自分の言葉にこくんと頷いたパパンを確認したアオイは、にぱっと男に笑いかけた。