5話『5歳になった』
次の次くらいには、新キャラ出した〜い!!
5歳になった。
「やったー!!キッチンだー!!」
必死に貯めたお金でついにキッチンを手に入れたアオイは、歓喜した。
「よし!次は、武器を手に入れて、散歩行けるようにしよう!!」
基本的に家事が好きではないアオイは、食器洗い乾燥機付きを目標にしてたので、割高になってしまったのだ。
キッチンは、謎機能で使えた。
ガスや水道は??と思ったが、便利だったので、アオイは、深く考えることをやめた。
「神様ってすごい!」
これは、魔法の言葉である。異論は認めない。byアオイ。
「パパン、今日もお願いね!」
『…』
今日も返事がない。当然である。死体だから。
「とりあえず、短刀とかかな?あとは、鉄とか鋼とかは重そうだし、皮の鎧だね!…ん〜、そこそこ値段する…」
短刀で、安いと1万くらい、高いと数百万。
皮の鎧も安いと3万くらいで、高いと数十万
「あんまり安過ぎると品質に不安だなぁ〜、パパンオススメある?」
『…』
そう無言のパパン相手に独り言を言いつつスクロールしてると、パパンが一つの武器を指さした。
「え?これ?てか、意思の疎通可能なの??」
初めての意思の疎通に思わず、そっちの方に突っ込む。
「てか、うおあ…、50万するよ…。今、キッチンですっからかんになったばっかりなのに…。でも、身を守るものだから妥協は出来ないか…。
皮の鎧はどれがいいかな?パパン」
そう言いながら次は、皮の鎧をスクロールする。
日本には本来ない品揃えじゃない??とは言ってはいけない。
「まっ、異世界まで込みの超巨大ショッピングモールだからね。日本限定じゃないのがありがたいよね!」
『…』
「あ、これ?30万するよ、パパン…。パパン、頑張って稼いで来て…」
死んだパパンにおんぶに抱っこで申し訳ないな…、とちょっと思ったアオイだったが、自分が5歳だと思い出したので考え直した。
「私、本来パパンとママンに守られながらぬくぬく生きてる年では??サバイバル生活してるんだけど??
くっ、森生活は10歳からって言っときゃ良かった…!!」
まあ、後悔しても後の祭り後の祭り。
と、言うわけで切り替える。
「まあ、日向ぼっこは出来てるし、急ぐ必要はないかな」
日用品やトイレ、冷蔵庫、洗濯乾燥機やお風呂、クーラーと次々と大物家電を買い、照明や炊飯器や電気ポット、お掃除ロボットなんかの細々した家電も買ったので、もう大きな出費は、武器と防具で完結する予定であるし、引きこもり気質のアオイにとって、ビタミンD形成の日光浴が出来れば、2年程度の洞窟生活は、生活水準は上がってるし、娯楽のネットサーフィンがあるので、対して気にならないレベルだった。
「それでも、いい加減、パパンとママンを埋葬してあげたいし、死体探ししないとな〜」
そう、パパンの殺した動物やモンスターでもいいが、それだと全部、パパンよりも弱い生き物になるので、ちょっと強さが不安なのだ。
だが、『強そうな死体を持って帰ってきて』という指定は、生前やっていなかったので、オート不可。
1度させれば出来るようになるので、人間よりかなり有能。
(ママンも速攻で家事覚えてくれたし、パパンも1回死体回収させたら、やってくれるだろうし、急がなくても、確実に外には出ないとね)
正直、ママンが家事が苦手だったのか、壊滅的だったのかパパンが過保護でさせなかったのかは不明だが、少なくとも動画を見せたら完コピしてたので、生身の人間よりも絶対に有能だと思われる。
少なくともそんなに有能じゃなかった気がする。
幼児期健忘してるからもうほぼほぼ記憶にないけど。
「パパンが週5で1日3万稼いで来てくれるから、長くても1ヶ月半〜2ヶ月すれば買える計算かな」
途中で面白い漫画見つけて衝動買いしないように気を付けよう…、と自分の悪癖を思い出しつつ、アオイは内心自分に喝を入れておく。
「まっ、1年以内には買えるでしょう。
ああ!!家賃も光熱費もかからないなんて幸せ…!!
あっちじゃ、80万の貯金なんて、夢のまた夢だったのに…!!
小さいからエンゲル係数も低い!!」
一応言っておくと、アオイも前世では貯金はしていた。
ただ、貯金が定期的にアパートの更新費と帰省代に消えて、全くもって貯まらなかっただけで。
エンゲル係数も、『食べても太らない!』は女子の憧れだが、『1人前3食だと体重が減る』は普通にエンゲル係数を打撃してくる。
1日5食か、2人前3食か、1人前3食+お菓子を選ばないといけない。
嵩張るエンゲル係数、下げると減る体重と疲れやすく集中力のなくなる身体、おかげで服やメイク用品、美容室代などの贅沢品を泣く泣く削って食費に当てる日々。
美容よりも食を優先するせいで、女子力が足りないと言われる現実。
『文句があるなら金寄こせ!!』何度心で願ったことか…。
「ビバ!!異世界!!!!」
今日もアオイは、異世界の有難みを噛み締める。