3話『まさかのオートモード!?!?』
「さて、生き残る為にも、まず、パパンにお金になるもの狩ってきてもらおう!」
アオイがそう宣言すると頷いたパパンが動き出す。
「え?嘘でしょ!?まさかのオートモード!?!?」
驚くアオイを置いて、パパンが家代わりの洞窟から出て行く。
出入りは、多分、パパンが置いたのだろう岩で小さくされ、パパンが匍匐前進でギリギリ出れるサイズにされ、かつ、丸太で閉じられている。
超原始的。
多分、パパンにもママンにも建築知識や技術がなかったのと、ここが大きなモンスターの跋扈する世界だから、小屋みたいな家は危険だからだと思う。
「じゃあ、ママンはどうしよっか?ママンも狩りに出る?」
『…』
「あれ?」
とりあえず、パパンと同じように話しかけたが、ママンは、うんともすんとも言わないので、アオイは首を傾げる。
「前に歩いて」
『…』
次はちゃんと前に歩く。
「後ろに下がって」
また、動く。
「狩りは?」
うんともすんとも動かない。
「て、テカシー」
『…』
「あれ?こんな名前じゃなかったけ?あの、貴族令嬢のお辞儀」
『カーテシーですか?』
「ありがとう!神スマホ。ママン、カーテシーして!」
『…』
「おお!!」
綺麗なカーテシーを行ったママンに、アオイは感激の声を上げる。
ついでに、神様がくれたスマホは、使い勝手が良過ぎたので、神スマホを呼んでいる。
必要なら、呼び出さなくても自動対応AI機能付きは神過ぎる…!!とは、アオイ談である。
「なるほどね。生前に出来た動きは、オート可能で、出来てないのは自分で細かく指示しないといけないのか。
というか、カーテシーを当然に出来るママン完全に貴族出身。
外の世界に出るとより厄介そうだから引きこもろう!」
そう、心に堅く誓いつつ、さてと、と見るママン。
「正直使えねぇ…、おぅふ!」
そう言った瞬間、頭をナニカが通った気がした。
「パパンに怒られた!!」
あの素晴らしい風速は、ママンじゃない!とアオイは、確信してる。
ついでにママンは、さめざめと泣くタイプである。
「ごめんて、ママン、パパン。あっ!それなら、ママンには、教養を教えてもらおう!パパン帰ってくるまで暇だし、勉強教えて!はい!」
とりあえず、その辺にあった木の枝をママンに渡す。
すでに姿も気配も感じない両親だが、それでもふとした時に感じれたことにアオイは、ホッとする。
(余計なことは言えなくてなったけどね!)