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理解

 貴大の生き恥回はっじまぁるよぉ〜(ゲス顔)


 先に言わせてください。



 強く、強く生きろよ。貴大。


 では、お楽しみくださいませ。

 結局お昼頃まで貴大は謝り続け、疲労困憊な頭を抱えて、昼食を取っている。いや、正確には取っていたである。貴大は既に完食し、自室へ戻ろうとしたのだが、向かいには母、隣には妹の菜々が座っており、生暖かい視線を貴大に集めている。あたかもダイニングからの脱出を妨げるように。無言のその瞳は語っていた。『ユーカちゃんとは、本当にただの知り合いか?』と。


 それはそうだろう、先日まで特に電話などを頻繁にしていない、むしろ皆無だったにも関わらず、やけに頻繁に通話しているのだ。そして、なにより、その電話は向こうから掛かって来ているのだ。


 冷たい汗を背中に流しながら、その視線を置き去りにしようと、席を立とうとした貴大は逃げられなかった。


「ねぇ、おにぃ。ユーカちゃんの声可愛いよね?」


「……あ、あぁ、そうだね」


 あまりに普通に切り込まれて、動揺したが、なんとか同意をして席を再度立とうとしたところで、これまた失敗する。


「ねぇ、貴大。ユーカちゃんの下着は可愛かった?」


 昨夜のビデオ通話により、スピーカーで流れていた会話を拾われたらしい。そう察した貴大は流れる汗をそのままに、曖昧な答えをなんとか捻り出す。


「……さぁ、良くは観てなかったから。どうだろう」


「「ギルティ!」」


 二人の息を合わせた判決が下される。


「待って、あれは僕が望んだ事じゃ――」


「そうね、貴大。あれは、()()()()自分の意思でユーカちゃんがそうしたように聴こえたわ」


「母さん、明らかな悪意をかんじるんだけど」


「おにぃ。あんな可愛い声の子に何したの?」


「待て、何もしてない。お前の兄はそんな鬼畜じゃないからな?」


「鬼畜調教、恥じらいに濡れる乙女」


 ボソリと呟く母静江に、瞬時に顔を向ける貴大の顔にはびっしりと脂汗が滲んでいた。その引き攣った顔には有り有りと、こう書かれている。『なぜその本のタイトルを』と。


「まさか、あんな可愛い子に、そんな事までしてるなんて。お母さん悲しいわ」


「おにぃ、最低」


 まさか、中学時代近所の公園で拾ったアイテムがここまで自身の首を絞めるとは思いもよらなかった。そう、内心で後悔し、しかし、貴大は諦めなかった。最後はみんな笑ってハッピーエンド、そこを目指す事を。


「違う、アレはそう。事故だ」


「お風呂、見たいですって言ってたのに?」


 すかさず切り返した菜々に貴大は遠い目をして、おもいだす。


 そう言えば、昨夜のアレはエルフの子、ファリスとユーカが出会った時からビデオ通話になっていたな、と。


 そして、そんな遠い目をしている貴大に止めが刺される。異世界間弾道ミサイルとでも言える、戦術級兵器、スマホ着信である。


「………………」


「ねぇ貴大」


「………………」


「でないの? おにぃ」


 着信音でそれが、ビデオ通話だと判っている貴大は、テーブルの上で伏せられたまま、着信音と振動を続けるスマホから目を背け、さらに遠くを見つめる。


 それが、いけなかった。痺れを切らした菜々は即座にテーブルからスマホを手にとり、通話をタップした。母である静江もまた行動は早かった。画面が見える位置、つまりは貴大と菜々の間に体を割り込ませスマホを見いる。


「もしもし?」


『ふぁっ……たか、ひろじゃない?』


 画面に映されたのは、淡い金色の髪を靡かせる碧眼の少女であった。それは、二人の想像を超えた容姿であり、紛れもない絶世の美少女。もしくは、傾国の美少女とすら言い切れるほどの。だから、二人は気づかなかった。正確には目に入らなかったのだ、街中を歩いているだろうユーカに釘付けで、周りの景色の異変に。


 アスファルトではなく、石畳、並ぶ家屋は木と煉瓦の壁を持ち、ガラス窓などが存在しない木窓、すれ違う人の衣服はどれも地味で、帯剣ないしは武器を持っている人、さらには時折馬車が過ぎる事に。

 

 そして、ビデオ通話にも関わらず、手ぶらで会話をしている事に。カメラがぶれない事に。


「えっと、はじめまして菜々って言います。おにぃは今遠くに旅立ってるから代わりに出ました。って、ユーカさんって外国の人だったの? 金髪きれー、瞳も大きくて、蒼くてきれー、いいなぁー」


『え、えっ、あ、あの、はじめまして? そのありがとう』


「ね、ね、ユーカさんなんで、おにぃなんかとビデオ通話してるの? 弱み握られてるの? もしそうなら潰すから言ってね?」


「そうよ、ユーカちゃん。貴大になにかされてるなら相談してね? もしかして、裸な画像とか握られてたりする?」


『い、いえ、その、貴大は、貴大くんには特に何も――』


「「うそね」」


『い、いえ、嘘ではなく。貴大くんには良くしていただいてます。むしろ困った時に助けてもらってばかりで』

 

「で、そのお礼にえっちな要求されてる、と?」


『い、いえ、それは、その。貴大くんが喜んでくれる、かなぁって』


「お母さん」


「菜々」


「「なにこの子、超可愛いんですけど!!」」


 こうして、貴大が現実復帰を果たすまで、ビデオ通話に花を咲かせていた。現実世界へと帰還した貴大に待っていたのは、それはもういい笑顔の母静江と、ジト目をした妹菜々の生暖かい空気を纏ったいたたまれない空間だった。


 それなりに会話し、貴大の冤罪は解けていたが、()()()解けているというわけではなかった。

 いやぁ、やっぱり、こうなりましたね。


 えぇ、スキル熟成回の予定でしたが、前振りすら出来ず、ここまで文章伸びちゃったので諦めました。


 次はちゃんと、スキル熟成回です。(たぶん)

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