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第8話:クイズ番組出場

五月十五日、とあるクイズ本が発売された。

「このクイズ本、おもしろそうだね。ぼくは買ってみるよ。」

「ぼくは、かわないね。クイズの本を買うより、問題集を買うほうが、お金の有効活用ができるよ。」

「おれは買うさ。ホーリーは、なんでもかんでも理屈にくっつけすぎだ。子供は、遊ばなければいけないんだぜ。ユーコーカツヨウだなんて難しいこと言ってないで、ホーリーも買えよ。」

「残念ながら、ぼくは買う気は全くないよ。何を言われても、買わないからね。」


シンベエとぶーちゃんは家に帰ると、さっそく本屋さんへ行き、クイズ本を買った。そして、家に戻ると、早速読み始めた。

クイズ本の内容は、このようなものだった。

「五月十五日は、太陰暦だと何月何日?」

「『いいえ』と書かれた紙がある。これを『はい』にするためには、どうすればいい?」

「沖縄県で、太陽の高さが一番高い時は何時?」

「火星が地球に接近するのは何年おき?」

「うるう年に生まれた人が、普通の年で93歳の時、実際には何回誕生日をむかえた?」

「アメリカ人が日本に来てびっくりしたことはなに?」

「世界一大きい岩は、実は地球のへそではない。実際の世界一大きい岩の名前は?」

意外なことに、なぞなぞだけではなく普通の問題まであった。


シンベエは、一瞬にして読んでしまったので気づかなかったが、ぶーちゃんは一番後ろのページにある紙に気づいていた。

その紙には、こうかかれていた。

「きみもクイズ番組に出演しよう!ここに名前と住所、電話番号を書いて、出版社におくってね。応募した人の中から抽選で決められた人が、クイズ番組に出場できるよ!」

ぶーちゃんは若干興奮ぎみに、母親にこの紙を見せた。

「母さん、これに応募したい。」

「あら、いいわよ。自分で出してきなさい。」

「うん、だけどぼくは住所と電話番号がわからないから、そこは母さんが書いて。」

「住所と電話番号くらい、覚えておきなさいよ・・・」

母さんは、ため息まじりに紙に自分の住所と電話番号を書いた。ぶーちゃんは母親が書き終わったのを確認してから、ひったくるように紙をとって、走って玄関を出ていった。


五月二十日。この前おくった紙が、かえってきた。

「おめでとうございます!あなたは、クイズ番組に出演することができます。五月二十二日に、ここに来てね。」

この文字の下に、西京県の中心部である新端市の住所がかかれていた。

「母さん!やったよ!」

「ん?何がやったの?」

「この前おくった手紙が、かえってきたんだよ。そいでね、クイズ番組に出演できます、って書いてあったよ。」

「まあ。じゃあ反吉は、クイズ番組に出演することになるの?」

「うん!」

ぶーちゃんは笑顔でうなずいた。


ぶーちゃんは、学校でさっそくシンベエとホーリーにそのことを話した。

「へえ、クイズ番組に出演かあ。頑張ってきてね。」

「くっそお!おれも、その紙があるってことに気づいてれば、クイズ番組に出演できたかもしれないのに。」

シンベエが、くやしそうに言った。


五月二十二日、ぶーちゃんとその母親、そして姉さんは、中央線に乗って新端市へと向かった。

新端駅のすぐ近くにある大きなビルの十五階に、そのテレビ局はある。三人はエレベーターで十五階へ行った。

テレビ局につくと、ぶーちゃんはクイズ番組の詳細を教えられた。

「クイズは、全部で二十問あります。全問正解すれば、十万円の賞金がもらえるので、頑張ってね。だけれど、もしズルをしたら、賞金はとりけしになります。ちなみに、生放送なので、きみがクイズをやっている間、テレビの前の皆さんにリアルタイムで見てもらえることになります。」

そして、放送の時間が来た。ぶーちゃんは、たくさんのふしぎな形をしたいすのうちの一つに、座らされた。

そして、司会者がかん高い声で言った。

「さーて、今年もやってきました小学生クイズ!今日は、二十人のみなさんに来てもらってます。左上から、佐藤浩二くん、井畑亮介くん・・・」

司会者が二十人全員の名前を言うと、もう一人の人が言った。

「さて、さっそくですがクイズです!制限時間は三十秒です。問題一!クモの体は、いくつの部分で構成されている?」

二十人は、えんぴつの形をしたもので、目の前の画面に答えを書いた。

「正解は、二つです。」

ここで二人が不正解でリタイア、残り人数は十八人となった。

「問題二!制限時間は十五秒!68592ばいの牛乳と321658ばいのお茶を比であらわすと、どうなる?」

勉強の問題が出た。いくつかの子供が、首をかしげている。

「正解は、68592:321658でーす!」

この問題で、三人がリタイアした。これで、残り人数は十五人だ。

「問題三!レモンが酸っぱい理由は?制限時間は、四十秒です!」

やはり、何人かの子供が首をかしげている。少し、難しいようだ。

「正解は、酸があるからです!」

ここで、五人もの子供がリタイアをした。残り人数は、十人しかいない。

「問題四!グリーグのピアノ協奏曲は、何調?制限時間は、一分です。」

ここで、えらく難しい問題が出た。

「正解は、イ短調です!おーっと、リアイアせずに残ったのは、あと一人!中田反吉くんだあー!」

なんと、ぶーちゃんだけが、リタイアしなかった。

「問題五!フェラーリは、どこの国の会社?制限時間は、十秒です。」

ぶーちゃんは、半泣きの表情で答えをかく。わからないのだろうか。

「正解は、ドイツです!ここで、全員がリタイア!小学生クイズは、終了です!」

ここで、カメラはうつすのをやめたようだ。

「中田君、惜しかったですね。頑張ったで賞として、一万円をプレゼントします!」

司会者が言った。

遠くからこのようすを見ていたぶーちゃんの母親と姉さんは、とても喜んでいた。


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