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第14話:自然体験学習 その3

朝おきると、またもやあのまずい朝食を食べさせられた。

今日は、もう何のイベントもない。バスで、今治小学校に戻るだけだ。

それまでの間、生徒たちはセンターの体育館でバスケットボールをするか、湖で遊ぶか、どちらかをするように指示された。本当に、自然を体験する行事なのか気になるところだ。

シンベエは、ぶーちゃんを連れてバスケットボールをしにいった。

だが、ホーリーはどちらへも行かずに問題集をやっている。

「えーと・・・正の数は・・・加法と減法・・・微分は・・・積分・・・」

ホーリーは、独り言のように勉強のことを口ずさみながら、問題集をやっている。

このようなお泊まりイベントにも問題集を持っていくところを見ると、勉強好きでさぞかし成績もよさそうだが、ホーリーの成績はかんばしくない。


帰りのバスの中では、ゲームは行われなかった。約五分の四ほどの生徒は、寝てしまっているからだ。


二時間ほどバスにゆられていると、今治小学校へ到着した。

今回は、「おわりのことば」なることが行われるらしい。

「ええ、われわれ、五年生の生徒、149人は、大きな怪我もなく、帰ってまいり・・フフッ、帰ってまいりました。」

やはり、変な喋り方になっている。

「今日まで自然体験学習でしたが、明日も学校はあります。元気に登校するように。それでは、解散!」

なんと、学校は明日もあるようだ。一日くらい、休ませてもらってもいいのではないだろうか。


五年の生徒たちは、家に帰ると親に自然体験学習であったことなどを話した。

「へえ、お前バスに乗り遅れたのかい。それで、どうしたんだい?」

「いや、乗せてもらったんだよ。バスをとめてくれて。」

「まあ、あんた他のひとに迷惑かけすぎでしょ。」

「てへへ。ごめんなさーい。でも、勝手に出ていくバスもわるいんだぜ。」


その日の夜、寝る時間に、シンベエは目をつむりながらこんなことを考えていた。

「なんだかんだいって、みんなと泊まるのは楽しかったなあ。また、行ってみたいぜ。」

カヌーのときや、食事のとき、あんなに文句を垂れ流していたにも関わらず、家に帰るとそんなこともすっかり忘れてしまったようである。

こんな話こそが、真の「生活をえがいた物語」かもしれないですね。

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