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第11話:パラレルワールド

今日の四時間目は、音楽。五年一組の生徒たちは、さまざまな楽譜を持って音楽室へ行く。

チャイムがなり、音楽の時間が終わった。

シンベエは、ホーリー、ぶーちゃんと一緒にお喋りしながら音楽室をあとにしようとしたとき、鏡にぶつかってしまった・・・ような気がした。

ぶつかる瞬間、ブラックアウトし、何秒かたつと、鏡と反対の方向を向いていた。

「・・・?」

「何してんの、シンベエちゃん。さっさと戻ろうよ。ね?戻ろう。戻ろうよ。戻ろうね。」

「あ、ああ・・・。」


放課後。

「帰りのあいさつをしましょう。さようなら。」

「さようなら。」

「うーん・・・。どうもおっかしいなあ・・・。」

「何が?何が?何がおかしいの?ねえ、何がおかしいの?」

「あ、うん。音楽の時間、鏡にぶつかった気がするんだけど・・・。」

「シンベエくんは、鏡になんかぶつかってないよ。きっと、気のせいだよ。気のせい。気のせいだって。気のせいに決まってるさ。そう。きっと気のせい。絶対、気のせい。気のせいだ。気のせいだよ。」

「ホーリー、同じこと何回も言わなくてもわかるぜ。」

「え?何が?何のこと?何のこと?何のこと?何のことなの?」

どうもみんなのようすがおかしい。同じことばを何度もくりかえしている。


「シンベエちゃん、ばいばい。さようなら。さようなら。ばいばい。」

「シンベエくん、また明日ね。また明日。また明日。またね。」

「お、おう・・・。」


「あら、お帰りシンベエ。シンベエ。お帰りシンベエ。お帰り。」

「・・・。」

母親までどこかおかしい。どうも、あの鏡にぶつかって(?)からおかしなことになっているようだ。

明日、もう一度あの鏡にぶつかってみよう。シンベエは、そう考えながら、自分の部屋へ行った。


次の日、休み時間にこっそり音楽室に入り、鏡のある場所を見てみた。だが、鏡がない。そっくりそのままなくなっているのだ。

シンベエは、念のため鏡のあった場所にぶつかってみた。だが、何もおきない。

シンベエは、深くため息をついた。


その次の日。今日は、音楽がある。音楽室へ行ってみると、鏡があった。

シンベエは、その鏡にぶつかってみた。だが、何もおきなかった。

このままではまずい。なんとかしなければ。

音楽の授業が終わってから、もう一度鏡にぶつかってみた。だが、やはり何もおきない。

シンベエは、三回ほどぶつかっているうちにだんだん面倒くさくなってきて、ぶつかるのをやめた。


おかしなことになってから丁度一週間がたった。今日は四時間目に、音楽の時間がある。

音楽が終わったとき、鏡にぐうぜんぶつかった。だが、痛みを感じない。いつのまにか、鏡の逆方向を向いていた。

「シンベエちゃん。何してるの?早く教室へ戻ろうよ。」

「おお!戻ったぜ!」

それにしても、昨日までのあの異変はなんだったんだろう。シンベエは、謎に思いながらも喜んで教室へ戻っていった。

短いですが、読んでいただきありがとうございました。

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