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異世界にて恋を紡ぐ  作者: 繪人
2/8

おはようございまーす!

stranger on line 略してsoi。

このゲームはタイトルそのまんまゲーム世界『アナザー』にて異邦人となり暮らしていくというゲームである。

モンスターを狩ったり武器を作ったり、釣りをする、農作業をする、はたまたお店でアルバイトする等非常に多種多様な選択肢がある。

そのせいで初心者が[何をすればいいのかわからない]となるのもままあるのだが。



そんな世界で私こと『恵子』は本名からもじった『ケイン』という名を自身の相棒たる青年アバターに付けて活動していた。

肝心の相棒の容姿は、光を当てると青がかる銀髪にアシンメトリーのショートカット、眼はアメジストのような紫で少しつり目の少年から青年に変わったばかりの独特の色気を放つ体つきで学年に一人はいるかな?程度の綺麗な顔にキャラメイクした。

いやはや、アバターを作る時に細すぎず、太すぎず、けれど体を鍛えてない訳ではないこの絶妙なボディバランスを考えるのは苦労したものだ。



午後2時‐始まりの街シングル‐

さて、そんな『僕』だけどリリースから数ヶ月過ぎた今でも初期リスポーン地点のシングルという街にいた。

というのも僕はリリース当初、プレイヤーたちがごった返しているスポーン地点の広場にて悪質な勧誘をされていた。

そんな時助けてくれたのがこの街の自警団『セーフティ』に所属していた『カイン』さんだった。

何の目的もなくはじめたゲームだったけど、度の過ぎた勧誘をバシッと取り締まってくれたカインさんに一目惚れした僕は立派なゲーム廃人になっていた。

そして一目惚れした勢いで、自警団に所属してもらえるように頼みに頼みこみその熱意が認められプレイヤー初の自警団員となっていたためだ。



自警団セーフティの仕事はこの領地の騎士団の手の回らない事をサポートすることを主にしている。

といっても、騎士団の巡回経路にない場所を巡回して犯罪発生率を下げたり、グレーゾーンで騎士団が乗り込めない事件の調査、プレイヤー同士のもめ事の仲介·処罰(プレイヤーと住人のもめ事は騎士団の管轄)等をしているため馬鹿にはできない。

そんな自警団の団長をしているのがカインさんだった。



カインさんは史上最年少26歳で団長を務めあげているにも関わらず謙虚で人柄もよく街の人々にも慕われている。

そしてカインさんはかなり格好いい。

紺色の短髪に切れ長の金色の眼、鍛えているためか体はがっしりしているが見苦しくない程度のマッチョ、さらには何等身?って聞きたくなるくらいの背の高さと足の長さ。

ドストライクです。ありがとうございます!



それとお気づきの方もいるかと思うがカインさんと僕の名前は非常に似ている。

自己紹介したときにカインと名乗られ、あれ?惚れた人と名前がめちゃくちゃ似てる!?名前もうちょっと女の子っぽい響きにすれば良かったー!と後悔したが逆に名前が似てるおかげで覚えてもらえ、団員になった今でも私生活を気にかけてもらっている。



気にかけてもらっているのは勿論、僕はゲーム廃人なので寝食はとっているのか?とかそんな色気のないこと。

それは今は男のアバターだし仕方のないことだ、と思うことにしている。

そりゃ女の子のアバターに作り直して意識して貰おうとか思わなくもなかったが、今のカインさんとの絆は男の『ケイン』として築き上げたものなので断念せざるを得なかった…。


そんなとりとめもない事を考えていると自警団の建物が見えてきた。

自警団の建物というと無骨なイメージをするだろうが全くもってそんなことはない、見た目だけならまるでカフェの様なおしゃれな建物だ。


「はぁ……」


一度ため息を吐き、気持ちを切り替えドアを開ける。



‐‐‐チリィーン‐‐‐



ドアに取り付けられたベルが鳴る。


「おはようございまーす!ケイン、出勤しました!!」


自警団は勤務時間帯の関係でバラバラになる挨拶を統一するため[おはようございます]にしている。


「おー。おはよーさん。今日もケインは元気だなぁ。」


一番手前に座っていた中年の男性が答える。

この人はガードナーさん。

今年4歳になる娘さんをもつ親バカ…もとい子煩悩な気のいい方だ。

また、槍の腕は自警団内に右に出る者のいないベテランでもある。


「あ、おはようございます。ガードナーさん。元気だなって…自警団の仕事は元気じゃないと出来ないですよ?」


「そうなんだがなー…。年を取るとそんな元気で出ねえんだわ。足腰も悪くなってくるし。若いって良いねぇ」


「じじくさい事言わないで下さいよ。そこまで歳いってないでしょうに。あと、そんな風に言っても倉庫の掃除当番は代わりませんからね?」


「チッばれたか。あわよくば代わって貰おうと思ったのによー」


「ばれたか、じゃありませんよ。その手には何回ものりません!」


この人はサボり癖があるのがたまに傷だ。まったく…。


「あ、そうそう。ケイン。団長から出勤したら顔見せるようにって言付けだ。お前なんかしたのかー?」


「えっ?それ早く言って下さいよー!!それと、僕じゃないですよ‼多分異邦人のイベントの件だと思います。数日後に大きなイベントがあるので…。」


「げぇ。マジか…。異邦人は祭好きで面倒くせぇな。警備をするこっちの身にもなって欲しいもんだ。」


「否定はできないですね。それは同じ異邦人としてご迷惑をおかけしますとしか…。異邦人同士でもマナーの呼び掛けはしてるんですがなかなか。」


「そりぁ仕方ねぇだろ。異邦人つっても色々な人種がいるし、こっちの住人も皆同じだと思ってねえよ。」


「そう言って貰えると嬉しいです。っと、そろそろ僕団長のところ行きますね。」


「おー。引き留めて悪かったな。今日の夕方の巡回は俺とペアだからな。んじゃ、ケインまた後で」


「はい!」


ふぅ。ついつい長話してしまった。

それにしてもマナーのなってないプレイヤーが問題になりつつあるな…。

一応掲示板とかでマナーの注意をしているんだけど、読まない人は読まないしな。

団長に相談してみるか。


「はぁ。」


コンコンコンッ


「団長!ケインです。お話があるとの事で伺いました‼」


「……入れ。」

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