格納庫
「おい、起きろ、こっちの世界に来たぞ。」
「え?あぁはいはい。」
あれ?いつの間にベッドに寝てたんだ?俺は異世界に来たのか。家とは違う部屋だし。
「まぁ顔洗ってこいや。ここまで引きずってきたから汚れてるぞ。」
引きずってきたのか、何て酷いんだ。俺はウィクロスに案内されて洗面所に来た。
「は!?何これ!」
鏡の前には俺と同じ位置に灰色の人狼が立っている。見間違えか?
いや、違う。肌を触った感じもフサフサだ。じゃあ....
「驚いたか。まぁそうだろうな。」
「これってどういう.....」
「あぁ説明してなかったな。こっちの世界に相棒として来た人間は手を組んだ獣人と同じ種族の姿になるんだ。」
「えぇっ!?ちゃんと元の姿に戻れるの!?」
「あぁ、ちゃんと人間界に戻れば姿も戻るから安心しろ。」
「マジで!?よかった~。」
いや~安心しました。ちゃんと家に帰れる。
「じゃあ俺ん家を案内すっから」
ウィクロスは着いてこい。という風に手招きした。
「ここが格納庫(俺の部屋)だ。んで、隣がタクトの格納庫(部屋)だ。まぁ自由に使ってくれ。」
うん、待てよ?今格納庫って書いて俺の部屋っていった?
「まぁ今お前が使うのは俺の部屋の物だけどな。そのうち自分のも買えよ。」
「ここ格納庫じゃないの?」
「あーうん。」
と、適当な返事をしてブルーシートが掛かっているもの大きな物に近付いた。そして剥がした。そこには....
二機の飛行機があった。勿論旅客機ではない。
一方は双発、もう一方は単発だった。*
※双発とは、二つエンジンが付いた飛行機、単発は一つのエンジンが付いた飛行機です。
「え?これって....」
「あぁ、気付いたか。まぁ気付かないはずも無いよな。そう。ゼロだ。」
単発の方は広く知られた名機、零戦。正式名称、零式艦上戦闘機だった。
「人間界で不時着したものを熱帯のジャングル内で発見してな。状態は酷かったが直せるレベルだったからそのままこっちに持ってきた。」
「出来んのそんなこと!?」
「え、人間界でも当たり前の事じゃないのか?」
「普通じゃないから!」
「.......人間界ってホント不便だなぁ~」
ウィクロスは自分の首本をポリポリしながらそう呟いた。
「あ、それで双発なんだが、こっちはBf110がベースの双発戦闘機だ。これは俺が操縦手、タクトが銃手だ。零戦の方は、俺が操縦教えるからタクトが乗れ。」
え、操縦って?
「免許ないけど?」
「はぁ?免許?そんなもんこの世界じゃいらねぇよ。」
要らないって....この世界は航空機の事故多発じゃね?
「え、じゃあ墜落する....」
「一応自動操縦の設定が義務化されてっから万が一やらかしても大丈夫だ」
自動操縦が義務化·····良かった...
あ、そういえばこの世界は俺がいた世界とほぼほぼ同じ進み方をした文明だ。
なんて安心していると格納庫の奥から
「おっ、ウィクロス!お前新しい相棒作ったみたいだな!大事にしろよ!」
格納庫の奥から作業着を着た人狼が出てきてそう言った。
······次回コイツです。
ついに評価ゼロだぜ!