冒険は次の舞台へ! 2
違和感ありましたら、控えめな指摘でお願いします……。
新マップへの道が開かれた翌日の午前中。
私たち【夢の涙】の面々とゲスト参加のミヤは、新エリアの街 《ザーバン》に来ています。
この街はなんと海中都市となっており、街の周囲には海のフィールドが広がっています。NPCの方々が教えてくれた事なのですが、周囲のフィールドを進むと幾つかの小島やら大きめの島、群島などが存在し、そこに封じられたボスモンスター達を倒すと封印の宝玉各種が手に入る。
その宝玉を街の西にある《封印の遺跡》に一人当たり30個程捧げる事で次のエリアに進む道が開かれるとのことでした。ちなみにリアル時間で一日に捧げる事ができる封印の球の数は1個まで。最低1ヶ月はこのエリアに缶詰になるというわけですね。
「まさか、ここで水着を着ることになるなんてね…。レイカに頼んでおいて正解だったわ」
ミヤが私の方を見ながら話していました。ミヤの水着は半年ほど前に渡したセパレーツの水着、ナナには、最近体型が気になってるからと言う理由でワンピース型のものにパレオやらフリルやら、ごちゃごちゃと付いた物をあげました。そのせいで余計目立ってる事に本人は気付かないようですけどね。
残りのギルメンであるウサミさんとルルカちゃんにはそれぞれビキニとワンピースをお渡ししています。この二人も受験した大学に無事合格し、落ち着いたと言う事で本格的にDCOに復帰してきました。
元々、ここには私とナナの二人で来る予定でしたが、この二人がちょうど良いタイミングでログインしてきたので、以前から約束していたギルド狩りをしよう!と誘ってみたのです。
二人はログインそうそう、新マップに誘われ困惑していましたが、ウサミさんには新しい素材があるに違いないよ。と言うと目の色を変えましたし、ルルカちゃんは、新しいモンスターを見たいと言う思っていたので二つ返事で賛成してくれました。
ミヤが一緒に来ている理由も単に移動途中に出会ったからという単純な理由ですね。ヘルガも居なくて暇そうにしていましたし。
「そうね。夏のイベント以来だから存在自体忘れてたけど、作っておいた水着が倉庫に残ってたおかげで他プレイヤーより先んじてフィールド探索できてるのは、良い点よね」
「ふふっ。私にとってはレイカちゃんのナイスバディが見れることが嬉しいよ~。ゲーム中とは言え、こんな素晴らしいものが拝めるなんて生きてて良かった!……昔はよく行ったけど最近は海に行く事なんて無くなっちゃったもんね」
「確かにそうね。でもそれは日焼けしてしまうのが嫌なだけなのよ?
日焼け対策さえしていれば海に行くのは構わないのだから、誘ってくれればいいのに。……そうね、夏が来たら皆で行きましょうか?」
話の流れで、今年の夏にでも時間をあわせて集まれる人で海に行く提案をしたところ猛反発を受けました。
「それはダメ!レイカちゃんが海に来たら海辺が大変な事になっちゃう!」
「な、なんでよ!?」
「普通にしててもややこしくなるのは間違いないのに、レイカちゃんが水着なんて着たりしたら、そこらの有象無象のクズムシが悩殺されてワラワラと寄って来ちゃうもん!」
「そうかしら?海に行けばたくさん綺麗な女性もいるんだし、私なんて全然目立たないに決まってるわ」
「「それはないよ(わね……)!」」
「「ナナさんたちの意見に同感 (かな)…」」
「何でここで皆に否定されなきゃならないのよ……一体私の何処に問題が……」
「むしろレイカちゃんから出た、その目立たないって言い切る自信の根拠が知りたいよ……」
突如会話に参加してきたウサミさんたちに恨みがましい視線を向けると、二人とも、そっぽを向き口笛を吹いていました。
この新マップの街であるザーバンが海中にある都市だという事は先も述べましたよね?
しかし、何故水着を着るようになったかの説明はしていませんので今からそちらを説明します。
水着着用の理由は街の内外問わず水中にいる間、武器と水着以外の装備をつけていると、ステータスが大幅に減少してしまうから。
水中での呼吸に関してはシステムで保護されているので溺れて死ぬ心配はないようです。代わりに深い海の底にいくと水圧で死ぬ事はあるらしいですけどね。深い場所に行く方法は町にいたNPCの誰からも聞いたことがありません。
街周囲のモンスターの強さは前のエリアの3/4位だけど、以前の装備のまま行くとあっさりやられてしまいます。キングベヘモス討伐メンバーのうち、幾つかのPTが意気揚々とエリアに入って行ったのですが、フィールドに出て暫くすると死に戻る人が続出した事から分かりました。
街の中の防具屋にはちゃんと水着が売っていますが、やはりプレイヤーメイドの水着には、見た目・補正等多くの点で著しく劣ります。夏のイベント中にNPCから購入していた水着はとっくに期限切れで消失しています。
よって現在残っている水着は夏のイベントで水着のレシピを手に入れた人とその関係者だけとなるわけです。
「ペナルティ無しで行動できるのは良いんだけど、今となっては水着のステータス補正に難ありよね…」
「でも補正値が無いよりはあったほうが良いですよ?」
「そうそう。これでダメならザウラーの森で龍の皮を集めて、龍革の水着を作っちゃえば、きっと補正もよくなりますって…」
なるほど……龍の皮の存在を忘れていました。確かにヌマリザード程度の革で作った現在着用中の水着よりも素材が上質になれば、より良い水着が作れますよね。
頼まれた分の水着を完成させて極めた気になっていましたけど、暫く素材を集めに集中して、龍の皮の水着製作に取り掛かってみようかしら。
確か以前加工しようとしたけど成功率が低そうな気がしたのよ。あれから裁縫スキルは5つ位しか上がってないので、まだ微妙なラインよね。
「ウサミさん。その意見、このギルド狩りが終わったら早速取り掛かりますね。良い案を頂きありがとうございます」
「い、いいよ~。この位……。もしお礼してくれるなら完成した水着で良いですよ?」
「フフッ、分かりました。完成したらウサミさんにモデルとして着ていただきますね。その代わりちゃんと着てくれないと怒りますよ?」
「着る着る!どんなのでも着ちゃいますよ~。楽しみ~」
「あっ、ずっるぅーい!レイカちゃん!私にもモデルさせてよー!」
「モデルするのはいいけど……その…いいのかしら?最近気にしてた体のラインが目立っちゃうわよ」
「ふぐぅっ!?だだ大丈夫だよ?ちゃんとダイエットするもん!……明日から(ボソッ)」
「そう?それならナナにも最高に似合う水着を作って見せるわ。ふふ、腕が鳴るわね」
この会話を聞いていたミヤも便乗しようかと考えたみたいですが、後日便乗しなくて良かったと胸をなでおろす事になります。良かったわねぇミヤ(笑
ギルド狩り自体はとりあえず転送装置から一番近い出口の東側のフィールド《イースティ(フィールド1)》で行いました。出現するモンスターは鰯の群体やら、サハギンやらの良く聞くモンスターたち。
本来のステータスを出せる私達にとっては大した相手ではありません。
続けてそのまま進行方向にあった次のマップ《イースティ(フィールド2)》には物理攻撃力(腕力)と物理防御力(体格)が高い大きなカニと毒攻撃をしてくるヤツで一度に数体でてくる水蛇ばかり。
カニは魔法攻撃で遠距離攻撃で倒せました。水蛇からも何度か毒を貰いましたけど光魔法のディスペルで治せる程度だったので大丈夫。
あとイースティ(フィールド1)から続く道にはまだ幾つか進路があるみたい。
「大したことないのね?これならヘルガと二人でも来れるわ」
ミヤは戦いながら敵の強さをしっかり測っています。というか、サナさんは誘わないのかしら?3人の関係が気になるわ。
「水着無しで適応されるステータスダウンさえなければ、怖いマップじゃ無さそうですね」
「そうね、次進んでみる?」
「さーんせい~。どんなモンスターも私の槍でやっつけちゃうよ~」
「はいはい、頼りにしてるわよ?騎士さん?」
「むぅ!?騎士さんの前に「私の」をつけてほしい!」
「……しょうがないわね。頼りにしてるわよ?私の騎士さん」
「ふおぉぉぉぉ~、超やる気でたよー!!リアルでは鼻血がでてそうー!」
「き、汚いわねぇ。ログアウトしたらちゃんと綺麗にしておくのよ?」
「ふ、ふぁーい……」
「ログアウトするまでは鼻血を放置で良いのね……ベッドが血塗れになってなかったら良いけど」
「ナナさんってば、レイカさんに汚いって言われて一瞬でテンション下がっちゃったね……」
まだ海のフィールドが続くのかと思いましたが、3つ目のフィールドは街で聞いたエリア内に数え切れないほどある小島の一つでした。




