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新生活と出会い 5

 「んー、あれは無理ね。私の最高傑作の装備でも当たらない以上、勝ち目は無いわ……」


 インカロードのダンジョン第四層で、卑劣な罠(?)に掛かり命を落とした私は、インカロードの復活ポイントで座っています。もちろんナナが戻ってくるのを待っている状態です。ナナはまだ迷宮第二層から一層に向かう途中と言うのでまだ暫く時間が掛かると思います。


 ただ待つのもアレですので、デスペナの確認をしてみるとリアルで8時間(ゲーム内で24時間)ステータス半減・スキル効果無効・取得経験値ベース・スキル大幅減少・生産能力大幅減少といった表示が目の前にデカデカと映し出されていました。


 「正式サービスで久しぶりにデスペナルティ受けたけど、最初の頃より重くなってるのね」

 「そりゃあな。職業が上になっていくほど死亡時のデスペナルティが重くなるのは常識だぞ?」

 「……アキラさん……でしたか」


 私の独り言に返事をしたのは、攻略組トップの実力を持つ大剣使いのアキラ。この人って二つ名が疾風なんたらとか烈風なんたらとかよく変わるのでそこまで詳しく覚えていません。

 アキラさんは攻略組らしく自身のレベル上げとモンスターの情報収集に余念が無い人。私と話してる暇があるんでしょうか?


 「それにしてもちょうど良いところでレイカに出会えてよかったぜ。頼みたい事があるんだが時間良いだろうか?」

 「あまり長い時間は困りますけど、あると言えばありますよ」

 「そうか、じゃあ手早く済ませよう。再来週の土日辺りに、最新エリアに続くレイドバトルを予定しているんだが参加してはくれないだろうか?時期的に回復能力もちが全然と言っていいほど捕まらなくてな」

 「……レイドですか?誘っていただけたのはありがたいのですが、私の方も来週から大学等が始まりますので、時間をとれるかどうか分かりませんので返事は保留させて頂いても良いでしょうか?」

 「あぁ、考えておいてくれると助かるな。返事は……フレンド登録しても良いか?」

 「えぇ、構いませんけど、チャットは苦手ですのでメッセージでお願いします」

 「そうなのか?話す方が楽だと思うんだが……まあいい。では良い返事を期待しておく。……ではな」


 アキラは、要件だけ言うと、軽く一礼をして去っていきました。その後すぐに装備注文のメッセージと素材が届いたのは気のせいではないようです。見た感じ彼の装備は隕鉄製のフルプレートでしたから、私の作った防具では物足りないと思うのですけどね?まあ一応受注はしておきましたよ……。



 さて、では先ほどの会話の中の重大な点を整理しましょうか。要点は少ないですけどね。


 一つ目は、最新エリアにつづく場所にいるボスということは、文字通りこのエリア……始まりの街から第六の街インカロードまでに出るボスモンスターよりも強いと言う事。ここで問題点が一つ。攻略組が未だにクリア出来ていないマップがフォウクラッセンに一つだけある。そのマップ名は【龍潜境りゅうせんきょう】。

 ここには、下位~中位までの龍・ドラゴンが出現するこの辺りでは最強というにふさわしいマップです。

そこもクリアしていないのに先へ進むのでしょうか?それともこの森の攻略は諦めたのかな?彼らがクリアしてくれないと以前言いました私ルール(?)のせいで龍潜境りゅうせんきょうには入れないんだけど……。


 あっ、インカロードの街の迷宮は除外ですよ?ここは出るモンスターの強さが規格外ですから。彼らもまだ第六層までしか潜れていないらしいです。私もその六層のモンスターまでは倒せる自信がありますが、そこから先は勝てるかどうか分かりません。まあ経験値効率が悪いので余程の事がない限り行く事はないと思いますけど。



 次に返事をするためにアキラとフレンド登録した時に得た新特性。得たというより変化したと言うのが正しいですけどね。戦闘中や戦闘後にシステムログが出ていてもスルーするのですが今日は暇ですから読んでみる事にします。


 《フレンド登録人数が30人を超えましたので特性【隠れたい者】が【隠れた人気者(1/50)】に上位変化しました》


 というログが流れました。早速この特性のことを調べてみますと……



 隠れた人気者(1/50):特性【隠れたい者】を持つ人がフレンド登録数が30人を超え、かつ中位もしくは上位スキルを5つ以上持つ時に変化する特性。フレンドとともに狩りをした時、パーティメンバー全員の取得経験値が10%上昇。パーティメンバーのステータスが一律+5される。


 コメント:まだまだ変化する余地はあるっすよ!



 「……またあの神官GMの仕業なのね……【古き英雄の記憶】と効果が数値以外丸被りじゃないの……手抜きねぇ。特性名の横にレベル表記があるってことは行動で変化するってことなのかしら?」


 言ってから気付いたけどこの【古き英雄の記憶】もいつになったら変化するんでしょうね?英雄と言う言葉から察するに、強敵とかフィールドボスと戦っていると変化する物と思うんだけど……。

 フレンド登録数に関してはミヤ・ヘルガ・ヒラメキ・ナナ・ウサミ・ルルカ・シュリ・高校のクラスメイト21名……ヴォルなんとかって言う関西人とゲンパクはフレンド登録してません。前者はこちらから拒否、後者は大学に進学すると同時にゲームをやめると言ったのでつい最近、見送ってからフレンド情報の削除をしました。このことに関してはゲンパク本人が了承済みです。なお、代わりに私個人の連絡先を聞かれましたがナナとシュリに阻まれてしまったようです。それに今回増えたアキラの計30名。


 まあ今考えるべきは新しい特性の活かし方よね。ナナが戻ってきたら相談してみましょうか。




 「たっだいま~!レイカちゃん。だいじょうぶ~?」

 「そうねぇ、ステータスなどが大きく下がってるから、安全に行くならエンローズかグリーティア周辺でしか狩りを出来ないわねぇ」

 「そっかぁ……じゃなくてぇ!デスペナルティ中なのに何故狩りに行く前提で話をすすめてるのさ~!」

 「え?だって早くナナのオーラを見たいもの。第一、デスペナなんて一度受けてしまえば二度受けようと三度受けようと大差ないわ」

 「いやいや!その感覚はおかしいよ~!」

 「そうは言われても本心だもの…仕方ないじゃない」


 言葉通りの意味で私自身は自分のペナルティよりもナナのオーラが見たい。凄く見たいのです!

 私がデスペナを受けている間は狩りをしない!と言うナナを逆に私が説得し、何とか言いくるめた結果、なんとかロリマーン聖山に行く事を了承させました。

 デスペナを受けている私が一人でも行く!と、ナナのオーラに全く関係の無い理由を言う(でっちあげる)と、弱体化している私を放っておくのは心配と言う理由で渋々ながらついて来ることになったのです。


 ちなみにどうして私がこのロリマーン聖山を選んだかと言いますと、弱いながらも素早く、しかし経験値が大量に手に入るモンスターが出るからです。私はDCOが始めてのゲームですので知りませんけどメタ○ス○イムとかと同じらしいですよ?何ヶ月か前にミヤが話してるのを思い出しました。




 という訳でロリマーン聖山の攻略を開始です。低確率とはいえローリン聖石などが採れる採取ポイントはきっちり回りつつ、出現するモンスターをナナがきっちり倒していきます。私は先ほど進化したステータス上昇系の特性でサポートです。攻撃などには一切参加していません。


 「ねーレイカちゃーん。ここに来たいって言ったのレイカちゃんのはずなのに、ずーッと私が戦ってるのは何でぇー?」

 「言わなくてもわかるでしょ?」

 「レイカちゃんのワガママだよね!」

 「あら?一度で当てられるなんて、なかなかやるわね?やっぱり帝王学と経理学、経済学を学んだだけのことがあるわね」

 「今の話に関係ないよね!ってあれ?このやり取り……何か既視感デジャヴ……」

 「気のせいじゃないかしら?」

 「そうだっけ??んー?まーいっかぁ」



 そんな感じで聖山を周っているものの目的となるアレがでてきません。こうなれば最終手段ですね!

一言で言うなら……「居ないなら呼んでしまえば良いじゃない」って感じかな?

 ということで取り出したのは、周辺モンスターを呼び寄せる効果を持つ【魅惑のお香】というアイテム。


 「え!?レ、レイカちゃん。待ってぇ、一体何をするのぉ~!?」


 モンスターの相手をしていたナナは私がアイテムを使ったあとにその行動に気付く。見る見るうちに香の効力が広がり、魔物の気配がどんどん濃くなっていく。


 「よしっ!」

 「よしっ!じゃないよぉぉぉ!さっき迷宮で失敗したばっかりなのに何で勝手な事するのぉぉぉ」

 「簡単なことよ?この辺りのモンスターならナナは放っておいても死ぬことはないでしょ?だからお香を使ってモンスターを呼んでみたのよ。ナナはできる子なんだし大丈夫よね?

 あとお香の持続時間は今から3時間だからがんばって!この群れを倒せばきっとオーラは目の前だよ!」

 「え?ちょっ!えぇっ!!」


 お香の効果が届いた辺りからロリマーナイトという光属性の騎士系モンスターやその上位モンスターのマーブルナイトというやつがわんさかと集まってきます。もちろんその中に目当てのアレもいましたよ。

 メターロン。コイツこそがこの辺りで一番経験値を多く持ちその素早い逃げ足でたくさんのプレイヤーから逃げ延びたという経歴を持つモンスター。討伐した人が言うにはレアリティ5のロリマーン聖鉄というものが手に入るとかで、金属系武器を使う人からすると喉から手が出るほど戦いたい素材……もといモンスターなのです。私の主な仕事は可能な限りコイツに縛り打ちを使い、スタンさせること。あとはナナの攻撃で片付けることが可能です。


 デスペナを受けていても、ミヤから規格外といわれた私にとって、倒すのは難しくとも攻撃を避けることは可能なのです。私は近くにいるロリマーナイト達の攻撃をかわしつつ、タイミングを見計らいナナの攻撃範囲へ入ります。フレンドファイアがないので安心して突っ込めるのは良いですよね。もちろん近づいた時にはナナの体力を回復させる事は忘れていません。


 「レイカちゃん。前情報もなく突然のスパルタはダメだよぉぉ」

 「そういう割には全然苦労してないじゃない。あと、ナナ。その騎士槍は使用禁止よ?レアリティが高すぎるわ。薙刀に戻して頂戴」

 「えぇっ!槍のほうが得意なのに……」 


 文句を言いながらも、ちゃんと武器の変更を終えるナナ。一撃辺りの攻撃力は大きく下がったけど、一回の攻撃で倒してたのが二・三回になっただけなので特に問題はないと思います。

 あとはそうですね……どうでも良いこと?ですけど、このお香の効果時間中に、不運にもここを訪れた4人パーティが居たみたいなのですが、その圧倒的な物量に潰されすぐに粒子となって消えて行きました。一瞬私と目が合った気がしますけど気のせいです。わ、私は悪くないわよ?こんな時に来る方が悪いんだから!

 お香の効果時間後、こう言うことがあったとナナに言うと凄く怒られました。ですが謝りたくともプレイヤーネームも分からないからどうしようもないですよね。


 「掲示板に状況とかを書いて謝罪コメント書いておけば良いんじゃない?」

 「はっ!その手があったわね!」


 と思い当たり、早速書き込んでおきました。




 その後はモッドロゥ転移石を使いインカロードへ戻りました。このモッドロゥ転移石は高校の時のクラスメイトの錬金術スキルを使っているマリーが作りました。

 その素材となる《モッドロゥの香玉》は私の香料士スキルで作成したんですよ。それが形になって、つい先日届けられました。販売価格は一つあたり1500クロネという事ですので必要になりそうなレベルのプレイヤーにとっては良心的な価格ではないでしょうか?

 暫くの間私が卸す事となった《モッドロゥの香玉》はマリーがひとつあたり500Cで買い取ってくれてます。しかしマリーはダブリヌの森に素材《モッドロゥ香木》を採りに来れるほどの強さがないため、素材集めの代金も入れてこの値段で買取してくれているのです。


 「ベース経験値が残りあと7%くらいまで来たよ!」

 「へぇ~、良かったじゃない!この様子なら明日にはオーラね?」

 「その事なんだけど、せっかくだから寝るまでにオーラになって転職したいんだけど一緒に居てほしいな?」

 「そのくらいお安い御用よ?そうと決まればアイテムを補充してもう一度……」

 「あ~~~~。もうモンスター呼ぶ系のアイテムは要らないからね?」

 「えー。使ったほうが早いじゃない」

 「残りわずかな経験値で良いのにここから3時間も狩るのはヤダよぉ!」

 「……じゃあこの獣系が良く寄って来るお香の30分バージョンでどうかしら?」

 「……その位ならちょうど良いかな?」

 「じゃあ決まりね?じゃあ、持って行くのは……獣王のお香と獣神のお香と極獣のお香にしよっと……」

 「まってぇぇぇぇ!それ全部却下で!そんな物騒な名前のはいらないからね」

 「ナナったら我が侭ねぇ~。じゃあ、せめて蜥蜴寄せのお香だけでも……。名前的には安心できるでしょう?」

 「……しょうがないなぁ。わかった。それだけなら良いよ」


 しかしナナは知らない。

 私の作ったそのお香の正式名称は【蜥蜴寄せのお香ドラゴニックパフューム(竜)】だという事を……。

 名前 レイカ

 種族 魔族

 職業 空気賢者LV28

 スキル 【マスター裁縫26/50】・【再生採取19/50】・【風塵魔法LV39/50】・【心頭滅却14/50】

【魔道基礎14/50】・【調香士12/50】・【誇り(プライド)50/50】・【体⇒魔変換50/50】【繰布術11/50】

【天光14/50】【冥闇12/50】【育成26/50】


 ステータス 体力5(+56) 魔力30(+75) 腕力1(+27) 

体格5(+67) 賢さ50(+53) 敏捷25(+66) 運25(+20)

 ステータスポイント 残り 6

 スキルポイント   残り 16


 風魔法;ウィンドボール・ウィンドカッター・ウィンドヒール・テンペスト・サンダー・アンチパラライズ

 風塵魔法:ウィンドベル・シルフスクリーム・ウィンドブレイド・エアスラッシュ・エアプレッシャー

 光魔法:シャイン・ライトヒール・シャインストーム・ディスペル・ヒーリングシャワー・ライトフラッド

 天光:レイ・ソーラーライト・エインシャント・キュア

 闇魔法:ダークボール・ナイトメア・ダークウェーブ・ブラックバースト・ダークネススラスト・ポイゾネス

 冥闇:ダークフォロウ・暗闇の穴ホールオブダークネス・デスヒール

 裁縫:糸作成・鑑定・飾り縫い・良品成功率8%上昇・派生率+8%・雅縫い

 マスター裁縫:糸複製・制作軸ベクトル設定・裁縫の奥義・敵縫い

 採取:採取ポイント発見・採取個数アップ・レア発見率+2%・採取ポイント復活速度2秒アップ

 再生採取:採取ポイント復活率+4%・レア発見率+3%・採取個数アップ

 精神統一:魔力自然回復量中上昇・魔力値+10・魔力自然回復速度中上昇

心頭滅却:攻撃を受けても魔法が中断されない確率10%

 魔法運用の知識:魔法攻撃力小上昇・賢さ+8・魔力+8・魔法攻撃時10%の確率で連続魔法

 魔道基礎:魔法詠唱速度が-0.4秒・魔法威力5%上昇

 香料士:モンスター遭遇率・狙われやすさが12%上昇・香封・開放・品質アップ・調香率10%上昇

 調香士:超開放・幻惑耐性+5%・香料威力強化

 誇り(プライド):格上相手と戦闘時、腕力(物理攻撃力)・賢さ(魔法攻撃力)が40%上昇。

 体⇒魔変換:体力5%と引き換えに魔力を45%回復

 育成:土地と厩舎を持っている時、飼っているペット達から良質素材が取れる可能性が4%アップ

 帯術:衝打・縛り打ち・スナップヒット・雷襲巻・絶波打・焔巻

 繰布術:主武器に帯を装備時、敏捷+2・魔力+2、帯術スキルで与えるダメージ微(1.1倍)上昇。帯で攻撃した時の状態異常発生率+2%


 特性 

闇の加護:ダンジョン、夜のフィールドなど暗い場所でステータスに少しですが補正が掛かります。


 古き英雄の記憶:ソロ時の獲得経験値が2割(20%)上昇する。パーティ時は英雄の気質を発揮し仲間のステータスを3ずつ上昇させる。段階を踏むことで成長する。


 下克上:モンスター討伐時の経験値が10%増える。覚えるには自分より数段上のモンスターを倒し続けなくてはならない。


 ドラゴンキラー:ドラゴンを何度も討伐した物に与えられる。リザード、ドラゴン系に与えるダメージ+20%


 隠れた人気者(1/50):特性【隠れたい者】を持つ人がフレンド登録数が30人を超え、かつ中位もしくは上位スキルを5つ以上持つ時に変化する特性。フレンドとともに狩りをした時、パーティメンバー全員の取得経験値が10%上昇。パーティメンバーのステータスが一律+5される。


 イジメを乗り越えた者:、運基礎値に+20。NPCにアイテムや素材を売る時、買取額が上昇する。NPCからアイテムや素材を買う時、割引してもらうことが出来る。特殊イベント遭遇率上昇。フレンドとPT(レイド含む)を組んだ時、組んでいるフレンドの人数に応じて獲得経験値・アイテムドロップ率が上昇する(特性所持者・フレンド共に。フレンド以外は対象外)


 爆発魔ボマー1/10:効果:鍛冶、火・光属性成長率微上昇(1.1倍)・火・光属性耐性が微上昇(1.1倍)、代わりに水属性の魔法・特技が永遠に使用不可となる


 自身に打ち勝つ者:レベルアップ時にスキルポイントが+1される。

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