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Dream Community Online(仮)  作者: ふんにゃり
高校生編!?
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βテスト 1-5

 気づけばテレスの街の転送ポータル兼復活ポイントで、行った事がある他の街(ただしポータルがない町や村にはいけない)に行くにはここを利用するのが手っ取り早いと言う。


 「えっと、たしかオークヒーローを倒した後、魔法使いの魔法に巻き込まれて死んだんだっけ……」


 しっかり思い出せたところでデスペナルティの確認をしてみると、通常オークの素材はもともとが沢山あったのでまだ残っていたが、オークヒーローから幾つか貰ったはずのドロップが1つしか残っていなかったのです。

 その名も《英雄の斧:レアリティ5、腕力+15・敏捷-5・取引・削除不可》という。



 そんな表記を見ながら少しの引っかかりに気づいた。


 「私には使い道ないよね~。ん?取引不可はいいとして削除不可って何よ?運営に連絡……するよりパパに聞いたほうが速いわよね。だからまあ急がなくてもいいわね」


 気を取り直した私は、オークから取得した大量の豚肉を適当に売り払い、1200Cを取得。さらにバザーに各種3つずつ出品していた熊素材で作った装備が全て売り切れ、48400Cと言う大金も転がり込んできたのです。


 「うぅ、こんなにお金持ってるけど無駄遣いするのは気が引けるし使いきれないかも?」


 バザーを見る限り熊素材の装備が一番高価なので非常に困る。

単一の物ばっかり売ってても面白くないので、とりあえず毛皮系素材を買い漁って今日の残った時間は全て生産にあて、ウルフレザー装備、コボルト装備、熊装備をそれぞれ数点ずつ作ることにしました。




 いつもどおり宿屋内でチクチクと裁縫を勧めているとミヤさんからメッセージが届いた。

内容は明日の最終日の集合場所が変更になったことでした。私はミヤさんに返事を送りついでにミヤさんの装備している装備のステータスを聞かせて貰いました。理由は、βテストを初日からプレイしている先輩プレイヤーが、どのくらいの装備をしているのか非常に気になったからです。


 数分後、その返事が届き中身を確認して私は驚くことになりました。なんとミヤさんの装備はコボルトレザー系で評価は3というのです。理由をあげるとどうやら賢さが上がるような装備に出会わなかったので序盤に入手した装備でも十分立ち回れるからということです。


 それを見た私は明日会うミヤさんのためにベアハットとベアローブを作ることにしたのです。この2種類は、賢さに補正がかかる装備なので評価8を目指して頑張ろうと思います。

 なお、ヘルガさんの装備は鎧系なので私に手を出せる領分ではないので割愛します。


 作るものを作り終えた私はログアウトし、パパ直通端末で先ほど手に入れた謎の斧と削除不可などについて質問をして眠りにつきました。





 翌日のβテスト最終日、私は約束した集合場所にやってくると、そこにはヘルガさんの姿が。周りを見るとミヤさんはまだ来ていないようなので、ヘルガさんと会話でもして待っておこうと思います。

 思えば自分から男性と話す事に関してはパパと担任の先生以外では久しぶりです。


 「おはようございます。今日は誘ってもらってありがとうございます」

 「あっおはようレイカ……さん。ミヤはもう少し遅れるみたいだからもう少し待っててくれるかい」

 「はい。あっ、では申し訳ありませんけど、ポーションの在庫に若干不安が残っているので少し買い足してきますね」

 「あいよ!その間にミヤがきたらメッセージ入れるね」

 「お願いします。ではいってきます」



 私は急ぎ足で道具屋に行くとポーションを20本購入し、急いで戻る。戻ってきた時丁度ミヤさんが集合場所に到着してきたのです。


 「あ、レイカおまたせ。ヘルガもごめんね。ちょっと用事言いつけられちゃって」

 「気にすんな。どうせいつものあれなんだろ?」

 「えぇ、いつものあれよ。よく分かったわね?」

 「まあな。何年も一緒にいりゃあ、分かることが増えるのは当然だろ?」

 「そうね……(その割には鈍い所が多い気がするけど)……ごめんねレイカほったらかしにして」


 なにやら二人が親密そうな会話をしていたので私は空気になっていましたが、ある程度の所でミヤさんが私の存在を思い出してくれたのでいいとしましょう。

 とりあえず、イベントが始まる前に装備を渡さなくちゃね……。


 「あっミヤさん……」

 「ミヤでいいわよ。それで何?」

 「昨日、ミヤさんに色々聞いた後装備を作ってみたので使ってほしくて」

 「うーん?でもメッセージに書いたとおり私の魔法の威力を伸ばすような装備がないから……」

 「その威力が伸びるはずの装備を作ったので一度使ってみてくれませんか?」

 「え?うそ?本当に?賢さの補正がある装備なんて作れるの?」


 しつこく聞いてくるミヤに問答無用で取引をだし《ベアハット賢さ+4》と《ベアローブ賢さ+5》さらに《猛獣の帯:体格+4》を提示すると、ミヤは驚きで口を丸くあけていた。


 「あのー?ミヤ?取引完了承認してほしいんですけど」

 「……ま、まって!レイカ何でこんな評価が高いものを作れたの!?補正値が1が定番、良くて2なのにこれには4とか5が普通についているんだけどっ?」

 「な、なんだってぇ!?」


 ミヤの叫びに反応したのはヘルガさんだ。どうやらヘルガさんの装備も補正値的には体格2がいいものだそうだ。


 「な、なあレイカさん。俺にもその服売ってもらえないだろうか?」

 「あ~えっとですね。一番補正が良かったのはミヤさんに渡したので残ってるのは体格+3になりますけどいいですか?」

 「も。勿論だよ!それでも今の装備よりは十分防御力が高くなるからね!」

 「えぇ!?そうなんですか?ただの皮の服装備ですよ?金属鎧よりも強いなんてあるはずが……」

 「いや、リアルならそうかもしれないけどここはゲームだからね。

 そういうことがざらにあるんだよ。今まではなかったことだけど、今日それもたった今ここで覆された」



 まさかそんなに防御事情が悪かったなんて予想外です。なお、装備以外にもベースレベルに関しても、私は二人を追い抜いていました。ヘルガさんは14でミヤさんは13だそうです。ただし、スキルレベルは全体的に見ると負けてますね。私のスキルで育っているのは【剣術】【ダッシュ】【ジャンプ】【回避術】【索敵】【裁縫】【採取】のうち【剣術10/10】【ダッシュ8/10】【回避術8/10】【裁縫10/10】【採取6/10】ですからね。

 素材はバザーで購入することが多くて戦いに出なくなり【索敵】はLV5で止まっちゃいましたし、【ジャンプ】に関しては1のままです。



 「あれぇ?確か2日前に始めたはずだよね?何で俺負けてるんだ?」

 「もしかしてレイカったら廃人プレイヤーなの?」

 「廃人ってなんですか?」

 「簡単に言うと寝る間も惜しんでゲームや好きなことにのめりこむ人たちのことよ?」


 ミヤさんが失礼です!初対面の時と同じ位!


 「えっとそれなら私は廃人じゃないですよ?昨日までの二日間で総合プレイ時間数が7時間と少しですから」

 「マジで?それでスキルも強くて、ベースもカンストで、さらには高性能な装備を作れるとかどれだけ超人なんだ?」

 「ちなみに私達の総合プレイ時間はヘルガが34時間、私が31時間ね」

 「で、でもその分私が知らないことをたくさん知っているじゃないですか」

 「それはそうだけどなんか納得いかない……」




 会話が変な方向に弾んだおかげで、イベント開始時間が近くなってもそのエリアに到着していない。


 「ヘルガ!何でもっと早く気づかないのよ!」

 「ちょっ!それをお前が言うか?ミヤだってレイカさんと喋ってばっかりでイベント開始時間気にしていなかっただろうが!」

 「あはははぁ~っ……」


 そんなことを言い合いながら、全力でイベントが発生すると言うテレスの街の北のテレジア大草原へ向かう私達3人。このとき移動速度上昇効果もあるステータスの敏捷に補正がかかる《猛獣の靴:敏捷+4》を渡したので他の人よりは少し移動速度が速いはずです。

 ……他の人は今頃大草原にいると思いますけどね?




 「つ、ついた~?時間は?」

 「だ、大丈夫。ギリギリセーフよ!レイカのおかげね」

 「私の作ったのが役に立ってよかったです」



 私達が大草原に到着した時間は朝10時ジャスト。そして同時にシステムメッセージが流れ大規模討伐イベントが開始された。ちなみにイベント内容は現地にくるまで謎だったそうだ。



 《βテスト最終イベント:大草原を守れ! :大草原に現れた草木を食い尽くすモンスターである《フューリーアント》を駆逐せよ。クリア条件、本日βテスト終了時刻が19時の為、1時間前の18時までに累計2万体のアリを討伐する。なお2万体を超えて討伐した場合は、正式版登録時にβテスト参加証明となる称号が授与されます。称号の効果については正式サービスをお待ちください》



 「2万体?無理じゃないか?テストプレイヤー全員で500人くらいのはずだ。全員がログインしていたとしても一人当たり40体くらい倒さなくちゃだめってことだぜ?敵の強さも分からないのによ……」

 「そこで私の魔法の出番ね?範囲魔法を覚えられるレベルにしておいてよかったわ。ヘルガが釣ってきてくれたら、私の範囲魔法で一網打尽にしてあげる!」

 「じゃあ私もその釣り?に参加しますね?要するにモンスターを指定ポイントに誘導すればいいんですよね?」

 「そうよ。レイカったら初心者なのにこの用語の意味を知っていたの?」

 「丁度昨日、ネット用語を検索してた時に見たので覚えていただけですよ」

 「……何でそんなピンポイントなの……」



 こうして私達の戦いの火蓋が切って落とされたのでした。

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