私達の戦いはこれからだ(笑) 12-1(哀れなボスをシュリが見た場合)
別視点って書くの難しいっすよね。
でもあえて挑戦してみた!
本日2話投稿で別視点。(2話目はこりずにナナ視点!内容は以前と全く違うけどw)
2話目は15時投稿予約済みです。
本編の方は、実はまったく思いついてません。(マテコラ
別視点を先に載せる事でこういった流れにしたいという雰囲気だけでも伝われば良いな。むりっすか?そうっすか……。
その戦いという名の蹂躙は静かに始まり、気付けば終わっていました。
本日イベントで設置されたインスタンスダンジョンで初めてのレイドバトルをするべく乗り込んだクラスメイトと私達。レイドバトルというのは到底一人では倒せないような、巨大もしくは強大なボスモンスターを多人数で協力して倒す事を言います。
ダンジョン最奥部にいたのは、巨人族のボスモンスター《ダイダラボッチ》と言い、手に持った巨大なハンマーによる極悪と言っても良い攻撃力によりプレイヤーを蹂躙する存在……でした。
過去形になっている理由については、私シュリがお送りしようと思います……。
時は少し遡り、ダイダラボッチが後衛陣に肉薄した頃。
巨人族モンスターというの総じて体力と腕力が高いが、その代わりに弱点の判定も多く、上半身と下半身は体力ゲージが分かれて表示されています。
一番大きなダメージを与えられる箇所は当然、頭部……目とか顔ですね……。巨体ゆえに滅多に触れられる事のない場所が弱くなるのは至極当然のことです。
巨人と戦う時は、方法問わず下半身へ一定数ダメージを与えると、眩暈か立ちくらみか詳しい事はわかりませんけど、両膝を付き《Oh, Jesus!》てきな感じで頭を抱え始めるので、その隙に巨体をよじ登り、最大の弱点である頭部に直接攻撃するのがセオリーといわれているのです。
もうひとつの弱点として膝。私達にとっては狙いやすい様で狙うのが難しい場所。なぜかというと膝を狙う場合、物理的な攻撃でないと弱点判定がない為。しかし背丈の都合上、剣や槍など普通の武器では届かない。やるならば弓や投擲、最近見つかった銃などでなければなりません。しかし今あげたこの3種の武器は総じて攻撃力が低く、連射をすることもできないため結局のところ全員でチマチマと足を攻撃し、頭を狙う事になります。
後衛職のニ班・四班の面々を逃がす為、同じPTに所属していたナナさんがその時間を稼ぐ為にダイダラボッチに挑んでいました。一斑・三班の前衛・斥候組も必死に、巨人の足を攻撃しヘイトを稼ごうとしていますが、その巨体ゆえか足元を攻撃している程度では、数十回攻撃してやっと3本ある体力ゲージ1本目の数ドット程度しか減らせません。それよりも巨人の攻撃で負傷した前衛を回復する後衛組の方がヘイトを良く稼いでしまいます。
そんな中、ナナさんたちの攻撃の隙を突いて振るわれた巨人の一撃がナナさんの体力をごっそりと奪い去りました。いくらナナさんが強くても、リーチの差だけはどうしようもなかったんですね。
その吹き飛ばされ倒れたナナさんを見たレイカさんは……
「私自重やめますね」
そんな言葉とともに、全てが凍りつきそうな気にさせられる冷酷な笑顔となると共に、今までに見たこともない美しい蒼や赤の入り混じった意匠の帯を取り出しては装備し、巨人に向かって歩き始めました。
レイカさんが巨人に近づくと、今まで攻撃していた一斑・三班の前衛・斥候組の皆が一人で前線に出てきたレイカさんに声を掛けているみたい。レイカさんが一言二事言うと、前衛の皆が巨人から少しだけ離れた位置に移動する。皆が範囲からはなれたかどうかを確認した(のかどうかわかりませんけど)レイカさんは、おもむろにその帯で巨人の足をはたきました。振るうたびに帯が輝いていた気がしますけど……後で聞いたら教えてもらえるかな?
ヒュルンッ……ドゴォッ!
「え、何?ウソ…でしょ?」
「……マジか……」
レイカさんの帯が巨人の足に当たった瞬間、巨人の下半身の体力ゲージがごっそりと減少。見た感じで10数%くらいですけど、私達で安全策をとりながらそのダメージを削ろうとすればそれなりの時間がかかります。帯がもう一度往復して再度当たった時には、下半身の体力が大きく減り、巨人は頭部の弱点をさらけ出していました。それを確認したらしき、レイカさんは前衛組みに指示……というか命令?をします。
「皆さん、申し訳ありませんが今回の弱点をつく攻撃は私がやります。手出しはしないくださいね?巻き込まれても、責任は取れませんから……」
レイカさんの言葉に反論する人はいませんでした。今のレイカさんの浮かべる恐ろしい笑顔の前では誰も口を開く事もできなかったから……。
「私の大事な親友を殴ったアナタにはお返しにこちらをプレゼントさせて頂きます。【スナップヒット】」
レイカさんが技名を言いながら帯を振るうと幾度もウネウネとしなり、あっという間に見えない速度に。そしてその見えないほど速度を増した打撃……帯だけど……が巨人に襲い掛かった。あとで聞いた話によりますと、スナップヒットというのは、使い手の敏捷が高いほど攻撃回数と威力が上昇する技との事です。
レイカさんの手が振るわれるたびに、巨人の頭部に帯がヒットし、弱点攻撃を受けている巨人の体力が減る……ふぇぇ!?
「お、おい!巨人の体力ゲージが1本吹き飛んでるんだけど……気のせいだよな?」
「……ぐ、偶然だな?俺の目にもゲージが吹き飛んだように見えるが……」
どうやら見間違えではないようです。レイカさんの攻撃で巨人の上半身の体力ゲージが見る間に削れていき、この話をしている間にゲージ2本目の50%まで減っています。
その後巨人は何事もなかったかのように?立ち上がりましたが、再度レイカさんの攻撃が足にヒットし、弱点をさらけ出す事に……。なにこれ。ハメですか?
2度目の頭部へのスナップヒットがヒットする頃には巨人の体力は3本目の赤ラインまで陥っていました。
そこまで来ると、レイカさんも満足したらしく私達のいる方に振り返りました。その顔はさっきとは違い、今までに慣れ親しんだ?というか見慣れた微笑みでした。その微笑みもすぐに崩れ、申し訳無さそうな顔になってしまいましたが。
「すみません。調子に乗って、2度も攻撃しちゃいました。残りの体力はもうほとんどありませんけど後は皆さんにお願いします」
と言われましたがクラス皆?の意見により、レイカさんが止めまできっちり刺すように一致したので結局その後も継続して巨人を倒してしまいました。
巨人を討伐後、レイカさんは皆に謝罪をして回っていました。内容はもちろん、今回の趣旨を丸ごと無視してプレイした事。お詫びに何でもしますとまで言い出したからもぅ大変!
「防具一式ヨロシクたのむわ!」
「さっき使っていた武器について教えてくれ!」
「明日リアルでデートしような!」
「お泊り会(毎日随時開催)に来てね」
などなど……。3つ目を叫んだある関西人はナナさんにどこかに連れていかれ戻ってくる事はありませんでした。そこで何があったかは不明です。あの表情の豹変したレイカさんを見た後なのに、デートに誘おうとした所だけは褒めてあげても良いですけど、それを許すかどうかはまた別問題ですからね。次そんな事を言ったら、どうなるか分かりますよね。仮にもクラスメイトなんですし……。
結局レイドはどうなったのかですか?翌日きっちり協力プレイで倒しましたよ。この戦いではレイカさんはキレる?ことなく、無事に魔法による火力として頑張ってくれました。




