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Dream Community Online(仮)  作者: ふんにゃり
高校生編!?
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βテスト 1-3

 翌日、今まで大して気にしなかったクラス内の会話に耳が向いている事実に気づく。

クラスメイトの数人が話しているのは私がテストプレイしているDCOのことのようですね。どうやらベータテストには洩れたそうだけど、正式版になったらやるんだ!とか言っているのがチラホラと聞こえる。


 「麗華ちゃん。一緒に帰ろ?」


 その声に振り向くと、幼馴染で家族以外で気兼ねなく会話が弾む相手である紡木七実つむぎななみがいました。


 「七実。もう私達高三なんだからいい加減ちゃん付け止めよう?」

 「うーんそれは無理~。小さい時からずっと続けてるのに今更呼び方なんか変えられないわよ~」

 「私だって呼び捨てにしてるんだから気にしないのに。むしろ呼び捨ての方が親友らしく思えるんだけど……」

 「う~ん。どういわれても無理なものは無理だよ~、それが私のIdentityなんだから~」

 「何よその無駄なアイデンティティー……」



 七実は紡木財閥の次女でうちの和仁パパの会社に融資をしたりしている。彼女の容姿は素直に可愛く髪にはウェーブが掛かっており性格はおっとりとした雰囲気の大和撫子タイプの女性で趣味は活け花と薙刀などの古武道をたしなんでいる。

 一度、七実の古武道の練習風景を隠れて見たことがあるけど、今目の前にいるようなおっとりとした雰囲気でなく、目つきが鋭くなり同じ練習生達相手に凄い立ち回りをしていたことがあるんだよね。



 「それでね、今日寄り道でお買い物しない?」


 私が七実のことを色々考えていると先ほどの話の続きか七実からお誘いがあった。


 「あー、ごめんね七実。今日と明日はパパのお願いのせいでゲームしなくちゃだめなのよ……」

 「えっ?そうなの?ぶぅ~残念。でも今日と明日だけなんだよね?3日後……日曜日ならお買い物いけるの?」

 「勿論よ。あ、そうそう。七実に頼まれていたリボン、刺繍つきの奴完成したから明日もってくるね」

 「えっ?もうできたの?頼んだの昨日なのに……ありがとう麗華ちゃん!」


 実は昨日ログアウト後、夜食の後勉強をしていたんだけど思ったよりも早く終わらせたので余った時間で七実に頼まれていたリボンを縫ったのです。ゲーム内でも縫い物してたのに現実でもやってるんだからやっぱり裁縫とか大事な趣味と胸を張っていえます。



 七実と仲良く話しながら帰路についた私は家の前で七実と別れ、まずはリビングへ。ここにはパパ直通の連絡用端末が置いてあるので、昨日のプレイで思ったことや今日、今からテストプレイすることを報告にあげておきました。






 ログイン後、私は始まりの村の次の街であるテレスからスタートとなる。

 昨日は装備(武器)だけそろえてログアウトしたからね。街の見物もしないと!



 テレスの街を歩き回ると色々なことがわかった。なんとスキルだがベータテスト中は変更が自由らしいのだ。勿論取り直したり外したスキルのレベルは1からになるがそれを何度か繰り返すことで判明するバグなどもあるとのこと。


 「私の場合【ジャンプ】だけ育ててないんだよね。だからこの際、魔法系スキル取っちゃおうかな?……でも魔法系スキルって一撃辺りの威力が強い分、攻撃までに時間が掛かるって言うし迷うわね」


 迷うといってもベータテスト中はある程度のスキル数しか設定されていないので魔法なら基本4属性(火・水・地・風)の4種しかない。


 「君もスキルの変更にきたのかい?」

 「ひゃうっ!?」


 突然、背後から声をかけられ、大げさにビクついてしまった私の体。


 「……突然済まない。何かスキル画面を見ながら悩んでいたようなので声をかけたんだけど、非常に驚かせてしまったみたいだね」


 私が振り向くと、苦笑いでたつ森で会ったあの男性プレイヤー……と女性プレイヤーが一人そこにたっていた。


 「へぇ?この女性ひとがヘルガの言っていた初心者プレイヤーなのね?ふーん。確かにヘルガの好きそうな容姿よね」


 女性プレイヤーからは何か邪魔者を見るような目線を向けられるけど私にはこの人に変な目を向けられることをした記憶も思い当たることもない。

 あと男性プレイヤーはヘルガさんというらしい。昨日3回も会ったのに名前すら聞いていなかったことに今更気づく。


 「えっと、ヘルガさんっていうんですね。昨日はいろいろありがとうございました。私はレイカといいます。……でそちらの女性の方は……」

 「私はミヤよ。ヘルガとはβ開始初日からパーティを組んでるのよ。要するにあんたの入る余地はないわけだけど?」

 「お、おいミヤ。初対面の相手にそんな態度は失礼だろう?」

 「あ、気にしてませんし、間に入るつもり?もありませんけど……」

 「あ、あらそうなの?……それならそうといってくれないと困るわ?変な態度を取ってごめんなさいね」

 「いえいえ~。誤解?が解けたみたいで良かったです」


 会話中ヘルガさんはなにやら落ち込んでいたようなので、私はミヤさんと話をしていた。初対面の人相手には私のほうが高圧的な態度をとることが多いはずだったんだけど、今回はミヤさんが初めから高圧的な態度だったのでその態度を取ることができず素で話ができたのです。


 ミヤさんと話してみると、最初とはうって変わって普通に良い人でした。本人曰くヘルガに変な虫がつかないように見張っているらしいのですが、いつもあんな態度とってたらクラスでの私みたいに嫌われちゃいますよ。とかいう内容の話しをすると、ミヤさんは顔をヒクつかせながら反省してくれたようだ。




 「そ、それでスキルで悩んでいたのかい?」


 いつの間にか再起動したヘルガさんに聞かれたので私もそれに答える。ミヤさんと話したおかげかキョドることなく会話を返せていると思う。


 「はい。私が使っていない【ジャンプ】スキルを魔法系に変えるかどうか迷っているんです」

 「レイカ。魔法系スキルを使うのなら魔力消耗軽減のスキルも一緒に取っておかないと、すぐに魔力切れになるわよ。でも見たところそんなに空きの余裕はないわよね?」


 ミヤさんは魔法攻撃型らしく流暢に現在分かっている情報を惜しげもなく教えてくれた。

 魔法を取るならスキル全てを魔法に適した形にするほうが効率が良くなるという。


 「うーん。私はもう外したくないスキルもありますし明日でβテストも終わりますのでやはり変更はしない方向でいきます。ミヤさんありがとうございました」

 「良いのよ~。ところで明日の最終日、イベントがあるみたいだから私達と一緒に参加しない?」


 ベータテスト最終日にイベントなんてあるんだ?知らなかったわ。ミヤさんとヘルガさんならまあ面識も何とかできたし組むのはいいかな?他の人がいると厳しいけど……。

 そういった感じのことを言うと、二人は元々ペアでやるつもりだから気にしなくていいといってくれた。それなら問題ないね。


 「そういうことなら是非よろしくお願いします」

 「こちらこそよろしく!さあ明日で最後だし思いっきり楽しもうね!」




 明日の予定と待ち合わせのすり合わせとし、二人と別れた私は、バザーにやってきていた。

目的はウルフレザージャケットの販売だ。一通り値段を見ていくが、私の作ったものに近い売り物はないようです。大抵のウルフレザージャケットは《レア2・評価4・値段150C》といった所だったからです。


 「私のやつなら評価が高いからどのくらいの値段がつくのかな?ミヤさん達に聞いておけばよかった……」


 結局一番高いもので《レア2・評価6・1200C》と言うのがありそれが売れていたようなので、私は評価8のジャケットを《3000C》でだしてみたのです。この値段にした理由は、評価が高いものはよく売れるというプレイヤーの話を耳にしたからです。他意はありませんたぶん……。




 結果、出品後12秒後に販売完了報告が来ました。


 「はやい!?でも売れるのが分かってよかったよ。これで素材かえるからまた生産できるもんね」


 こうして手に入れた3000Cで熊の毛皮(バザー価格60C店頭価格130C)を40枚購入し2400C支払い、更に残ったお金で、新しい糸の素材になりそうな《米草45C》を10個購入すると、裁縫をするべく宿まで戻るのだった。





 「始めて使う熊の毛皮だけど、昨日のうちに裁縫道具も新しいのに変えたんだし大丈夫よね」


 熊の毛皮をとりあえずウルフの時と同じようになめす作業に入り、完成させる。


 《熊のなめし皮が完成しました。レアリティ4。制作評価5/10》


 「うーん?なめす作業って全部が全部同じようにやればいいってモノじゃないのかな?それともスキルレベル的な問題?どっちにしても別のやり方考えてみよう!」


 薬品につける時間を変えたり観想に当てる時間を計ったりした結果、なんとか制作評価8までいくなめし皮の作り方を発見することができた。


 「……だめもとで入れた薬草のおかげで凄い評価ついたのが甚だおかしいけど、できたからよしとしよっか」


 この実験で24枚の熊の毛皮が犠牲になった(とはいっても制作評価4くらいは普通にあった)けど、最終的に今現在出せる最大限だと思う。もしこれが正式版だったらもっと嵌っていたかもしれないわね。ベータテストでよかった……。


 薬草が必要となったことでホントに残りわずかであった資金で薬草(バザー価格5C~10C)を購入し、残った16枚の毛皮も高評価でなめしていった。

 昨日大量作成し半分ほど売り払ってもまだ大量に余っている糸で熊のなめし皮を縫い合わせていく。薬草からとった《癒し糸》はレアリティなどの強度が低いので縫い合わせることすらできず失敗。糸として仕事ができたのはレア2の麻糸でギリギリ、レア3の毒糸で余裕を持って縫うことができた。

 ちなみに先ほど購入した米草からは残念ながら繊維を取り出すことはできず無駄となってしまいました。


 《ベアーヒールが完成しました。レアリティ4.制作評価9。腕力・敏捷+5》

 《ベアーハットが完成しました。レアリティ4.制作評価8.体格+3.賢さ+5》

 《熊の武闘帯が完成しました。レアリティ4・制作評価6.腕力・敏捷+2》

 《毒熊人形が完成しました。レアリティ3制作評価8.人形操作(未実装)時、戦闘に参加する》



 色々できました!とりあえず上から順番に説明を……。


 ベアーヒールは足に装備するヒールですね。リアルならヒールだと走りづらいんですけど、DCOでは自由自在のようですね。上昇ステータス値も凄いですよね~。


 ベアーハットは名前どおり帽子ですね。賢さが上がるうえ、体格(守備力)もあがるので魔法攻撃型には好まれそうです。


 熊の武闘帯は……帯ですね。それ以外どう説明したら良いのでしょうか?制作評価が6なので上がるステータス値も下がっていますけど、なぜかアクセサリとしての装備部位なので問題ないと思います。


 最後に毒熊人形。ベータ版では未実装である【人形操作】があれば自動で戦闘に参加してくれるそうです。それも裁縫のスキルで修理までできる優れもの!人形操作スキルがベータにあったら【ジャンプ】と入れ替えていたことは間違いありませんね!




 とりあえず今あげた高評価のものは自分に装備するとして~残った評価4~6のものはバザーに出しておきましょう。

 毛皮の単価が高かったのでその分高くしても売れるはずだと思い評価4のものを1800C、評価5のものを2800C、評価6のものを4000Cにして出品。 ここまで終えたところでログアウトしました。

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