βテスト 1-2
本日三度目のログインをした私は早速手に入れた薬草、麻草、毒草、ウルフの毛皮等を使って糸作りを始める。
まずは薬草はその名の通りポーションの材料ですね。その薬草から抽出した繊維で作った糸はというと…… 《癒し糸LV1が完成しました。レアリティ1。制作評価2/10》
次に麻草。この麻草はこの辺では一番糸にむいている植物だという。が本来この麻草は弱マヒ薬を作る素材であるが私がそんな事を知っているわけもなく、黙々と糸作りに精を出しできた結果が……
《麻の糸が完成しました。レアリティ1。制作評価4/10》
レアリティは低いのは分かるけど以外と評価が高いようです。これは先も言ったとおりその加工に向いた素材を使い作り出せば評価が上がりやすいと言うことです。
続けて毒草とウルフの毛皮からも糸を作り出した結果こういうのができました。
《毒の糸が完成しました。レアリティ2。制作評価2/10》
《ウルフの毛糸が完成しました。レアリティ1。制作評価3/10》
「名前が分かっても効果が調べられないのはきついよね……。とりあえず毒の糸がレアリティ高いのが不思議。とりあえず名前を知るために一通り作ってみたけど……麻の糸を作るのが一番経験値稼げたね。
とりあえず素材はあるんだし、裁縫のスキルレベルあげがんばろぅ!お~!」
と言うことで2時間かけてウルフ以外の素材で作れるだけの糸を作り追えて数を確認してみると、癒しの糸が176/225本余り薬草1つ、麻の糸が141/160本余りは無し、毒の糸は32/95本余りが毒草一つとなりました。たった2時間でこの数が完成したのは、裁縫が趣味のおかげかぜんぜん苦痛ではなかったことだろうね。普通の人なら10分くらいで放り出すんじゃないかな?
「裁縫スキルが最大の10になってるのはしょうがないよね。でも今はこれ以上あげれないのが悲しい。
だけど、このくらいスキルレベルがあれば取りあえずは服作りもできるよね!」
そう思い立った私は残しておいたウルフの毛皮を10枚全て取り出すと、早速毛皮をなめし始める。
既に毛皮の状態なのでこのあとは裁縫セットの中になぜか入っている皮をなめす為の薬品に漬け込み、少し待ってから毛皮を取り出し乾燥させる。勿論乾燥させる道具もなぜかセットに入っていました。品質は良くないですけどね?その後は裁縫スキルが最大になっていると働く勘を頼りに毛皮をもみ柔らかくして完成。
《ウルフのなめし皮が完成しました。レアリティ2。制作評価7/10。製品完成時(微)ボーナス付与》
「せ、制作評価7?道具が悪くてもスキルレベルである程度カバーできるのが分かったね!これなら残りの毛皮も同じようにできそう」
こうして残ったウルフの毛皮を全てなめし皮に加工し終えようやくメインとなる服作りに入る。
今回作るのはウルフレザーの服の上下セットです。皮が残れば他の部位も作りたいけど、上下すら出来るか分からないので、取らぬ狸の皮算用はしちゃいけないと思います。
だけどリアルで裁縫もとい自分の着る服を手作りしてきた私にとってこの程度の服を作ることは容易いはず!なので生産に入ると表示される手順を完全無視して自分のやり方で上着を縫い始めるべく、とりあえずなめし皮とメインに麻の糸、裏生地に癒し糸を用意して作業を開始した。
チクチクチク……
「ウルフレザージャケットが完成しました。レアリティ3.制作評価★10/10。装備時、体格+5(4+1)」
「で、できたぁ!でも表示が変?制作評価が最大で★がついてるし、ステータスボーナスもある……。
本来はウルフレザージャケットのボーナスは体格2だけなのが評価が高いおかげで2倍になってる上に素材のなめし皮の時についた微ボーナスがついたわけね」
でも、女の子に対して体格+5とか考えようによっては酷いわよね……和仁に言って変更してもらわなくちゃ女の子のプレイヤーが来ないかもしれないもんね。
……あれ?女性プレイヤーの心配なんて私がする必要ないよね。βテストの間しかやらないんだし!
と言うことで、βテスターだから報告はしてあげるけど見知らぬ女性プレイヤーのためなんかじゃないんだからねっ!
話がそれましたので本筋に戻しますね。ジャケットを作り上げたあとはズボン……ボトムスを作ろうと思います。ジャケットの時と同様に手順を無視して完成したのがこちら。
《ウルフレザーボトムスが完成しました。レアリティ3.制作評価9/10。敏捷+4(3+1)》
うん、途中ちょっと縫い方失敗したなぁって思ったんだけどそれが顕著に評価に現れてるね。それでも評価9もあるなら十分じゃないかな?
なめし皮も4枚ほど余ったのでもう一枚ウルフレザージャケット(制作評価8)を作っておきました。スカートを作るか迷ったんだけど、男女の比率を考えるとジャケットの方が売れそうな予感がするので……。
そういうわけで素材を使いきった私は、作ったジャケットとボトムスを装備して村の萬屋に向かった。目的はジャケットと余りに余った糸を半分ほど売り払う為です。お金がほしいのですよ……。
「ん?君はさっきウルフの群れに襲われていた子だね?無事に帰ってこれたんだね良かった良かった」
萬屋に入るなり私に声をかけてきたのは見覚えのある男性プレイヤー。そう森で私を助けてくれた人だ。だけど、やっぱり話せる気がしないので軽く会釈と挨拶だけで済ますべく行動に出る。
「そ、その節はありがとうございました。無事に戻ってくることができました」
「ははっ。気にしないで。俺も君と別れた後、心配はしてたんだ。だけど俺もオーク狩りのクエスト中だったからね」
「そ、そうでしたか……」
「……どうやら森の時と同様に話をしたくないみたいだね?まあ無事を確認できたし俺はこれで失礼するよ」
「あ、あの私はこういう性格と言うか対応でよく相手の気分を害することがあるようなので気にしないでいただけると助かります」
「了解。別に深くは気にしてないからいいよ。それじゃあね」
今更だけど私は学校というかクラスで高飛車な女として有名です。高飛車な態度になる理由はこの性格のせいなのですが、今更学校の皆のイメージを変えれる気がしないのでせめて初対面の人くらいには勘違いされたくない一心でした。
通じたか分からないけど、何とか男性プレイヤーの気分を底辺まで害する事は無かったようなので一安心です。私は店を出て行く男性プレイヤーを見送ると、萬屋で糸の売却をしていく。
売却値段は癒し糸は単価15Cで60本、麻の糸は24Cで30本、毒の糸は30Cで在庫の32本全てを売り払った。
こうして一気に2580Cを手に入れた私はポーションの補充(20C*10本)と裁縫道具を初級(420C)に買い換えておきました。この清算が終わり残金は1960C。ついでに萬屋の主人に近くに街は無いかを聞くと、村の北門を出て1時間ほど移動すれば街が見えるとのこと。私は萬屋の主人(NPCだと分かっていると普通に話せるんですよね)にお礼を述べると、村の北門から次の街へ向かうべく歩き出した。
町に行く目的は装備の一新ですよ?おもに剣……。町に行けばもしかすると私と同じくギリギリで始めたプレイヤーがいるかもしれませんしね。いたからと言ってどうこうするわけじゃないですけど。
歩き出して1時間後無事に次の街である《テレス》にたどり着いた。
私は、ステータス画面の街のマップから武器屋を選択しそこへ向かうことにした。道中たくさんのプレイヤーが仲良さそうに、時折こちらを見ながら喋っているのを横目に武器屋に入る私。
「おぅ!らっしゃい。何のようだい?」
入るなり声をかけてきたのは武器屋の店主だ。定番のいかつい顔に頭のテッペンは禿げているがそこは突っ込まない方が良いよね。
「予算1500位で剣がほしいです」
「ちょいっと待ってな!すぐ見繕ってやるからよっ!……おまちどぅ!コイツなら予算に合う威力を持ってるぜ!」
武器屋の店主が見せたのは、見習いソードより3ランクも上の《鉄銅の剣》と言うものだった。
……鉄なのか銅なのかはっきりしてほしい名前ですよね。武器の名前がおかしいことも報告しなくちゃ。
ちなみにお値段は1620C予算を120オーバーしているけど払えないことはない。
「予算オーバーだけど?」
「ふっ、俺様の目に掛かればお前たち冒険者の財布の中身などマルッとお見通しだ!」
そこで何でとあるドラマのセリフが来るの!?だがそれよりも突っ込むべき場所がある。
「私は冒険者じゃないです。村民です!」
私が言うと武器屋の店主は目を丸く見開き笑い出した。……何がおかしいのか!
「おう、そいつは悪かったな。だがまあお前ならこの剣を使ってれば十分戦えるだろ?お前が冒険者であろうと無かろうと俺には財布の中身などお見通しなんだよ!分かったらさっさと買いやがれ!」
「……く、この私が言い負かされた……?分かりました。買います」
別に言い合いにすらなっていないので言い負かされたと言うには語弊があるけど気にしないで。
もとより私は口が達者ではない事を自覚してますから……。
残り少ない残金から1620C支払い《鉄銅の剣》を購入し装備すると腕力+6と敏捷+3の補正がされて一気に火力が上がった気がする。これで残金は340Cとなった。私これでも社長令嬢なのに貧乏になってしまいました……。
これで武器と上下服の装備は更新されたので、安心して街の周囲の採取ポイントに向かえます。
ですが、ここで時間を確認するともう夜食の時間。夜食後は勉強の時間ですので本日のプレイはここまでですね。