夏です!海です!イベントです!? 1-1
七実がアメリカに行って一週間。日本も8月に入り、リアル方面ではチラホラと花火大会だの夏祭りだの海水浴だのと言う声が聞こえてくる。いえ、後者に関しては夏休み前から聞こえていましたね。
DCOでも夏休みイベントと称してイベントモンスターが配置され倒す事でNPCに渡す事で色とりどりの《特性花火》を作る材料である《特性火薬》や《特性紙筒》や、暑い時期だけに水系フィールドに入れるようになる装備《特性水着券》を集めるイベントが開催されています。
ミヤさんとヘルガさんも水着券を取得する為にイベントモンスターを探して東奔西走しているようです。あっ、先日ヘルガさん関連でミヤさんが拗ねていましたけど、(ヘルガさんが綺麗な女性に声を掛けられついて言ったって言うアレですよ?)実はアレ逆ナンなどではなくヘルガさんの親戚だったと言うオチがありました。
まあとりあえず仲直りというかミヤさんの一方的な思い込みが解消された事でまた二人は仲良くパーティプレイを楽しんでいます。ちなみに2人のレベルは14だそうで私の半分です。先週ナナがいる時に頑張りすぎちゃったみたいですね。テヘペロッ……私のキャラじゃないので言ってて気持ち悪いです……。
あと参考までにレベル上げを中心にやってる人たちが最高現在LV18~20らしいですしね。
「レイカ、またこんなもの作って!こんなすごい装備、私達が買えるわけないじゃないの!」
「だよなぁ。さすがに評価高くてステータスボーナスががんがんついてるような装備を友人割引があったとしても買えないなぁ」
ミヤさんとヘルガさんは私の作った評価6や7の装備をみてそんな事を言ってます。でもβの時も似たような性能だったんだから問題ないですよね?
「だから前に素材提供分で割引するっていったよね?動物系の毛皮持ってるなら出してくれていいんだよ?多ければ多い分安くするからね」
「私達が言いたいのはそこじゃなくて、序盤から高性能な装備を手に入れたら楽しめないって言ってるのよ」
えぇ?そんな。普通ゲームというのは強い装備を手に入れて戦っていくのが普通なんじゃないの?とこういったゲーム初心者である私が思ったのは仕方ない事です。
「あのね?レイカ。確かに強い装備があればその分、戦いは楽になるけどね。装備がよくて弱いモンスターを倒していたらベースレベルは上がってもスキルレベルが上がりにくいのよ」
「そ、そうだったの?」
「えぇ、同じレベルで同じステータス値の双子がいるのだけどその子達が片や現在のNPCから手に入る中での最高装備を。もう片方は序盤辺りの装備で同じ敵同じ数を1時間倒した結果、スキルのレベルに差がついたみたいなの。フル装備をしたプレイヤーは総合で1つ、序盤装備で倒したプレイヤーは3つもスキルレベルを上げることができたのよ」
と言う事はなんですか?私とナナのレベルが高くなったのはそのせいかもしれません。いくら評価7といってもウルフレザー装備なんて序盤の素材で作ったような装備ですもんね。そんな装備で2~3段階も格上のモンスターを倒し続ければそりゃあ強くもなりますよねぇ。
「とにかく、私達はこの装備を買うことはできないわ。せっかく作ってくれたのに申し訳ないけど」
「俺としては楽になるならその方がいいんだけどミヤがそういうなら俺も付き合わないとな。だがいい素材を手に入れたときは製作を頼むぜ」
「そう?分かったわ。素材があるなら連絡くれれば作るからいつでも連絡くれればいいですよ。そのかわりヘルガさんはメッセージのみでお願いしますね」
「……まだ俺とチャットしてくれないんだな」
とにかく二人は私の装備を買ってくれないというので二人に渡すつもりだった評価7越えの装備はバザーへ。ヒラメキに素材を鑑定した上で適切な処理をするという情報を流してからは、まだ一部とはいえ評価6や7前後の製品が流れ始めているので私も安心して出品できるようになったのです。
いつも出している露店にウルフレザー製品を並べておき自動販売モードにしてから私は日課である生産の施設へ向かいました。
最近取り組んでいる内容はナナと一緒に倒したモンスターの素材を装備にすること。ドリルバッファローやミニデーモン、ガンセキトカゲというモンスターの素材を研究していると言うわけです。
ナナとの約束ですからこれらの素材を使いこなせるように頑張っているのですが如何せん私の裁縫のレベルが低く扱いきれないのですよねぇ。
ちなみに今あげたモンスターのランク的には熊よりも少なくとも3ランク程上位です。その熊系装備の難易度はウルフの次なので私にとって丁度いいのです。何が言いたいかといいますと熊系装備でちょうど良いのにそんな上位の素材を扱えるわけがない!ってことです。
熊系素材を得るには平均レベル16くらいのパーティでいく大森林ダンジョンで取得できますけどダンジョンは基本PT推奨と言うのでちょっと一人で行動してる私は入りにくいのですよね。
数日前ダンジョンに一人で入ろうとしたら男性4人のパーティにしつこく言い寄られてしまいましたし。
その時、私の高飛車モードが発動しちゃいまして結果、少々罵倒されて泣く泣くかえってきました。あれ以来一人でダンジョンにいくのは遠慮してるので熊系素材が欲しければバザーで買う以外手に入りません。
当然バザーで買うにもお金が必要なわけでその資金を稼ぐにはウルフまで戻りウルフレザー装備を作って売るしかないと言うわけです。ナナと二人だったら他の人の進行状況などを無視して行ける限り先に進んでいたんですけど。
で、生産施設での話に戻るのですが、砂丘ウルフやデザートウルフを乱獲して毛皮を大量に取得したのでなめしている最中なのですよ。このなめし作業もなれた物で最近は評価9や10など余裕で出ます。
そしてそんな素材で作ったウルフレザー装備も言わずもがな……ですよね。
《ウルフレザージャケット:レア★★、評価9、体力+3、体格+2、腕力+4》
《ウルフレザージャケット:レア★★、評価9.5、体力・体格+5》
《ウルフレザーフード:レア★★、評価10、魔力+6、賢さ+7、敏捷+2》
《ウルフレザースカート:レア★★、評価9、体力+4、敏捷+5》
《俊狼の靴:レア★★★、評価9、体格+2・敏捷+7》
といった装備がどんどん作られていきます。3つ目の俊狼シリーズというのですけども、ウルフレザー装備を作っていると完成時に偶に見た目と名称が変わったのができるのです。私が確認しているのは現在装備中の靴とフード、スカートも俊狼シリーズなどです。
なので最近はウルフレザージャケットかウルフレザーシャツを大量生産し、俊狼シリーズにならないか試しています。
全て揃っていないですけども俊狼シリーズのおかげで被ダメージがかなり減ったことにより先ほど述べたデザートウルフや砂丘ウルフの群れに囲まれても問題なく魔法を行使し殲滅する事ができるというわけです。
「やぁ、レイカ。またウルフ装備作ってるの?」
「うん?あぁ、こんにちはヒラメキ。質問に関しては見てわからないかな?」
「うっ、まあ見れば分かるんだけど一応聞いとくのがいいかと思ってね」
「まあいいんだけど……それで私に何か用事?」
「いや違う。俺のほうの生産が素材切れで落ち着いたからバザーに買いに行こうと思った途中で見かけたからな」
「ふーん。どんな素材を探してるの?」
「やっぱ宝石だな。俺の細工も20になったんでね。そろそろ上の物に挑戦したくなったんだ」
「そうなんだね。残念ながら宝石系はもってないわね。持ってたら高く売りつけれたのに……」
「おいおいひでぇな、レイカ。 ……んじゃまあ買い物行ってくるわ。じゃあな」
ヒラメキは言いたいことだけ言うと外に出て行ったのですがしばらくあとに慌てて入ってきたのです。
「な、なあレイカ。へんなこと聞くけどよ。水着って作れるのか?」
「いきなりなに?裁縫スキルにある項目しか作れないから今は無理ねぇ。レシピが手に入れば作れると思うけど?」
「じつはな?夏のイベント中、水着着用ででいけるようになるマップがあるんだが、そこにレアな宝石というかレアな素材が数多くあるっていう情報を得たんだ!」
「へぇ……それで?」
「その鉱石を採りたいから水着を作って欲しい!」
「だからレシピがないと無理だってば……」
「レシピは今やってるイベントをクリアすれば手に入るんだ、だから一緒にやらないか?」
「うーん。二人では無理よ?ヒラメキには失礼だけど、貴方戦闘系スキル育ってないわよね?」
「……あぁ。未だに小刀がレベル3ってとこだな」
レベルを聞いて私は悩みました。サービス開始後まもなくのイベントですのでモンスター自体は強くありません。たぶんヒラメキ一人でも倒そうと思えば倒せる程度でしょう。でもそうなると戦闘時に活躍してしまった私がレベル高いのがばれてしまう可能性があるのですよね。
抑えて戦えばいいといわれても、私は何事も本気で挑む事が信条ですから手を抜く事なんてできません。ですがここでふと人数が増えれば本気を出さなくてもいいかもしれないと思い至りました。
まあそれでもイレギュラーが起きた場合に本気を出してしまったらその分たくさんの人にばれるのですから。
少し前にも言いましたが現在最高レベルは18~20位。私はベースレベル28でスキルに至ってはマスター寸前もあります。前に絡んできた4人の男性パーティも自分らは17だぜ!とか言ってたので……。
「あと1人か2人、前衛を集めてくれるなら一緒に言ってもいいよ。私は回復魔法と簡単な魔法しか使えないから」
「分かった!何とか知り合いをあたって聞いてみる。ぜってぇ集めるから準備しといてくれよ?」
それだけいうとヒラメキは登録しているフレンドに片っ端からチャットをつないでいく。
最初の方のフレンドは既にイベントをクリアしてたりパーティを組んだりしていたらしいのだが後になるに連れてヒラメキの嬉しそうな声や落胆した声などが聞こえてくる。
そんなこんなで1時間ほど粘った結果……
「見つかったぞ!ファイターが一人とマジシャン一人だ。この2人は最近よく俺の露店に来てくれるようになったヤツラなんだが多分強いと思う」
「みつかったかぁ。しょうがない、約束だからついていくわ。待ち合わせはどこなの?」
「現実時間で今から30分後、場所は町の南門だ」
「分かった。じゃあ準備してくるわ」
「おう!」
それにしてもファイターとマジシャンのコンビってぜんぜん嫌じゃあないけど変な予感しかしないわよねぇ。でも一応どんな人たちかなぁ?
名前 レイカ
種族 魔族
職業 マジシャンLV28
スキル 【裁縫22/30】・【採取19/30】・【風魔法29/30】・【精神統一26/50】
【魔法運用の知識26/50】・【香料士11/30】・【誇り(プライド)32/50】・【体⇒魔変換14/50】
特性 闇の加護・古き英雄の記憶・下克上
ステータス 体力5(+12) 魔力21(+8) 腕力1(+4)
体格5(+9) 賢さ24(+13) 敏捷9(+10) 運5(+5)
ステータスポイント 残り 0
スキルポイント 残り 7
風魔法;ウィンドボール・ウィンドカッター・ウィンドヒール・テンペスト・サンダー・アンチパラライズ
裁縫:糸作成・鑑定・飾り縫い・良品成功率上昇
採取:採取ポイント発見・採取個数アップ・レア発見率+2%
精神統一:魔力自然回復量上昇(小)・魔力値+2
魔法運用の知識:魔法攻撃力上昇(小)・賢さ+2
香料士:モンスター遭遇率・狙われやすさが微上昇・香封・開放
誇り(プライド):格上と戦闘時、腕力(物理攻撃力)・賢さ(魔法攻撃力)が中上昇。
体⇒魔変換:体力10%と引き換えに魔力を14%回復




