正式サービス 1-9
昼食後、女神像前の広場にログインしたらすでにナナが待っていた。ナナは午前中一緒に遊べなかった事でフラストレーションがたまり、予定より早くログインしてしまったとの事。
DCOでは現実世界の3倍の時間経過なので現実時間で10分であればDCOにおいては30分待っていたと言う事になるのです。
「わたし?んと、ログインしたのは約束の30分前だよ?」
「と言う事はこっちでは90分も待っていたのね……。そんなに待つのならログイン前に連絡してくれたらよかったのに……」
「だーいじょうぶだよ~。速く来ちゃった分は森で狩りをしてたんだから。ただでさえレイカちゃんとLV離されちゃってるから少しでも縮めないとね」
「そう。でLVはあがったの?」
「勿論だよ!ウルフの群れをたくさん倒してLV11になったから大分追いつけたんじゃないかなぁ」
LV11と言うと私ともう1つしか変わってないですね。特性の経験値20%上昇ありの私で12なのにそれにたった1時間で追いついてくるナナが凄すぎます……。
「ウルフたくさん倒してたら反獣の証って言うアイテムも貰ったのよ」
「聞き覚えのないアイテムね?見せてもらってもいい?」
「いいよ~」
反獣の証:使用すると特性《獣ハンター》を会得できる。効果は獣族モンスターに与えるダメージ+10%。
ナナに見せてもらったのは反獣の証で短時間で多数の獣系モンスターを倒した偉業をたたえるアイテムだった。要するに使用すれば特性が増えるのです。
「ナナ凄いね!このアイテム使えば特性が一つ増えるみたいよ」
「そうなんだ~。じゃあ使ってみるね!」
名前 ナナ
種族 亜人族獣
職業 ファイターLV11
スキル 【薙刀10/30】・【腕力強化8/50】・【ステップ8/30】・【索敵13/50】・【採掘1/30】
特性 第六感・獣ハンター
ステータス 体力13 魔力3 腕力11 体格9 賢さ2 敏捷12 運5
ステータスポイント残り0
スキルポイント残り2
となりました。
「ナナ、スキルポイントが2ポイントあるみたいだし何か覚えてみたら……あぁ!そうだ」
「え?ど、どうしたのレイカちゃん?」
「ナナは補填アイテムのメール見た?」
「うん。スキルポイント券だっけ?」
「まだ使ってないよね?」
「使ってないよ~」
「それなら今から一緒に使いましょう?」
「いいよ!」
アイテムボックスから取り出した後、スキルポイント券を使用してみたところ
《レイカはスキルポイントを2ポイント取得しました》
《ナナはスキルポイントを3取得しました》
「私が2ポイントでナナは3ポイントかぁ普通は1ポイントばっかりだって言うから私達ツイてたね」
「そうなんだね~。それでこのスキルポイントって何なのかな?」
「……そこから説明しないとダメなのね……これはね……」
15分にわたる説明を終えてナナがスキルについて理解した所でとりあえず一つスキルを覚えてみると言うので私は相談にのりつつ一緒に考える。
「ナナはこれから私以外にも組む人が増えるかもしれないからPTでも使えるスキルを取得したらどうかな?」
「え?私他の人と組む気なんてないよ?」
「でも修行式の日にクラスメートの男子に誘われていたでしょう?……名前思い出せないけど」
「あ~、うん、そういえばそういうこともあったね。忘れてたよ~」
「……と、とにかく多人数で遊ぶ事もあるかもしれないし、ナナが取ってくれると嬉しいんだけどなぁ?」
「取る!私絶対そういう系のスキルを取るよ!」
私のお願いであっさり自分の意志を曲げたナナは最終的に【挑発】のスキルを取得しました。このスキルは通常、攻撃を加えたりしないと稼げない憎悪値を相手に触れずして稼ぐ事のできるスキルです。私みたいな後衛職業を守るには最適なスキルともいえるでしょう。
「スキルも取ったしリベンジにいきたい!」
「そうね。でもその前にこの装備をつけてね」
砂丘へ行きたいというナナを引きとめ、私が渡したのはウルフレザー製のジャケット・ボトムス・ハットに加え、運が上昇するアクセサリの蛇皮のミサンガを2つ。
「わわわっ!?何この装備?私のステータスが軒並み上昇したよ?運なんて+3だよ?」
「この装備があればリベンジなんて楽勝よね?」
「こんないい物。さすがレイカちゃん!大好き~」
「どういたしまして。さあ砂丘に行きましょうか」
「っ!?レイカちゃんに最後の言葉に関してスルーされた!」
後方で落ち込むナナを放置して砂丘方面へ進んでいると現れたのは砂丘ウルフ。単体では大したことのない相手ですが残念ながら今回の数は4体と少し多めです。
「レイカちゃんが私をおいていくから囲まれるんだよ~!もぅ」
「ナナなら来てくれるって信じてたもの。現に今来てくれてるじゃない」
「レイカちゃん……」
なんて話してる間にも砂丘ウルフは襲い掛かってくるわけで……
「も~~五月蝿い!私とレイカちゃんの邪魔をするなぁぁ」
1分たたないうちに砂丘ウルフの姿は素材に変化していました。ナナが新しい特性獣ハンターを取得したおかげで砂丘ウルフにも大きいダメージを与えられるのでよほどの数に教われない限り大丈夫なはずです。いざとなれば【挑発】を使ってでも私を守るっていってたけどそこまでしなくてもいいんだからね?
というか、いざという時のために【挑発】を役立てるように常日頃から使って欲しいのですけど。
砂丘ウルフのドロップも森にでるウルフと同じくウルフの毛皮なのですが時折レア度が違うものがでます。森ウルフの毛皮が★とすると砂丘ウルフの落とす毛皮は★★がちょくちょく混じってくるのです。
「レイカちゃん……」
「……ナナ。そのくだりはもう良いのよ。先へ進みましょう」
「うぅ、レイカちゃんが冷たい……全部ウルフのせいなんだ……種として全滅させるまでこの恨み晴れることはないんだから~!」
「こらぁ。何怖い事言ってるの!……早く来ないとおいて行くよ?」
「あぁ~。おいてっちゃだめぇぇ!」
「ハァ……ハァ…」
「さすがに……疲れてきたかも」
砂丘ウルフ戦以降、なぜか敵との遭遇率が前回に比べ異常に高い事に気づきました。前回来たときは砂丘ウルフを探すのさえ苦労していたのですけど、今回は戦闘が終わって休憩する間もなく次のモンスターが襲い掛かってくるのです。例で言うとサンドワームとかサンドワームとかです。
「魔力的には全快だけど精神疲労的な意味できついわね」
「うん。なんでかな?」
レア度が高い目の素材が10個たまるほどのサンドワームを倒しているうちに私達のベースレベルがあがり私が16、ナナが15となりました。勿論このステータス振りは忘れず行いました。
名前 レイカ
種族 魔族
職業 マジシャンLV16
スキル 【裁縫16/30】・【採取16/30】・【風魔法17/30】・【精神統一15/50】・【魔法運用の知識14/50】・【香料士8/30】・【誇り(プライド)7/50】
特性 闇の加護・古き英雄の記憶
ステータス 体力3 魔力12(+2) 腕力1(+1) 体格3(+1) 賢さ10 敏捷8(+4) 運5(+2)
ステータスポイント 残り 0
スキルポイント 残り 2
風魔法;ウィンドボール・ウィンドカッター・ウィンドヒール・テンペスト
裁縫:糸作成・鑑定・飾り縫い
採取:採取ポイント発見・採取個数アップ・レア発見率+2%
精神統一:魔力自然回復量上昇(小)
魔法運用の知識:魔法攻撃力上昇(小)
香料士:モンスター遭遇率・狙われやすさが微上昇・香封・開放
誇り(プライド):格上と戦闘時、腕力(物理攻撃力)・賢さ(魔法攻撃力)が中上昇。
名前 ナナ
種族 亜人族獣
職業 ファイターLV15
スキル 【薙刀13/30】・【腕力強化10/50】・【ステップ11/30】・【索敵15/50】・【採掘1/30】・【挑発8/30】
特性 第六感・獣ハンター
ステータス 体力12(+4) 魔力3 腕力14(+5) 体格10(+3) 賢さ2 敏捷10(+2) 運5(+3)
ステータスポイント残り0
スキルポイント残り5
となりました。ナナのスキルポイントが増えたのでリベンジが終わったら適当にとっておいてもらおうと思います。何でもかんでも私が横から口出ししちゃダメだと思いますし。
私の【誇り】はサンドワーム戦で凄い勢いで上昇しましたね。スキルレベルが低かったのとサンドワームが強い事から取得経験値が上がったのでしょうか?まあその辺は私が考えることではないので他の人の検証した情報を待つことにします。
そしてとうとう恋焦がれていた相手を発見しました(いえ、この場合発見されたなのでしょうか?)
「グルルルッ!」
吠えるデザートウルフと砂丘ウルフの群れ。砂丘ウルフの数は少なく見積もっても20体。
「前回は13体だったはずだから前回よりも大分と多いわね。ナナ気をつけて!」
「任せて!前のようには行かないって事……見せてあげるんだからっ!【挑発】!」
「え?ちょっとナナ?いきなり挑発なんてしたら全部あなたのところに行くじゃないの!」
挑発が発動した瞬間私が指摘したとおり砂丘ウルフが全てナナのほうに向かって走り出した。
「大丈夫だよ!近づかせないから!新しい特技も覚えたしね。【嵐払】」
ナナの放った薙刀特技も【嵐払】は広範囲に攻撃する特技でした。威力的には通常攻撃の80%+風属性がつき、近距離にいる対象には多段ヒットも狙えるのです。
それにしてもナナが目立ちすぎて私がぜんぜん戦えません……。私も戦いたいのに。
【嵐払】により、20体いた砂丘ウルフは残り4体となっていました。ナナ、やっぱり減らしすぎだよぉ。
これ以上ナナに手柄?を取られるわけにはいかないので残った分くらいは私が始末する為魔法を詠唱。
「ナナ!魔法いくよ!離れて!」
「はーい!」
「荒ぶる風よ吹き荒れ嵐となれ!【テンペスト】」
私の風魔法で起きた中範囲の嵐によって体力の減っていた砂丘ウルフは根こそぎ排除しても嵐は収まらず、デザートウルフに向かいます。デザートウルフは素早さを活かして逃げようとしますが最初にいた位置が悪く嵐に飲み込まれました。
「グルゥ!ガウ……グオォォォォン!」
ボロボロになった状態での遠吠えは仲間を呼ぶということは前回学びましたので、私が続けて取った手段は再度テンペストの使用。精神統一が15を超えてから回復速度と回復量が少し増えたことにより魔力残量の関係で連続で使えないはずだったテンペストを2度使えるようになったのである。
デザートウルフが新しくよんだ砂丘ウルフの数は8体。呼び出された場所がデザートウルフの近くだったので纏めて吹き飛ばすべく私はテンペストを発動した。
「ふっきとベぇー【テンペスト】」
以前の苦労は何処へやら。新魔法によりあっさりと殲滅に成功しました。
「ねぇ……レイカちゃん、今回ぜんぜん苦労しなかったね」
「そうね。楽に倒せたんだからよかったんじゃないかな?」
「うーん。物足りないよ?もっと強いと思ってたのに」
「それなら強いモンスター探しに旅に出る?」
「それもいいんだけどね。実はレイカちゃんに言っておかないとだめなことがあるの」
「え?どうしたの改まって?」
「来週……正確には明後日から夏休みが終わる8月末までの約4週間、帝王学・経営学を学びにアメリカに行くことになっちゃったの……」
「えぇ!?それはまた……いきなりね。どうかんがえても家の関係よね?」
「うん。せっかくレイカちゃんと楽しめると思ったのにごめんね」
「そっかぁ。残念だけど家の用事じゃあ、しょうがないわよ」
突如、用事でログインできなくなると告げたナナにショックを受けつつも、私は笑顔で送り出す事ができた(と思う)。
翌日準備に忙しかったはずなのにいつもどおりナナがログインしてきたので思いっきり楽しむべく始まりの街から飛び出し私達は一つずつマップを進んでいき二人掛りでようやく倒せるモンスターのでるエリアへ行きスタート4日目とは思えないほどレベルを上げることができた。
名前 レイカ
種族 魔族
職業 マジシャンLV28
スキル 【裁縫16/30】・【採取16/30】・【風魔法29/30】・【精神統一26/50】・【魔法運用の知識26/50】・【香料士8/30】・【誇り(プライド)32/50】・【体⇒魔変換14/50】
特性 闇の加護・古き英雄の記憶・下克上
ステータス 体力3 魔力12(+2) 腕力1(+1) 体格3(+1) 賢さ10 敏捷8(+4) 運5(+2)
ステータスポイント 残り 0
スキルポイント 残り 7
風魔法;ウィンドボール・ウィンドカッター・ウィンドヒール・テンペスト
裁縫:糸作成・鑑定・飾り縫い
採取:採取ポイント発見・採取個数アップ・レア発見率+2%
精神統一:魔力自然回復量上昇(小)
魔法運用の知識:魔法攻撃力上昇(小)
香料士:モンスター遭遇率・狙われやすさが微上昇・香封・開放
誇り(プライド):格上と戦闘時、腕力(物理攻撃力)・賢さ(魔法攻撃力)が中上昇。
名前 ナナ
種族 亜人族獣
職業 ファイターLV25
スキル 【薙刀23/30】・【腕力強化19/50】・【ステップ18/30】・【索敵22/50】
【採掘12/30】・【挑発16/30】・【ノーガード11/50】・【体術15/30】
特性 第六感・獣ハンター・下克上
ステータス 体力16(+2) 魔力3 腕力21(+2)
体格14(+3) 賢さ2 敏捷12(+2) 運5(+3)
ステータスポイント残り0
スキルポイント残り6
私もナナも特性に【下克上】が追加されました。これは文字通り格下の私達が何度も続けて格上のモンスターを倒した事で取得できました。ナナの時みたいに証系アイテムで特性が増えるのかと思いましたが普通にシステムメッセージで知らされた事で休憩するまで気づきませんでした。
特性【下克上】はモンスター討伐時の経験値が10%増えると言うものです。これにより私はソロで狩をすれば30%割り増しで経験値が稼げるようになりました。ナナと組んでる間は効果は10%ですけどね。
次にスキルですが私は新しく【体⇒魔変換】を取得。このスキルは体力を魔力に変換するスキルです。
スキルレベルを上げれば変換効率が上がりますのでこの先きっと役に立つと思われます。
ナナの新しいスキルは【ノーガード】と【体術】の二つ。
【ノーガード】は文字通り敵の攻撃を防御を捨てて受けるスキルです。一見クズスキルですが……実際クズスキルでした。取った本人は気にしてませんでしたけど回復する身になってほしいですけどそのおかげで風魔法のレベルが上がったのも事実です。
【体術】はナナのステータスを活かし取得当初でも強いモンスターにダメージが通りびっくりしましたよ~。
スキルポイントは新しい物を取得したにもかかわらず二人して余ってしまいましたがスキルのレベルアップにも消費するかもしれないのでとりあえず【風魔法】が30になるまではおいておこうと思います。
「……今日はもうおしまいだね」
「そうね。また一緒に狩をしにきましょう?できるだけレベルあげずに待ってるからね?」
「えぇ!?あげててもいいよぉ~。そうじゃないと私が追いかける楽しみがなくなっちゃうもん」
「わかったわ。じゃあ気が向いたらあげておくことにするわね」
私の言葉にナナは頷きナナから今日一日で大量に取得した素材を受け取る。
「この素材で凄く強い装備作って置いてあげるから安心していってらっしゃい」
「うん。レイカちゃん。また戻ってきたら連絡入れるからね?」
「ええ。まってるよ」
こうして次の日、七実は家族ともどもアメリカへ旅立っていきました。
名前 レイカ
種族 魔族
職業 マジシャンLV28
スキル 【裁縫16/30】・【採取16/30】・【風魔法29/30】・【精神統一26/50】
【魔法運用の知識26/50】・【香料士8/30】・【誇り(プライド)32/50】・【体⇒魔変換14/50】
特性 闇の加護・古き英雄の記憶・下克上
ステータス 体力5(+1) 魔力21(+2) 腕力1
体格5(+1) 賢さ24(+2) 敏捷9(+2) 運5(+3)
ステータスポイント 残り 0
スキルポイント 残り 7
風魔法;ウィンドボール・ウィンドカッター・ウィンドヒール・テンペスト・サンダー・アンチパラライズ
裁縫:糸作成・鑑定・飾り縫い
採取:採取ポイント発見・採取個数アップ・レア発見率+2%
精神統一:魔力自然回復量上昇(小)・魔力値+2
魔法運用の知識:魔法攻撃力上昇(小)・賢さ+2
香料士:モンスター遭遇率・狙われやすさが微上昇・香封・開放
誇り(プライド):格上と戦闘時、腕力(物理攻撃力)・賢さ(魔法攻撃力)が中上昇。
体⇒魔変換:体力10%と引き換えに魔力を14%回復




