海外からの刺客? ①
更新頻度は相変わらず、トロイですけど更新していきますー。
《新システムその他のアップデート作業の為、現在 Dream Community Online はプレイできません。作業終了予定は正午頃となっております。ユーザーの皆様にはご不便をおかけしますがご了承ください》
正式サービスが開始されて2年目の7月某日。別の言い方をすると前期の試験を終えた大学の夏季休暇開始まで後数日といった頃合。
講義まで多少の時間があった私がDCOにログインしようとした所、このようなテロップが流れ接続できない状況となっていました。
「あら?今日アップデートするなんていう告知あったかしら?」
数日前の休日に実家に帰り、家族で他愛のない会話をしていた際にDCOを制作した会社の社長であるパパとも話をしたのですが、このようなアップデートが入るなんていうことを聞いたことがありませんでした。
「うーん?突発的に何かあったのかもね。まあ出来ないものはしょうがないから、学校に行くとしましょうか……」
この時間に先日行われた1周年イベントで取得したアイテムの整理をしたかったんですけど仕方ありませんね。正午に終わる予定らしいけど講義のあとはアルバイトもあるし、ログインはいつもどおりになるかしら……。そんな事を考えながら大学に向かう私に後ろから声を掛けてくる人がいました。
「あっ、鏡さん。こんにちは!」
「あら、姫島さん。久しぶりね」
姫島さん……DCOではシュリというプレイヤーを操る高校時代のクラスメートです。
ここ最近の彼女は大学での講義に加え、終わるとすぐに三枝社長の雑誌社……でのバイトが忙しく、なかなかDCOにログインできない日々が続いているんだそうです。一周年記念イベントも1度だけダンジョンの上層に入ったきりであまり楽しめなかったとか…それはご愁傷様です。
「鏡さんは今日DCOにログインするのかな?」
「?えぇ、勿論しますよ。アルバイトが終わってからなので20時くらいになると思いますけど」
「そう。あのね良かったら今日一緒に行って欲しいフィールドがあるから付き合って欲しいんだけど…お願いできないかな?」
「勿論かまわないわよ?ログインしたらメッセージを飛ばすって言う事で良いかしら?」
「うん、それでお願いします!それじゃあまた後で!」
「分かったわ」
会話をしながら、姫島さんはたしかドリコム派だったと思うんだけどいつからDCO派になったのかしら?……等とどうでも良いことを考えていたのは余談です。
姫島さんと会話を追えたあとは講義を受けましたがバイトまでは少し時間があまるので、入学以来ほとんど顔を出さなかったサークル【ゲーム同好会】に顔を出し、そこにいる面々を驚かせました。そこでは美弥子や沙菜依さんとDCOの情報交換など会話を楽しみました。数ヶ月前の事件以降、男性と距離を取っていた私ですがヘルガこと慎さんとの会話も少しとは言え、再開出来る程度には精神的にも落ち着いてきたようです。
同好会を後にしてからはエトランゼでのバイト。穂邑さんやジョーさんと仲良く喋っている時にその話は突然なされました。
「そうそう聞いて聞いて!私、明日からDCOデビューするの!かがみん、そういうことだから明日は付き合いよろしく!」
「えぇっ!?」
このコメントを発したのは穂邑さん。聞いて見れば私のリアル割れに伴うストーカー事件以前から、バイト休憩中に私が話していたDCOに興味を持ち始めていたみたい。私としては、先に述べた理由から新しくはじめるという気概にぐうの音も出ない。
「確かに今から始めるのは時期的にもちょうど良いとは思いますけど……本気ですか?」
DCOは2周年目に入り、新規参入プレイヤーが加速度的に増加していて、それを狙ったベテランプレイヤーの自陣引き込みなどが目立ちつつある。かく言う私のギルドも、めぼしい新人を探していたりする……おもにナナが。
「もちろんよ。その為にここ最近シフトを増やしたんだからね」
事実、穂邑さんはバイトリーダーであるジョーさんと同等位の頻度でシフトに組み込まれていた事を思い出しました。それにバイトの終わりに皆で食事に行こうという話が出た時も、お断りが多かったような気がします。
それもこれもDCOをプレイするための環境づくりだったわけですね。納得しました。
「分かりました。明日からなのでしたら最初の指導くらいはきっちりさせて貰いますよ」
「ありがとう助かるぅ~。持つべきものはバイトと大学の後輩ね。ゲームの方では先輩だけど…ね?」
なお、穂邑さんは明日のシフトに入っていませんが、私はシフトに入っていますのでログインする予定時刻を伝えておきました。それまでの間、穂邑さんは一人でDCOを探検するつもりだそうです。
「もし、私じゃなくてもよければ七実辺りに声をかけてくれれば飛んでくると思いますよ」
「あっ、そこは盲点だったよ。ありがとう。後で七実ちゃんに聞いてみるよ」
私としては七実に任せるのは心配なんですけど、言っちゃったものは仕方ありません……よね。
そんなこんなでバイトも終わり帰宅。冷蔵庫から取り出した食事の暖めなどをシャワー中に済ませておき、上がってすぐに食べられるようにしておくことでログインまでの時間を縮めておきました。
まあこれほど頑張って短縮しても結局ログインは20時数分前になるんですけどね。
午前にやっていたメンテナンスの内容を確認すると、海外で試験的にサービスを展開していた《DCO:海外版》との同期作業だったみたいですね。海外で試験をやっている事もパパから知らされていなかった私ですがそこまで驚きはありません。パパから聞いてなくてもそういう噂がネット掲示板で流れていましたから。
海外版との同期をした事で海外のプレイヤーとも交流できるようになり、コミュニケーションを取れるように対応したという報告でした。言語は一応そのプレイしている国に合わせた自動翻訳機能が付いているそうですが、微妙におかしい文法などもあるそうです(しかし、きっちりした翻訳は出来無いのでご了承くださいとのこと)。同じ日本でも方言を使われると伝わらないことがあるんだし、大体こちらの言いたい事が相手へ、相手の言いたい事がこちらに伝わってれば良いと思います。
勿論同期に伴いサーバーメンテナンスもしたので大人数がログインしてもラグなどはほとんど無いみたい。
そこまでの確認を終えたところでシュリにログインした旨のメッセージを送りました。暫く待っているとシュリからの返事が届きました。そこに書かれていたのは……
「第3エリアの《ジューノス》の街にある《古代図書館》にきて~!」