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1周年イベントと……  ⑫

 イベントダンジョンボスである夢幻の邪神王の右手・左手を倒し終えた私達は今もなお戦いを続けているナナ達のところへ向かう。

 まあソフィーが回復に専念してるし、ナナ達の様子を見る限り問題は無さそうですけどね。


 「お待たせ。ちょっと遅れたかしら?」

 「ぜっんぜんそんな事ないよ~。レイカちゃんなら遅れて駆けつけるくらいがちょうど良い見せ場になるからね」


 人を最終兵器みたいに言わないでほしいわね。私と似たような能力を持っているナナ、アンタも同類なのよ?自分の言葉がそのままブーメランになってるんだから。

 っと、ナナへの文句はこの辺にしておいて……


 「ソフィー、魔力は大丈夫?」

 「あ、はい、まだ暫く大丈夫ですけど、どうかしましたか?」

 「私も少しだけ暴れてみようかなって思ってね?ほらギルド狩りしてると、どうしても後衛が多くなるじゃない?そっちのルルカみたいに私も思う存分動きたい気分なのよ」


 この会話を聞いたナナとシヅキがブフゥッと咽ていたみたい。ナナは「とうとうきたか」という顔を浮かべ、シヅキは「まさか、そんな……本当に…?」と困惑した感じの顔です。

 ほんとに二人の間に何があったのよ!その反応失礼しちゃうわね。


 「レイカさm……じゃなくてレイカさんがとうとう、真の力のお披露目をしてくれると?」

 「やっぱり、ボス戦でしか見せてくれない悪魔化をするんでしょうか?」

 「悪魔化は結構強い相手には使ってるから秘匿されてるわけじゃないよ。ソフィーさんは加入して間もないからその頻度なのね。ソレを考えると多分今までに見せたことのないスキルを使用するんじゃない?」


 上からコノハ、ソフィー、ウサミの順の発言です。コノハったらまた人を様付けしそうになったわね。

 今回の事でコノハへのオシオキポイントが溜まりに溜まってマイナス3ポイントとなり、イベント終了後に【飴と鞭】執行が決まってしまいました。でもコノハと言いナナと言いこのオシオキをした後は嬉しそうにしているからオシオキの意味がないのかも。逆にオシオキをしない系にした方が良いかしら。


 オシオキポイントとは【飴と鞭】のスキルをとあるフィールドボス戦で執行した際に、その恐ろしさを目の当たりにしたナナ達が勝手に決めたものです。

 ポイントの判定基準はギルド狩りなどで他のプレイヤーに迷惑をかけてしまったり、ギルドに迷惑をかける行為をしたメンバーに課せられるもので、数少ないギルドの規約に組み込まれてしまいました。


 なお私が罰則を犯した場合は洩れなくナナ達全員からのセクハラ攻撃が襲ってきますので気をつけています。攻撃を受けた際の痛みなど負の感情はそこまで増幅されないのに、食べ物系アイテムの味や快楽など正の感情はシステムで制限されていないので純粋ダイレクトに伝わってくるのです。



 『ウボァァアァァ!』


 夢幻の邪神王の頭部が叫ぶ。この叫びにはノックバック効果と一時行動不能スタンがあり魔法などを詠唱していたときはキャンセルさせられる。こちらの体力が危ない時、もしくはヒーラーが支援スキルを使用するときに使われると一気に壊滅する可能性のある恐ろしい技。

 この咆哮により、支援スキルを展開していたソフィーの動きが止められてしまう。


 「もぅ!せっかく前に出ようと思ってたのに、いきなり足止めしないで欲しいわねっ!」

 「えっ!このタイミングでそれ使ってくるのぉ?なんて空気を読めない(KYな)ボスなのさっ!」


 ナナがもう死語となったような言葉を吐きつつ、夢幻の邪神王の頭部を攻撃していく。夢幻の邪神王は状態異常になったメンバーを攻撃してくるのは左右の手が健在のときの行動で既に体験済み。

 なのでスミナは急ぎソフィーを守る為の配置へ。シヅキはナナと同じく少しでも注意を引く為に近接攻撃を加えていく。


 そしてソフィーが行動可能になるまではやはり私が回復役に……。まあウサミの回復アイテムだけじゃ、死亡者がでちゃいますから仕方ありません。


 ソフィーのスタン時間はプリーストの特徴の一つである低い耐久の為長い。恐らく1分近くこのままでしょう。スタンだけは状態異常回復魔法で直せないからきっちり守り抜かないとね。



 「たあぁぁ!【ブレイブスラッシュ】」

 「私も負けていられません!【爆塵突き】」


 ナナとシヅキの技が夢幻の邪神王の頭部にダメージを与えていく。今の攻撃でも数ドットくらいしか削れてないけど、夢幻の邪神王の頭部のヘイトは間違いなく二人に分散されます。


 頭部はまずシヅキの方へ向き、口をあけると同時に闇の収束砲を放つ。直撃ではない為6割程のダメージですんだようです。


 「くっ!流石に近づきすぎましたか……」

 「シヅキ、回復するわ【愛天使の光ラヴァーズ】!」

 「ありがとうございます。レイカさん」


 お礼を言うなりすぐに突貫していくシヅキ。コノハとルルカの二人も様子を見ながら頭部への攻撃を繰り返していく。この二人の場合先程の収束砲を食らえば直撃でなくともやられるのでコノハは武器を短剣から弓に持ち替えて射撃を、ルルカは魔法で攻撃を行う。


 こうして全員がカバーしあう事で夢幻の邪神王の頭部によるソフィーへ攻撃が皆無となりました。


 「みなさんありがとうございます。復活しましたので思いっきり支援させていただきます!」


 ソフィーがスタンから回復し、バフを全員にまわす。


 「ソフィー、また咆哮が来たらカバーするから後ろをお願いね」

 「はい、その時はお願いします」


 こうして私は思いっきり暴れるべく夢幻の邪神王の頭部の前に立ちはだかったのでした。

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