表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/135

1周年イベントと……  ⑥

 あの未遂事件から2週間が経過しました。ただでさえ、自分からは男性に近寄らなかった私が目に見えて男性との距離を取り始めたことで、美弥子ミヤやら沙菜依さん、さらには姫島さんにまで心配される始末。

 彼女達には心配させたくなかったのであの事件に関して伏せていたのが裏目に出てしまい、余計に心配をかけてしまったようです。自分ではいつもどおりにしてたつもりなんですよ?

 この事から結局、大まかに説明する事になり、それをきいた美弥子たちは怒りに震えていました。



 「なによそれっ!アンタ、そんな目に遭っていたのに私達に相談もしなかったわけ!?」

 「鏡さん……せめて相談くらいはして欲しかったです。聞いてさえ居れば一緒に行動くらいは出来たのに…」


 やっぱり怒られました。黙っていた事に関してもそうだけど、やはり実際に行動を起こした馬鹿な男達に対して。


 「ごめんなさい。余計な心配をかけてしまって。でも実害自体はなかったんだし……」

 「実害あるでしょうがっ!!今まで話せていたヘルガにすら近寄らなくなってるじゃないの!」

 「やっぱり体には害がなくても心が傷ついてたんですね……」


 美弥子の言う通り、事件前なら世間話など出来ていた慎さんとも話す機会がなくなってるような気がします。昼食時に美弥子と慎さんが居ると、わざと違う場所に移動したような気がしないでもないです。

 だけど、DCOにログインさえすれば普通にヘルガとして活動している慎さんと話が出来ていましたからね。現実とVRでは安心感が違うのでしょうか。


 この話をした結果、美弥子たちは大学に居る間はそれとなくフォローしてくれるようになりました。

 姫島さん至っては、私のバイトがある日はエトランゼに送ってくれる事もある位でしたからね。 

 感謝の言葉を述べると、顔を赤くしながら「友達だから当然です!」と言われ、感動してしまいました。

 ちなみにバイトから帰るときは、警護担当の香月さんが少し離れた位置から付いて来てくれるのでとりあえず安心?です。





 そしてこの2週間、DCOにもちょっとした変化がありました。とうとうギルドメンバー全員のレベルが50を超えたので21層より先に進む事ができたのです。

 てっきりすぐに3次職に転職すると思っていたのですが全員が全員


 「せっかくのイベント期間なんだし、転職してレベル上げするよりもダンジョンに潜らないと勿体無いから!」


 と言いだし、それもそうかも……と同意してしまったから。

 私としては、いつも通りナナと二人で潜るのも良かったんですけど、やっぱり同じギルドメンバーと同じ時間を過ごせるのは、良い気分転換になると思いましたしね。


 まあ人が増えたおかげで進行は遅いですけど、安定性は増すので不満はありません。ヒラメキやらエミリーに頼まれた素材集めも出来ますし。

 ……まあ二人からは採取・採掘護衛の依頼を受けたはずですけど、最終的には希望の素材が手に入るんだし良いですよね?


 「アゥチッ……レイカさんと一緒にダンジョンに潜れる数少ないチャンスがぁ……」

 「あーっ!このレア素材掘り出した時の熟練度ボーナス欲しかったのにっ!」


 とか言われたけど気にしませんよ?絶対に!



 そんなこんながありつつも攻略を進め現在29層。さすがに後半の階層になるとモンスターが非常に強くなりました。私の魔法でも数発必要なんですから、普通のパーティなら一戦一戦がボスクラスとバトルしてると思っても仕方ないのではないでしょうか?その代わりドロップアイテムの品質が高いので、釣り合いは取れていると思いますけどね。


 「コノハは右奥のウォールデビルをお願い。シヅキとウサミはメタルタウラスを!スミナはいつもどおり後衛への攻撃を防いで頂戴!ソフィーはスミナの回復、ルルカと私で右のバタフライティラノの排除!ナナは適当にっ!」

 「「わかりました!」」

 「レイカちゃーん!私にだけ指示が雑ぅ~~」

 「ナナだったら私のして欲しい事を分かってくれると信じてるわ」

 「レイカちゃんのしてほしい事……敵の殲滅だね?頑張るっ!」


 ……誰も殲滅してなんて言ってないわよっ。全く、何のために全員に指示を出したと思ってるのかしら。最終的には殲滅する事になるけどナナ一人だけに任せる気はないのよ。


 「【神聖光線セイントレーザー】」

 「【溶岩熱波マグマストーム】」


 私の天光魔法とルルカの爆熱魔法が続けてターゲットであるバタフライティラノに炸裂する。

 この攻撃によりバタフライティラノはその羽根を部位破壊され、空に浮かぶ事ができなくなり地に落ちていきました。


 「ここからは私の出番だねッ!【聖槍牙狼突クー・フリン】!」


 そこへナナが突っ込んで行き、地に落ちてバタついているバタフライティラノに止めを刺していく。

 そう、このパーティの中で物理火力が一番高いのはナナですから、無駄に動き回って戦ってもらうより他のメンバーで移動手段を封じ、止めを刺してもらった方が効率的なのです。

 先程「殲滅する!」と言い出した時には、戦術を理解しているのか不安でしたけど、ナナはちゃんと私の期待通りにやってくれました。


 こちらの処理が終わるとナナは続けてウォールデビルの討伐へ。私とルルカはメタルタウラスの相手をしているシヅキ達のフォローを行いました。

 メタルタウラスは無機物(魔生物)なのでウサミなら特効ダメージを与えられる。後はやはり火属性に弱い傾向があるので、ルルカと息を合わせることでナナの助けなく倒しきる事ができました。



 「無機物モンスター狩りがたっのしぃ~」

 「後半になってから無機物タイプの出現頻度高いよね~。ここに来てからのウサミさんがイキイキしてるもの」

 「あたしとしてはウサミに付き合うの疲れるんだけどなぁー」

 「ルルカ~。そんな事いわないでもっと付き合ってよ~」



 ナナが最後に残っていたウォールデビルをコノハと協力して倒してこちらに戻ってくるまで、ウサミとルルカの掛け合いは続いたのでした。

 その後も階段が見つかるまで探索を行い、ようやく見つけた最下層への階段。


 「やっと30層ね……ここにはボスが居るはずだから皆気合を入れなおして!」

 「はいっ!」

 「体力と魔力の残量は大丈夫から?」

 「はいっ!」

 「回復アイテムも大丈夫ね?」

 「勿論です!」

 「よし、それなら行きましょう」



 気合を入れて30層に降りました。しかし降りた先はセーフティエリアだったらしく、数人のプレイヤー達がボス前の補給用露店を開いていました。

 売っているアイテムは、さすが最下層まで降りてきて扱っているだけあり、補正値が非常に高い装備品ばかり。

 鎧装備の中には私の作った傑作に並ぶ性能を持つものもありましたからね。スミナがこの鎧に目を奪われていましたが、性能を調べるとガックリと肩を落としトボトボと戻ってきたのが印象的でした。


 「香の効果がある分だけレイカさんの作ってくれた装備の方が良かったです」


 ……という事は香の効果が付かなかったら私の作ったものより良いということよね。どういう風に作ったのか気になりますね。休憩がてら聞いて見るとしましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ