1周年イベントと…… ⑤
描写が少々足りないかもしれませんが、気が悪くなる内容かもしれません。
この話の説明に関してアウトやろ?とか妙な点などがあれば指摘をいただければと。
指摘を頂けた場合は修正可能であれば修正を。出来なければ削除で検討させていただきます。
よろしくお願いします。
アルバイト終了後、帰宅する為店を出たところ、穂邑さんが言っていたお客さんも店を出てきました。
その男性は付かず離れずで私から一定の距離を保ちながら付いてきています。休憩時間中に七実へ飛ばしたメールには返事がありませんし、今の状況は非常に困ります。
七実みたいに護身術を習っておけばよかったかな……。と今更後悔してもどうしようもないですね。
お店からアパートまで最短の道を通っても20分かかります。しかしこれは人通りの少ない道を通る時間も含めての事です。まだ夕方とはいえ、人通りの少ない道で帰るのは危険と判断した私は、少し遠回りですが、人通りの多い商店街を通りました。
時折、何気ない素振りで様子を見ましたが、私が立ち止まるとその男性も立ち止まっては新聞を読んだり、携帯を弄ったりしていてすごく怪しい。
ここまで来るともう偶然では済ませる事はできないので、この男性を振り切るため駅前にあるWACという商店街に面した表入り口と、駅方面に出る裏出口のあるハンバーガー屋さんに入り、そのまま裏出口から出て行きアパートまで全力で走る事に決めました。
付いてきていた男性も、私のこの行動には驚いたらしく急いで追いかけてきました。
だけど毎朝のジョギングが功を奏し、男性が気付くまでの数十秒が明暗を分けました。私は男性を引き離し、少々遠回りをしましたがなんとかアパートの近くへ帰ってくることが出来ました。
けど、ここで気を抜いたのがいけなかった……。数人の男性に囲まれたかと思いきや、後ろから羽交い絞めにされ人目につかない路地に連れ込まれてしまいました。
アパートまでもうすぐだったのに……。私のバカ!
「何するのよっ!離しなさいよ!」
「へぇ、マジで良い女じゃね?マジでこの女ヤっちゃって良いんすか?」
「あぁ、コイツはこの俺に恥をかかせやがったからな……もう一人居るがソイツもコイツの後でジックリ甚振ってやるぜ」
声を聞いた感じではまだ若いようです。って私ってばこんな落ち着いて分析してどうするのよ。
このままだと凄く大変な目に遭うんじゃない?……ど、どうしたら……。
「おうおう、あっちでは超おっかねぇのに、現実側じゃ大人しいもんだな?レイカさんよぉ?」
「! ……プレイヤーだったのね。はぁ、まさかリアルとゲームの区別も付かないバカに捕まるなんて思ってもいなかったわ」
「っんだとコラ。自分がどういう状況か分かってねぇのかよ?おいお前ら、この女の服を剥ぎ取れ」
「待ってましたぁ~、へへっ。俺が優しく脱がしてやっから暴れんじゃねぇぞ?手元がミスっちまうからな?それでも良けりゃ暴れな。てかむしろ暴れろ」
私を羽交い絞めにしている男とは別の男が下卑た顔で手をワキワキさせながら私の服に手をかける。夏と言う時期もあり服装は下着と薄いシャツですのでこのままでは……。この後起きる事を思い浮かべ恐怖を感じる。
「!?や、やめなさい。こんな事してただで済むと思ってるのっ!」
「んなもん知るかよっ。テメェが邪魔しなけりゃ、こんな目に遭わなくて済んだのにな?まっ、手始めにお前の恥ずかしい写真を撮ってネットにばら撒いてやるぜ」
私の服が捲り上げられ、下着が露出する寸前……
「「そこまでだ(よっ)!」」
「だ、誰だっ!?」
路地に入ってきたのはサングラスをつけた男と薄暗いため顔までは見えないが女の二人組。サングラスをつけた男女のうち男性は手ぶら、女性は長い棒を所持していました。けどまあ、周りは暗かったけどその内の女性の方は私の良く知る人の声です。その声を聞いて、さっきまで感じていた恐怖がすっかり霧散していたのは言うまでもありません。
「どりゃぁっ!」
「ウゴッ!」
「私の……に手を出したアンタは未来永劫許さないっ!」
「ギャアッ!」
まずは男性の方が、私を羽交い絞めにしていた男を殴りつけ、私を女性の方に押し出す。
女性は女性で私を自分の後ろにかばうと持っていた棒でプレイヤーらしき男性を殴り倒していました。
終わってみれば数秒の出来事でした。まわりにはプレイヤーらしき男性含め7人の倒れた姿がありました。……って7人も居たのね……。
「れれ、麗華ちゃん!だだだ、大丈夫だった!?怪我してない?汚されてない?」
棒を持った女性……七実に抱き付かれた後、私の服の乱れに気づき心配そうに確認をしている。
「ありがとう、本当に助かったわ。流石に今日は身の危険を感じたわ……」
助かったと言う安堵の気持ちと共に、見知らぬ男性に襲われたことを今更ながら実感すると体に震えが来ました。
「ウヘヘ。麗華ちゃんに抱きつかれてる~!」
「あっ!」
七実のだらしない顔を見て我に返る。言われたとおり気付けば七実にしがみついてしまっていたから。さっきまでの嫌な雰囲気は何処へやら……。
くっ、この私が七実に弱みを見せる事になるなんて……。つ、次はないからねっ。
「なあ俺……放置系?」
「あっ!ゴメンゴメン。香月くん。麗華ちゃんのことで頭一杯になってすっかり忘れてた。てへっ」
「忘れてたのかよッ?だが、可愛いから許すっ!」
むっ!?何よ、この男性!七実とずいぶん仲が良いみたいじゃないっ!
と言うような嫉妬じみた感情はないけど、あの七実がナチュラルに冗談を言うような間柄なのかしら?
私、気になります!
「あっ、貴方も助けてくれてありがとう。私は鏡麗華というの。良かったら名前を教えてもらえないかしら?」
「あぁ、俺は香づ……「麗華ちゃんっ!」……って邪魔すんなよ、七実ぃ!」
「私の麗華ちゃんに自己紹介するなんて、100年早い!出直しといでっ!」
「ひでぇ……。お前が彼女の護衛頼んだくせに……」
結局本人からではなく七実から紹介される事になりました。彼の名前は香月連弥。若いながらも凄腕のボディガードとして知られる26歳の男性。七実と知り合った場所は秘密……って言う時点で想像がつきました。そんな七実と香月さんとの会話の中に気になる単語がありました。
「ところで護衛ってなんの事かしら?」
「えっ?な、何の事かな~?私には分からないよ~?」
「……七実のことだから、勝手な事してたんでしょ?今言うなら許してあげるわよ?言わないなら……助けてもらった事には感謝してるけど1ヶ月くらい絶交かしら?」
「言いますっ!絶交はヤダ!そんな事になったら私が死んじゃう!」
「さすが、七実の話に毎回出てくる麗華さんだな。七実の手綱の取り方が上手過ぎるぜ……」
聞いてみたところ、ここ数日。DCOの掲示板とは別のKZチャンネルというBBSでリアル割れしたDCOプレイヤーを襲うと言う書き込みがあったらしい。(ちなみに公式にリアル割れしてるのは私だけです)
七実としても最初こそ悪戯と考えていたみたいだけど、朝のジョギング中の違和感、アパート周囲での不審人物の増加などの噂が出始めたのでここ数日、ボディガードなどを雇って私を守ってくれていたらしい。
「……もしかして店に来ていた怪しい人って……」
「う、うん。私の雇った探偵…」
「あんなバレバレの尾行するのがプロの探偵なの?あの人は探偵に向いてないわよ」
「でもさっきの事はそのバレバレの探偵のおかげで駆けつけられたんだよ」
「うっそぉ!?」
「ほんとだよ~」
衝撃の新事実です。あの時ハンバーガ屋で私が撒いた人が探偵で、その探偵が対象を見失った時に七実に連絡を入れた。その電話を受けた七実が念の為、黒服にまぎれてアパート周辺を警護していた香月さんを連れて周囲を探索した所、抵抗する私の声が聞こえたのだと言う。
「それにしても七実。私のためにそこまでしてくれてたのは凄く嬉しいわ。でも守られてる本人が何も知らないのはどうかと思うんだけど?普通にストーカーだと思ってたわよ」
「うん。ごめんなさい。何も起こらなかったら言わなくて済んだんだけど。まだ暫く変な人が居るかもしれないから護衛の依頼は続行してもらっておくね」
「それは助かるけど……雇い主の変更を要求するわ。パパに相談する。流石に娘がこう言う目にあってるんだから護衛の料金くらいは出してくれるでしょうし。
それに元々私がリアル割れした原因はパパ達だからね……香月さんもそれで良いでしょうか?」
「ん?あぁ、金を払って貰えるなら俺は構わないぞ?」
香月さんの了承も得て、バレバレ探偵も依頼主の変更を了承したので私は実家へ帰りました。
実家で今日の事件の詳細を説明すると、パパは犯人に対し激怒した後に私に土下座をしました。
うーん、パパの土下座……ここ最近で見すぎてるから価値が低い様に感じますね。
ちなみにママも同席しているのですが、パパに対して冷ややかな視線を向けているのは当然の事ですよね。あとでママから人前で見せられないような折檻を受けるのは間違い無さそうですからそれで満足しておくとしましょうか。
「俺のせいで娘を危険な目に遭わせていたとはな。本当に済まない。要望どおり身辺警護の費用は俺が出す。むしろもっと増やさないとな」
「それはやめて!」
「な、何故だ」
当然、付いてくる人(身体警護の護衛)が増えたら本当のストーカーが分からなくなりますからね。
人を増やしたせいでストーカーをストーカーと認識しなかったら今度こそ……。ブルブル。
「確かにそうだな。人が必要になったら香月くんから一報を頼む」
「分かりました。お嬢さんの警護は任せてください」
「うむ。だが警護以外の目的で娘に近づくではないぞ?分かったな?」
「り、了解ぃ!」
こんな事があった私ですがひどい男性恐怖症にはならなかったようです。これで実際に色々されてたら話は別ですけどね。……怖かった事は間違いないんですよ?男性に触れられるのは相変わらず勘弁して欲しいですけど、話は普段どおり出来ますから。
あと、襲ってきたプレイヤーっぽい人(私たちが所属している同盟で倒したPKギルドの中の一人だったらしいです)とやその他の高校生たちですが、パパが犯人の実家に乗り込み、一騒動遭ったらしいです。リアル割れと強○罪 (されてないけど)で彼らの家から慰謝料をふんだくったとか。
うん、パパの方が彼らより怖いかも。けどやりすぎて逆に訴えられても知らないからね?
こう言う風に始まった身辺警護ですが、以後は全く問題が起きることなく1年後には解消されました。
何故1年だったかと言うと、モデルやらリポータの仕事の時の警護も兼ねた契約にしたからです。
何でこんなの書いたんだろう……。迷走しすぎや。