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1周年イベントと……  ②

 プリーストのソフィーさんを加え、私達は異界迷宮へと潜る。

 異界迷宮は全30層で構成されており、奥に進むに連れて進入レベルが上がっていくもの。

 1層から20層まではベースレベル50以下なら誰でも進入は可能で、生産職のプレイヤーでもそこそこ潜れる造りになっています。特に10層以下は低レベルの生産職が集まり採取・採掘をする事で手軽にレベル上げが出来るようになってましたしね。


 そして現在15層へ到達して直ぐに鉄くずで構成されたモンスターのジャンクゴーレムと戦闘開始。11層以降は敵の強さが目に見えてあがり始めるので、周りを見ても他プレイヤーを見るのは稀になっています。


 「無機物なら私に任せて!鍛冶戦技【金族費老きんぞくひろう】」



 生き生きとハンマーを振るい、敵に襲い掛かっていくのはウサミ。生産職の彼女が何故こんな風に敵に向かっていくかといいますと、以前見つけた悪魔フォラスの存在していた遺跡ダンジョンで生産の秘伝書を取得した為。

 ウサミは無機物【金属】特効の【鍛冶戦技かじせんぎ】・無機物【石】特効の【採掘闘技さいくつとうぎ】・無機物【魔生物】特効の【錬金魔技れんきんまぎ】の3種を取得してからというもの、特定モンスターに対してはかなり強くなりました。そのせいか最近ルルカと一緒にペアで鉱山によく行ってるらしいです。

 ちなみに、ジャンクゴーレムは金属と魔生物なので錬金魔技で攻撃しても大丈夫だったりします。



 あ、ウサミに付き合った時ついでに私も採取の秘伝書を取得し、植物系統に特効の【刈採法かっさいほう】を取得していますよ。ここでは使う機会はなさそうですけどね。


 っと、説明している間にウサミがジャンクゴーレムを倒して素材化してしまいましたね。

 これらの秘伝スキルで特定のモンスターを倒すとドロップ素材のレアリティが上がるみたいなので、可能な限りトドメは適したスキルで倒す事にしています。

 ちなみに裁縫闘士の特効効果はありませんでした。紙とか布みたいなモンスターが居ないからかな?



 「この層のジャンクゴーレムとゴールデンゴーレムなら私の相手ね。それ以外はレイカよろしく!」

 「はいはい。それより次……モールドワームが来てるからウサミは下がって」

 「えっ!?うわぁ、ミミズは無理ぃ!」



 すぐに接敵する訳じゃないですが、明らかにこちらをターゲットにして進攻してくるモールドワーム。

 まあ動きが遅いし、風属性が弱点のモンスターですから私にとっては美味しい獲物ですね。

 サクッとエアスライサーでモールドワームを討伐し、5層ごとに設置されているセーフティエリアで休憩を行いました。



 「スミナさんは前衛がしっかりできてますし、レイカさんは攻守魔法共にお手の物、ウサミさんは特定のモンスターに対してものすごく強いですね。私を入れる必要はなかったんじゃないでしょうか……」


 ここまで軽微な回復行動と支援バフしかできなかったソフィーさんが、少々落ち込みながら質問をしてきました。私達としては、完全な支援魔法のありがたみを今更ながら感じているのに。


 「そんな事はないですよ。ソフィーさんのバフのおかげで被ダメージが少なくて済んでるんですから。私達のギルドには支援もちが居ませんから、凄くありがたいんですよ」

 「そう、でしょうか?でも、お役に立っているとおっしゃって頂けるならありがたいです。経験値を吸うだけの役割になってないか心配だったので……」

 「大丈夫です。すごく頼りになってますから!」


 今回リーダーをしているスミナが必死にソフィーさんを励ましている。勿論私とウサミもスミナの意見に頷いている。今日の支援に関して見せていただきましたけど、ソフィーさんの支援は的確でかつ、支援スキルが切れる瞬間にはかけなおしを行うというスゴ技を見せてもらっていますからね。

 このDCOには支援バフの効果が掛かっているのは分かるけど、切れるまでの時間は表示されないんです。だからこそバフの効果時間を把握した上での掛けなおしスキルは素晴らしいものと気づくわけです。

 ぶっちゃけ、今までのレイドパーティを入れても、ここまで管理できている人は見たことがないです。

 と言う感じの事を言っておきました。


 「あ、ありがとうございます。レイカさんにそういっていただけると嬉しいです」


 ソフィーさんは凄く嬉しそうに、頬を染めながら照れていました。


 「ほんとにフリーなら私達のギルドに誘いたいくらいなのよ?」

 「ほ、ほんとですか!」

 「えぇ、理由はスミナが言った通りね。良かったら考えておいてくれると嬉しいのだけど……」

 「それなら是非加入させて下さい!本当は以前からずっと【夢の雫】に入りたくて他からのギルド勧誘を断っていたんです!」

 「あらっ、返事が早いのね。どうせだからどういう理由で入りたかったのか教えてもらっても良いかしら?あっ、理由を聞いて気に入らなかったからやっぱり無しって言うつもりはないから安心して良いわよ」


 ソフィーさんの説明はこうでした。今まで幾つかギルドに加入したけど、ギルドの縛り……ギルドポイントのノルマだとかで自由時間が少ないとか、狩りに誘われると合流するまでしつこくメッセージを投げられたりしたみたい。

 その点、夢の雫ならギルドポイントのノルマはないし、狩りに誘われても断っても全然問題ないという自由な所に惹かれたという。さらに言えば男性プレイヤーが居ない事も大きい。


 ソフィーさんのゆるふわカールでおっとりした容姿と逆に、口調はまだ大人になりきれていない感があります。それ以外にも目立つのは腰回りのくびれと、その形の良いヒップ。

 確かにあのくびれとお尻の形は魅力を感じるかもしれないわ。ナナ辺りなら食いつきそうな気がするもの。



 「なるほどね。確かに以前はそうだったわね。でも私達も同盟を組んでから、PK討伐をする時は合流する事という一つだけ決まりが出来ているのよ。それを了承してもらえるかしら?」

 「PK討伐以外は自由なんですよね?」

 「えぇ、フレンドと狩りに行くのもよし、ギルドホームでグータラするのもいいわよ。ただ生産に関する事は素材の関係上、ある程度の素材をホームに納めてもらわないと権限を与えない事にしているわ」

 「あ、それは問題ないです。生産スキルを持ってないので!」

 「そ、そうなの?なら他はないわね。それじゃ、申請を送るわ。さっきの条件でよければ了承して頂戴」


 ソフィーさんに申請を送るとすぐに了承の返事が戻ってくる。そしてギルドメンバー一覧に8人目となるソフィーさんの名前が登録されました。



 「や、やったぁ。レイカさん、よろしくお願いします。これから頑張ります!」

 「えぇ、こちらこそよろしく。頼りにさせてもらうわ」

 「ソフィーさんよろ~」

 「よろしくお願いしますね」


 一応、さん付けは無しというルールもあるにはあるけど、ソフィーさんはさん付けで呼ぶほうが気が楽だそうなので、私からはソフィー、ソフィーからはレイカさんと言う呼び方になりました。



 「それじゃあ、気を入れなおして、次の階層に行きましょうか」

 「了解です!」



 ……いけない。リーダーじゃないのに私が仕切っちゃったわ……。


 結局のこの日の探索は20層の中ボスを倒した所で帰還しました。だってここから先は50レベルを超えてないとは入れませんから。私以外はまだ40台後半ですから、当面はこの辺りをメイン狩場にしてレベルを上げて再挑戦する予定です。

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