1周年イベントと…… ①
しばらく週1で更新予定。だからと言ってクオリティが上がる事はない!下がることは多々あるだろうけど。エタらない程度に頑張ります。
初めてのモデルの仕事から1ヶ月経過し、気付けば7月の半ばとなっていました。
流石に7月ともなれば当然暑くなるわけで、着ている服も薄着になるわけですよ。そんな暑い季節でも早朝は体型維持のためのランニングは欠かしていません。
最初こそ七実のダイエットとして始めたこのランニングですが、今となっては別の意味で続けることになっています。
「麗華ちゃん。今日はいつにも増して人が多いね。なんでだろ?」
「そうね……何かイベントでもあるのかしら?というかこう言うことは七実の方が詳しいと思ってたんだけど?」
七実の言うとおり、私達のランニングコースである池の周りには、お腹周りが気になる中年男性やら高校生くらいの体育会系の男の子達が、掛け声をあげながら走っていました。
他には池に集まる写真を撮っている人やら、散歩しているお年寄りに話しかけている人たちの姿も見られる。
「にしても、昨日までは数えれる程度だったのに急に増えたんだろう?インターハイとかの追い込みかな?中年男性は別として……」
高校生達は私達の横に来ると「おはようございますっ!」と元気に挨拶をして駆け抜けていく。勿論私達も挨拶されて気分が悪い事なんて事はないので笑顔で返事をする。そして彼らは私達を追い抜いた後は決まってこの池のエリアから離れていくんですよね。少しだけ前傾姿勢で。
「そうかもしれないわね。来月の頭からインターハイだからきっとその朝錬の練習量を増やしたんでしょう」
「えっ!?あ、うん。私も麗華ちゃんもそういうのとは無縁だったから、大変そうとしかいえないねー」
「そうね。さて、もうすぐ朝食の時間ね。後1周走ったら帰りましょう」
「おっけ~」
☆☆☆☆☆☆ 少しだけ七実視点 ☆☆☆☆☆☆
今日も麗華ちゃんとの早朝ランニング。夏真っ盛りとはいえ、まだこの時間はそこまで暑くないよ。
そんなランニングをしていると凄く異変を感じたんだよね。それは高校生くらいの10数人がすれ違う人々に挨拶をしながら走ってくるんです。うん、ここまでは良い。
けど、私と麗華ちゃんの横を通り抜ける時、彼らの走る音のザッザッザッという音がかなり小さくなったんだ。疲れたのかなと思ってその男の子たちを見たら、その視線は麗華ちゃんの揺れている胸に釘付け。
そりゃ釘付けになるのは分かるよ?男の子だったら当然だろうから。
でもね、麗華ちゃんの揺れる胸を凝視したのは許すわけにはいかないんだよね。麗華ちゃんの大学生になってもまだ成長を続ける9○~なんたらでエ○カップもうすぐジ○カップ?の胸をばっちり見て良いのは私だけなんだからっ!
それにあの学生達から、なんか嫌な気配を感じるんだよね。麗華ちゃんを見る目の奥に異世界で見た山賊の目みたいな仄暗いものを感じたし。私の麗華ちゃんに関する予感ってあまり外れたことがないから、対策くらいはしておかないとね。
杞憂に終わればそれで済む話だし。麗華ちゃんの操は私が奪っ…じゃなくて守るっ!!
☆☆☆☆☆☆ 了 ☆☆☆☆☆☆
ランニングから帰った後はシャワーを浴びてスッキリしてから七実と二人で食事をします。
朝に関してはこれがデフォルトになっています。ちなみに今日の朝食当番は私。
七実の方が既に腕が上とは言え、負けっぱなしは嫌なのでこっそり練習しているんですよ?
「朝から麗華ちゃんの手料理を食べれて幸せぇ~」
「といっても昨日の残りの有り合わせなんだけどね」
今日の朝食はスクランブルエッグとパン、肉じゃがと野菜サラダにヨーグルトと品数だけはあります。
肉じゃがだけ少しカロリー関係で気になるところですけど、朝はカロリーを多めに摂っても一日の活動中に消費できるはずですから問題ありません。
食事を終え、洗物を手早く済ませたあと大学へ。七実は午後からの講義だけらしいので午前中はDCOをしているらしいです。
私も今日はシフトに入っていないので講義が終われば久しぶりにDCOを長くプレイできるのでドキドキしています。……入っていないではなくて組まなかったが正しいですけどね。
というのも7月になってから、運営から本日12時より1周年イベントを行うという発表があったから。
内容は【異界からの侵略者】となっており、掲示板ではどういった内容になるかの談義が日々行われている。一番多く予想されているのは大量のモンスターから都市防衛を目的とした【モンスターパレード】、次に多いのがダンジョンから雑魚ではなく、一定時間ごとに複数のレイドボスが現れ同じく都市破壊をしに来る【巨獣祭】等があげられている。
私としては、経験値が稼げそうなモンスターパレード方面を期待してるんですけど、七実やシヅキ達はレイドボスと戦える巨獣祭を求めているので、どっちになるか楽しみです。……裏をかいてどっちでもないかもしれませんけど、それはそれで楽しめそうだからヨシとします。
時間が流れ同日午後14時。帰宅した私はいつも以上に戸締りをきっちり確認しました。
理由はつい最近、この辺で不審者が出たらしいので周辺住民に戸締りなどをしっかりするように言っていると、自宅周辺に居た黒服のサングラスの人たちに言われたから。
熱中症には気をつけてくださいね?と一声かけてアパートの中へ。……本当に彼ら、こんな夏の暑い時間に黒服で暑くないのかしら?他人事だけど心配です。
自室に帰るなり服を脱いでキャミソールだけになり冷房をつける。やっぱり外が暑かったからね。快適な温度になってきたらベッドに横たわりDCOの世界へログインしました。
「あっ!レイカさん!この時間に来るのは珍しいですね」
「ヤッホ。良いタイミングで火力が来たね」
「あら、スミナにウサミ。……火力が来たって何処か行く予定かしら?」
ギルドホームにいたのはスミナとウサミの二人で、ちょうど何処かに出かけるところだったらしい。
まあ予想はつきますけどね。もうイベント開始してる時間ですから。
「もちろん、イベント専用マップ【異界迷宮】に行く予定でしたよ。珍しい素材が手に入るかもしれないから。それでとりあえず人が多いインカロードで火力メンバーの募集をしようと思ったところにレイカさんが来たんですよ」
「そういうことでレイカ。来てくれるよね?」
「勿論よ。断る理由はないわ。所ですぐに出られるの?」
「回復アイテムから蘇生アイテムまでバッチリよ!生産職をなめないでよね」
「そう?なら作戦会議ね」
話し合いの結果、盾役は当然スミナが。私は後方からの火力を担当し、ウサミはアイテムによる回復もしくは採取要員となりました。しかし、それでは少し人が足りないという結論に至り、結局メンバー募集をしようということになりました。
今回求めるのは回復魔法を使えるプリーストもしくは火力になるウィザード系、もしくは遊撃系。要するに自分たちに足りない職業なら誰でも良いって事。
私なら回復と攻撃のどちらもこなせますけど、流石に初見のダンジョンで両方を担当するのは自信がないですから、専門の人を募集した方が良いと思ったわけ。
インカロードは未だ攻略されきっていないダンジョンがある為いつも人がいる。その為、こう言う臨時PTを募集するにはちょうど良い。
【当方44WIZ・異界迷宮希望】やら【異界迷宮3~4F・採掘/採取の護衛募集@値段応相談】とかの看板を見ながら、組んで楽しそうな人を探していました。
ちなみに追加メンバーを決めるのは私ではない。今回のリーダーはスミナにやってもらうため、最終的に決定権を持つのはスミナなのです。
「レイカさん。心配しないでください。男性プレイヤーをPTに入れたりはしないですから!」
「別にそこまで排除しなくても良いわよ。ただ加入するまで私がメンバーというのは内緒にしておいてね」
「あっ、先月のあの件のせいですね?分かりました。あとレベルは45から55くらいで良いんですか?」
「そうね。同じレベル帯が多い方が良いわ。あと採取専用メンバーがいると嫌な顔をする人も出るでしょう。そういう人はこちらから願い下げで良いわ」
「はい!」
……結局、スミナは私の意見を尊重してメンバーを探してしまいました。
臨時メンバーに入ってきたのは、レベル48のプリーストの女性。
「こんにちは。ソフィーといいます。本日はよろしくお願いします」
「ウサミです。採取要員で役に立たないですけどよろしくね」
「レイカです。今日はよろしく」
「えっ、レイカってあのレイカさんですか?」
「……えぇ」
私が挨拶した所でソフィーが私の名前に驚く。えぇ、この反応はもう見飽きました。
というのも、先月の撮影でインターネットで地元ゆめさきを紹介するPVを撮り、それをネットに流すと反響を呼びました。……なぜかDCOのオフィシャルサイトと雑談掲示板で……。
パパが三枝社長とこっそり結託し、CGなどを駆使して紹介映像の後の枠にDCOの宣伝の背景を組み込み、それが同時にあげられたから。
前にパパが言ってた別の方法がこれだったのかと気づいた時には手遅れでした。
以前のギルドバトルで大々的に私の顔が知られるようになっていたので、ゆめさきPVなどをみたプレイヤーに「あ、この人ってレイカじゃね?」とか「ゆめさきのカフェにマジで美人がいた!」とか言われてしまい、一時騒然となったことも。あ、私は兎も角として店に迷惑かけたとかはないですよ?
佐田さんは「おかげで売り上げが上がって嬉しいわ。もっと宣伝して頂戴ね」とか言ってました。私的にはそっち方面で宣伝したくないです。
店に来ていたプレイヤーとの会話は割愛しますけど、何度怒りそうになったか……。
でも数日しないうちに来ていたプレイヤーの大半がいなくなりました。その理由もその日の掲示板で分かりましたよ。
「竜騎士、マジで鬼だった……ガクッ」とか「竜騎士、マジパネェ……」とか「竜騎士、限界突破!」と書かれていましたから。
……七実ったら、彼らに何をしたのかしら?……とにかくそういった事があったわけです。