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目立ちたくないのに 13

 「と、言うわけで今回ご紹介しましたのは、ここゆめさきの夏のお勧めスポットでした!」

 「はい、カァットー!鏡さん良い感じに説明できていたよ~。ただちょっと表情が硬かったかな?」

 「そ、そうでしたか?私自身は出来ていたつもりだったのですが……」

 「だいじょうぶだよ!麗華ちゃんはいつもどおり凄く綺麗だったから!」



 現在私達はネットに載せる自分の住むゆめさきの紹介PVを撮っていました。紹介したのは地元の知る人ぞ知るテンプラ屋、夜になるとロマンチックな夜景を見られる丘の上の公園、そして目立たない場所にあるが設備のそろったアミューズメント施設など、食やら娯楽に関するもの。


 それらのPV撮影が終わると、次に雑誌に載せる記事に併せた写真の撮影を行いました。

 これは七実と私の二人でにこやかに何の問題もなく進行しました。


 「次はっと……私の友人が店長しているお店での撮影ね。行きましょうか」


 カメラマンの沢村葉子さんが撮影スケジュールを確認しながら歩き出す。

 撮影陣は人数が少ないので葉子さんがスケジュール管理を担当している。なので私含め他の面々も葉子さんについていく事になる。

 なおこの撮影に関しては雑誌のページの関係で急遽決まった事で、私達は何処に行くのか知らなかったりします。


 「あの角を曲がった所にあるのよ」

 「えっ……この道の角を曲がった所って……」

 

 葉子さんが向かう場所は私も七実もよく知る場所。というか週に何度も通う場所でした。

 そう、その追加の撮影場所と言うのは私のバイト先であるエトランゼゆめさき支店だったのです。

 葉子さんはエトランゼを見つけると早速店内へ入って行き、5分ほどして女性を一人連れてでてきました。言うまでもなく佐田さんでした。


 「えっとこの人が私の大親友でこの店の店長をしているなほちゃ……佐田菜穂さんです」


 佐田さんが葉子さんを軽く睨み付けると慌てて言い直していました。佐田さんは軽くお辞儀をしてからこちら側にいる私や七実を見て驚いていました。


 「あら?鏡さん達じゃない。今日のシフトを時間変更して欲しいと聞いてたけどこういう事だったのね?」

 「はい。それにしても自分のアルバイト先に撮影で赴く事になるとは思ってもいませんでした」

 「えっ!鏡さんは菜穂ちゃんのお店の従業員だったの!?」


 佐田さんと仲良く話し始めた私を見て今度は葉子さんが驚いていました。


 「私も昨日、葉子からいきなり撮影に使いたいからお店を貸して欲しいの!って頼まれたからどういう事かと思ってたのよ。それにしても鏡さんがウチのお店の紹介をねぇ。ちょうど良いわね!凄く助かるわ」


 助かるの意味がよく分かりませんが、佐田さんが喜んでいるみたいですから気にしないで良いのでしょう。お店の紹介をすると言うことで私と七実は、制服に着替えることに。

 佐田さんがあらかじめ用意してくれていたみたいですが私は自前の制服に着替えました。

 だって、用意された制服だと胸がきついですし……。七実は七実でここの制服を着て喜んでいましたね。


 「ふふふっ、麗華ちゃんとおそろの制服~。麗華ちゃんも入れて自撮りしなくちゃ!」

 「写真を撮るのは良いけど仕事が終わってからにしてよね」

 「はーい!」



 そんなこんなで撮影が開始される。紹介する場所が自分の働くお店だったと言う事もあり、私は凄く自然体にこなすことが出来ました。七実も常連ですから私と同じように流れるように動いています。

 ……いつの間に、在庫の場所まで覚えてたのかしら。



 「かっがみーん。撮影するなんて聞いてなかったんだけどぉ!」

 「そうだね。私も今日店長から聞いてビックリしたよ」


 穂邑さんとジョーさんが休憩の合間に話しかけてきました。


 「店長にも言ったんですけど、私もここに来るなんて知らなかったんですってば」

 「まあその辺はどうでも良いとして~」


 どうでも良いのね……なら何故聞いてきたのよ。


 「かがみん。この記事がいつ載るのか聞いてたりする?後何処の雑誌?」


 穂邑さんは興味津々のようです。ジョーさんもこういった撮影が入ることには少々緊張している様子でしたからね。


 「会社は地元紙の△◇よ。いつ掲載かは……あっ、葉子さん!この記事っていつ載るんですか?」


 タイミングよくこちらに来た葉子さんに詳しい話を聞く。


 「そうね。来週号に載る予定よ。他の記事次第だけどね?」

 「そっか!じゃあ載ってたら購入しますね!」

 「ありがとうございます。あ、後もし良かったら貴女方も一緒に如何ですか?鏡さんの先輩だと聞いてますし、それにお二方とも容姿の方も優れていますので、きっと目立ちますよ?」

 「えっ!?そそ、そんなぁ~、恥ずかしいですよ~」

 「ほむっち。そう言いながら私を叩くのはやめてくれないかな?」


 頬を染めながらも照れ隠しに隣にいたジョーさんをバシバシ叩きながら体をクネクネさせる穂邑さん。ちなみに金髪美女の恥ずかしがるその様子は葉子さんにより激写されてたりするけど、記事になることはないでしょうね。お店関係ない場面ですし。



 そんなこんながありつつも撮影は無事終了し撤収となりました。葉子さんを始め、撮影陣は佐田さんにお礼を言って店を出て行く。


 私は引き続きエトランゼでシフトに入るので、葉子さんにその事を言ってここで抜けさせて頂きました。

 七実はここから直帰するみたいです。……ケーキを食べてかららしいですけど。



 週明けに雑誌が発売されました。販売しているエリアは地元だったので大した変化はなかったのですが、PV撮影でネットに載せた方で騒ぎが起きていることを知るのは、この数日後でした。

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