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目立ちたくないのに 10

数日更新止まりそうです。書き溜め出来てたら落とせると思うけど。


いまのままだときびしー!

 「おぉ!麗華来てくれたのかぃ」


 ここは某所にある《ミラージュカンパニー》という会社の一室。そこには私、鏡麗華とその父親である鏡和仁、それに開発チームの皇樹慧氏の姿がありました。

 私がこの場所にいる理由は先日のイベント会場で和仁から頼まれた案件に関係する。


 「……パパ。私はパパなら私の事を分かってくれてると思ってた。なのにどうしてこんな話を持ってきたのかしら?」

 「そ、それはだな?麗華が一人暮らしを開始して社会について知り始めているんだしこう言う経験もした方が良いと思ってだな?」



 へぇ?さすがパパね。私に社会経験を積ませてくれようとするなんて……。なんて言うと思ったのかしら?

 ……パパが持ってきた話とは私がプレイしているパパの会社のゲームであるDream Community Onlineというゲームの初代CM担当をして欲しいという事でした。イメージキャラクターとしてゲームの説明をしたり、時折開かれるオフラインイベントなどで解説などを担当するのが主な仕事だそうです。


 「麗華さん。社長の言う事は嘘ッすよ?社長は単にDCOの人気にかこつけて娘自慢をしたいだけに決まっているっす」

 「こ、皇樹くん。君は黙っていなさい。君から言う事はそういう話ではないはずだ」

 「……了解っす」



 パパに呼び出されたから一応ここに来たけど、受けるつもりはないです。ただでさえ色々忙しいのにこれ以上時間を削られたら困りますからね。

 そういうとパパは目に見えて落ち込む。むぅー、昔からパパが落ち込む姿を見ると優しくしたくなる私が出てこようとしますが今はそれを必死に抑える。それをするとパパの思う壺になるから。



 「どうしてもダメかい?」

 「…ダメよ。今の状態でも一杯一杯なのよ。そろそろモデルの仕事もあるみたいし、パパからの話を受けることは出来ないわ」

 「ぐ…ぬぅ……おのれぇ、三枝め!人の娘を掻っ攫いやがってぇぇ」

 「何で三枝社長に怒りの矛先を向けているのよ……」


 三枝社長に怒りの炎を燃やす中、皇樹さんがパパに進言する。


 「社長。それは自業自得かと。麗華さんの面接時にウキウキと付き添って行ったのは他ならぬ社長ですよ?」

 「がふっ。それを言われるとだなぁ……しかたないな。諦めるわけではないが今回の私からの・・・・話はなかったことにしよう」

 「それでよろしいのですか社長?」

 「あぁ、麗華がダメと言うなら別の宛てがあるんでね。そっちで当たってみるとしよう。所で麗華」



 話が終わったので帰ろうと荷物を纏めている所に、再度パパから声が掛かる。

 その内容は、ちゃんと生活できているのかなどという当たり障りのない内容でした。支援はしてくれない事には変わりないようですが、心配はしてくれているようですね。


 「大丈夫よ。無理はしていないわ」

 「そうか。陽菜ママも心配しているから近いうちに帰ってくるようにな?」

 「分かったわ。それじゃ、大学に行ってくるね」

 「あぁ。いってらしゃい。今日は呼び出して悪かったね」

 「気にしてないわ。パパが会社にまで呼び出すから何事かと思ったけど」



 パパの会社から出る時、パパに言われて見送りに出て来た皇樹さんからパパがまだ何か企んでいるみたいだから注意するようにと言われました。でも皇樹さんに言われなくてもそのくらい分かってるのよ?もう19年近くも一緒に過ごしてきてるんだから。




 皇樹さんにお気遣いなくと返して大学へ向かう。今日の講義は世界的に有名なデザイナーが来てくれるということで、以前より噂になっていた。

 講義の受講人数に定員があるにもかかわらず、私が受けられるのは同じ服飾学科の男性のおかげだったりもします。

 最初私はこの講義の抽選に洩れてしまったのですが、その講義が近づくに連れて意気消沈していた私の所にその男性が現れ「当選したけど当日急用が出来たのでよかったら代わりにどう?」見たいな事を言ってくれたんです。

 見たことはある気がしますが初めて話す相手でしたので、悪いからと断っていたのですが強引に押し切られてしまいました。


 「その、ありがとうございます。本当は受けたい講義だったんです」


 譲ってくれた男性に心からの笑顔でお礼を言ってみると、真っ赤な顔でお礼にその服を作った会社名を教えて欲しいと言われました。その程度で良いのならと了承。

 男性に服は自分でデザインし、一から縫っていると言うと凄く驚いていましたね。可能であれば1着だけでも、譲って欲しいといわれました。

 男性用の服は作ったことがないのでと断ろうと思いましたけど、この男性はきっとあの講義を受けたかったのに私に譲ってくれたんだからそのお願いは聞いてあげたいと思いました。男性には少し時間がかかりますが必ず渡しますと約束して別れました。




 ☆☆☆☆☆☆ 男性目線 ☆☆☆☆☆☆


 俺は氷室一也。C大の服飾学科に通う学生だ。元々は第一志望の有名なY服飾専門学校に行きたかったが生憎入試で落ちてしまい、この学校に来る事になった。

 しかし入学して1ヶ月……俺はこの大学に来てよかったと思う。なぜならこの服飾学科には女性が多かったからだ!

 Y服飾専門学校の下見をしたが、そこは男女比が8:2……いや9:1と言ってもいい位、在籍するのは野郎ばかりだったんだ。それに比べてこっちは4:6と女性の数が多い。それも半分以上がモデルをしててもおかしくないだろうというレベルでだ。

 やはり同じように服飾の勉強をするなら女性…それもできれば綺麗なのが多いほうが断然良いだろ?


 そんな訳で、講義を受ける時は座れば大抵女性の隣になる。そんな毎日を過ごしていたある日の事。

 その日はなにやら重大発表があると聞き、いつもより早めに席に着いた。当然時間が早いので隣には誰もいない。

 講義が始まる数分前には、座る場所がほぼなくなり空いているのは、俺の隣くらいだ。

 そこに最後の受講者である彼女が現れた。彼女は教室を見回し空いている席がないか探している。

 俺は内心、隣が空いてるぜ!といいたかったが、残念ながら俺に女性と話す勇気などない。

 だから彼女が俺の隣が空いてることを見つけてくれる事を祈りながら平静を装った。


 その思いが通じたのか、女性は俺の隣が空いてることに気づき、ほっとした様子でこちらに来る。

 そして彼女が席に着き、そこで初めて俺はその女性の顔を見た…その瞬間、俺は恋に落ちていた。


 彼女はその大和撫子を地で行く容姿に綺麗な黒髪が似合っており、そのなんだ?か、体つきが凄かった。

 出るところがドンッと出ており、へこむべき場所はキュッと締まっており理想的な体型だと思う。

 彼女が伸びをするとその大きな膨らみがブルンッとするのだ。思わず拝みそうになってしまったぜ。(感謝の気持ちで)


 だが、勘違いしないで欲しい。俺が彼女に恋をしたのはその容姿からだけではない。彼女の着ている服のデザインを今までに見たことがなかったからだ。

 これでも俺は服飾学科の学生として当然、他の有名デザイナーやら雑誌をチェックしているんだ。その俺が見たことのないデザインを綺麗に着こなす彼女の趣味と美しさに惚れたんだ。



 彼女も俺がじっと見ている(俺的には服をだぞ)事に気づき、怪訝そうな顔をしたが文句を言ってくることはなかった。

 そうこうしているうちに講義が始まり、半分ほど過ぎた所で重大発表とやらの時間になった。


 それは、世界で活躍する有名デザイナー、ケビン・シークエンスの講義を直に受けられるという夢のような内容だ。

 当然受講者はこぞって受講申請をする。隣の彼女もしていたが、当選者の発表が終わると目に見えて彼女は落ち込んでいた。俺は無事当選したが彼女は運に見放されたらしい。


 俺としても譲ってあげたい所だがあの講義は俺自身是非とも受けたい。落ち込んでいる彼女を横目に講義が終わった部屋を出る。

 しかし、その数日後。実家から言いつけられた用事でどうしても講義の日に大学へ行くのが難しくなった。

 そこで俺はあの日見た名前も知らない彼女を探し、あの講義の権利を譲ろうと思った。

 他の誰とも知らない奴にあげるよりは、俺が惹かれたあの女性にあげるほうが良いからな。



 数日かけてようやく彼女を見つけることが出来た。例の講義の受講者変更届は今日一杯までだったから、無事見つかってよかったと安堵する。

 だがここで問題が発生した。そう、女性と話した事のない俺がどうやって彼女に話しかけるか、だ。


 迷っていると俺も後悔するばかりか、彼女の講義を受けるチャンスを逃してしまうので、勇気を振り絞り話しかけた。



 「ここ、こんにちは!俺は氷室といいまして、以前講義で一緒になったものです。き、今日はですね、貴女に用がありまして……」


 俺はデザイナーケビンの行う講義の話を出し彼女の心?を掴んだ(はずだ)。


 「はい?あ、このケビンさんって以前講義の募集が掛かっていた?」

 「そ、そうです!あの時、俺は貴女の隣に座っていたんですけど、当選されなかったんですよね?」

 「えぇ、残念ながら……」

 「そうでしたか。それでですね、今日の用事と言うのは、俺はケビンさんの講義に当選してたんですけど、当日どうしても家の用事で受講できなくなりまして、代わりの人を探していたんですよ。で、あの時隣で落ち込んでいたみたいだから、代わりに受けてくれないかなと……」


 女性は少し考えていたが、断りを入れてきた。確かに隣で自分を見つめていた男からそんなこと言われても気持ち悪いよな。だが、諦めない!


 「それに今日中に届出をしないと、受けられなくなるんだよ。あのケビンさんの授業を受けらるのは服飾科の人にはかなりのアドバンテージになると思いますよ」


 女性は考えている。もう一押しだ!がんばれ俺!


 「それにあなたに断られるともう当てがないんです。ですのでどうか……」


 女性は俺のしつこい売り込みにとうとう首を縦に振った。


 「ありがとうございます。本当は受けたい講義だったんです」


 笑顔でお礼を言われた。それは今まで見たことのない綺麗な・・・女性の笑顔だ。心から喜んでくれている事は間違いないだろう。


 でさ、こっちから渡すといっておいて受け取ってもらう時に条件をつけた俺って凄くね?

 その条件とは彼女の着ている服のメーカーについてだ。だが、その服は彼女の手作りと聞き俺は衝撃を受けた。彼女は自分で着る服は自分で作るという考えの持ち主だったからだ。

 俺はそのデザインセンスの良さに感服し、サイズは問わないから1着譲って欲しいと頼んだ。

 彼女からの返事は、時間はかかるだろうけど必ず作りますといってくれた。


 そうなると彼女との連絡手段が必要になるわけだ。俺は努めて平静に連絡先交換を申し出た。

 すると彼女は思いの他あっさりとメールアドレスと教えてくれた。俺は内心、テンション駄々上がりだ。まさか初めて登録した女性が超美人だなんて普通ありえねぇ!勿論その時に彼女の名前も知った。



 「鏡麗華さん……か。これっきりにならないようにちっとは努力してみようか」


 その日の夜。鏡さんからのメールでどうせ作るなら体に合った物を……ということで身体データを聞かれたので答えておいた。

 まさか今日から取り掛かってくれるのか?と嬉しく思った。

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