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目立ちたくないのに 8-2(ナナ視点)

 ザーバンの街でレイカちゃんたちと別れた私達は、ザーバン北東にある樹木で覆われた島で【密林島】と呼ばれる島へ向かった。


 ここまで来た方法は海底フィールドを通ってきたわけではないよ。私の相棒であるシャナンに乗ればひとっ飛びでここまで来れるからね!その為にも一度はこの島に来てる必要はあるけど、この島にはもう10回以上レイカちゃんと遊びに来てるから条件はとっくに満たしてるんだ~。


 「ナナさん。いつ乗ってもシャナンちゃんは凄いですね」

 「ふっふーん。なんてったって私のシャナンだから当然だよっ!」


 ルルカ・シヅキ・スミナの三人も一緒に乗っているシャナンは成竜となり大きさは既に全長8Mを超える巨体になっている。ここまで育つまで凄く狩りを頑張ったんだよ~。

 レイカちゃんがバイトで居ない時間を、育成に当て続けて2ヶ月……。

 ドラゴンってさ、育成に凄く時間が掛かるって有名なんだよ。幼竜から成長期位まではちゃんと戦っていれば育つんだけど、そこから成竜になるまでがね……ってこの話は今言わなくてもいっか。



 という訳で密林島に到着した私達は早速森の中へ。勝手知ったる他人の家……てな感じで、食材を集めに森の奥へ進みました。この辺のモンスターは森らしく獣や虫が多いからシヅキはあまり来たくないみたい。


 「うぅ、また虫……あっ、ムカデ!……く、蜘蛛ぉぉぉ!?」

 「シヅキッ!五月蝿い!」

 「だ、だってさぁ、虫だよ?女子が嫌いな生き物トップ10入りしてたんだよ?」

 「本物じゃないから私は気にしないかな~」

 「同じくっ」

 「あたしは虫自体嫌いじゃないから気にならないよ」

 「怖がらないと女子力が落ちるよ?」

 「そんな存在(彼氏)が居るなら実践しても良いけど生憎と居ないからね~」


 森の中をキャイキャイ言いながら進む事20分。目的の素材採取エリアに到着しました。このあたりは品質のよい野菜や果物など食材がたくさん採れる場所。

 この辺は攻略組程度の強さが必要になり、あまり人が居ないのもおいしい理由の一つだね。今日だって無人だし。


 「じゃあ、【調理】持ちの私と【採取】持ちのシヅキで素材を集めよっか。んで、ルルさんとスミナは索敵よろしくー。あっ、シャナンも索敵してね!」

 「了ー解」「あたしに任せな」「ギュルルルっ!!」



 そこから採取を行う事2時間。アイテムボックスも良い感じに埋まっています。流石に4人も居るとアイテムボックスに余裕があって、思う存分集められるね。レイカちゃんと二人だけだと二人分しか持てないし。


 「よし、それじゃ帰ろ「ギャオォォ!」…どうしたのシャナン?……えっ!?この気配は?」

 「ど、どうしたんですか?ナナさん」

 「み、皆集合!この島で会った事のない気配がする!もうすぐ奥から現れるよ!」

 「了解です」


 森の奥から現れたのは緑色の体表に金色のラインの入ったモンスターでした。


 「このモンスターって確かっ!」

 「スミナ、コイツの事知ってるの?」

 「はい!以前レイカ様にザーバン全域にランダムで現れるレアモンスターの話を聞きまして。それについて調べたら、このモンスター……【クルエルドタイグー】の動画もありました。ちなみにコイツのドロップはレイカ様が集めているものでもあります!」


 ……へぇ?レイカちゃんが欲しがっている素材を持ってるんだぁ?ウフフッ。

 じゃあこいつを狩って素材を持ち帰ればレイカちゃんにあんな事やこんな事して貰えるのかなぁ?

 うんうん、テンション上がってきたよぉぉ!!


 クルエルドタイグーは私達を遠くから捕捉していたらしく、逃がすつもりは無さそうだね。向こうと同様で私的にもこのクルエルドタイグーに逃げられると困るんだけよね~。

 でも、レイカちゃんが狙ってるって言うくらいだからきっと強いはずだよね。それなら……


 「本気の本気……超本気で行くよっ!シャナン!」

 「グルッ!!」



 竜騎士と成龍が共に居る時、私達は一つの存在になる。この現象をアビリティ【竜人化】と言い、私のベースレベルが50を超え、シャナンが成龍となった時に自動取得した攻撃用スキル。竜人化している間はドラゴン系列(相棒のドラゴンの属性によって変化)の技が使用可能となり、通常スキルによる威力も30%上昇します。


 「スミナはルルさんを守って!シヅキとルルさんは援護お願いしますね」

 「分かった~。相変わらずナナさんカッコイイ~!」


 そ、そうかな?私ってカッコよかったんだね!よし、レイカちゃんにアタックしないとねっ!

 ……って違った。目の前のクルエルドタイグーを倒さないとダメでした!



 クルエルドタイグーが【疾風の爪】による普通なら致死確定の瞬歩の一撃を繰り出してくるけど、竜人化した私にとっては十分目で追える。

 横薙ぎの一撃をスウェイで避け、攻撃を空ぶった隙を突いてドラゴン系列の攻撃技【竜槍雷撃雨】を使った。

 この技は槍などの長柄の武器を装備時に使う技の一つで、雷化した貫通力の高いつき攻撃を雨のように降らせる技。


 まだアビリティを取得して間もなく、ほとんど使いこなせてないから5連撃位しか出来なかったけど、それでもクルエルドタイグーの体力は7割減らす事に成功した。



 「ナナさーん。強い強い~。このままトドメ刺しちゃえ~」

 「ナナっ。獣種族は体力を減らしてからが勝負だ。気を抜いたらダメだよ」


 スミナのテンションは駄々上がりの様子。けど私もルルさんの言うとおり、ここからどういう展開になるか予想できないので深追いはしないつもり。


 「それなら私が突っ込みます!都合よくナナさんが作っていた10秒間致死攻撃無効化の料理を食べますので!」

 「ダメだよ!これから先コイツがどういう行動をとってもシャナンと一つになった私なら倒せるよ!

 どうしても手伝うって言うなら投槍で援護してくれると助かるかな」

 「分かりました。今日の所は援護をさせて頂きます」

 「ありがとう。シヅキ」


 残り体力が3割を切っているクルエルドタイグーに対し、私は通常スキル【威圧】を使用する。このスキルは下位スキル【威嚇】から中級スキル【おちょくり】となり最後に【威圧】もしくは【怒気】のどちらかを選べたんですが、私が【怒気】を持っても似合わないので威圧にしたんだよ。

 その威圧の効果により、クルエルドタイグーの動きに若干の変化が起きる。



 「シヅキっ。今!」

 「了解です!連槍スキル【ミラージュスピア】!」


 スキルを使用したことによりシヅキの投げた槍は幻影を纏うようになり、敵へ到達する頃には5倍以上の数になる。本物は1本だけなのは変わらずですけど。

 ぶっちゃけこの攻撃が当たろうが当たるまいが、この後私が動く事には変わりありません。

 シヅキもそれを知っているからこそ、気負いなく援護できるはずだから。


 クルエルドタイグーは威圧効果により、鈍くなった自分の体を無理やり動かし槍を全て避け切った。

 けどその時にはもう私がその体に接近している。


 「いっくよ!剛拳スキル【エアリアルラッシュ】……続けて拳王スキル【天地爆撃衝】」


 前者は地上・空中関係なく、拳による連続攻撃を繰り出す技で、次の攻撃に繋げやすいのが特徴です。

 で次の【拳王】スキルは【剛拳】の最終進化したスキルで一撃一撃に多大なる破壊力がある一撃必倒の技が数多くある。



 最初から最後までの攻撃を受け続けたクルエルドタイグーの体は消え去った。

 後に残ったのは《フォレスターエルタイド》が1つ、《風虎の魂》という効果不明の謎アイテムが1つでした。



 「ふぅ~。終わった終わった~。ねぇスミナ?レイカちゃんが欲しいアイテムってどっち?」

 「えっと確かこっちの《フォレスターエルタイド》のはずですよ?」

 「了解!……あっ、このアイテムが出た事、知らせるのは私に任せて欲しいんだけど」

 「ナナさん。もしかしなくてもレイカ様に何かおねだりするつもりですよね?そんな独り占めはダメですよ!」

 「そそ、そんな事しないよ~?(ピュピュ~♪)」

 「はぁ……まあ、倒したのはナナさんですからその位の権利は差し上げますけど、レイカ様に何かを要求する時には私も主張しますからね」

 「大丈夫大丈夫!悪いようにはしないよ~。ふっふっふ~」



 少しだけ悪巧みの口裏合わせをした後私達はシャナンに乗りギルドホームに戻ったのでした。

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