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目立ちたくないのに 8-1

 現実側の思わぬ場所でギルドメンバーと顔を合わせてから1ヶ月が経過しました。

 DCO内においてあれから今までの間にあったことは大きく分けて次の3つです。


 ①3期増販の発売による初心者プレイヤーの増加、新規プレイヤー増加による装備品等の品薄状態

 ②アップデートによる空腹度の追加で、料理系素材の品薄状態・該当素材の高騰化。

 ③初心者キラー目的のPKギルドの乱立、その対策の警備ギルド(連合)の発足


 ①に関しては基本は静観するつもり。

 一応第二の街エンローズには未だに私の店がポツンと置いてあったりしますけど、そこまで来れるプレイヤーで素材を持ち込める人にしか作るつもりはないですから。


 ②はそういう話しがあると聞いていたので、あらかじめためて置いたギルド資金で、アップデート前に素材を買い集めておいたので、この一ヶ月は問題ありませんでした。


 ③は【滅神】マスターのアキラやら【ダンデライオン】マスターのミュレイから頼まれたので連合に参加するという約束をしました。

 そういえば最近、街でアキラに会うとPVPを挑まれるんですよね。だからその頻度を月一回にすると約束する事で合意しました。

 ただでさえ、育成時間が少ないのにPVPで時間を取られたくないですから。



 「レイカちゃん。今日の狩は何処にする~?」

 「今日?そうね……やっぱりみんなで各素材採取かしら?」


 ギルドメンバーで集まり、今後の話し合いをする中、フライパンを片手に話しかけてくるナナ。

 実はナナが【夢の涙】唯一の【料理】スキル持ちと言う事で、かなり重用されています。こちらで料理するようになってから、現実側でも料理に手を出しており日に日にその腕前が上がっていたりします。

 昨日の夜シチューをおすそ分けしてもらったのですが、私の好みの味に仕上がっており、数ヶ月前までの料理の「り」の字も知らなかった子がここまで成長したのね……と感慨に耽ったのは言う間でもありません。

私の料理の腕?とっくに抜かれてますけど何か?


 DCOの料理には空腹度を上げる以外にも品質により、腕力などのステータスが上がるもの、魔法などの属性攻撃に対する防御が上がったりするもの、状態異常になる確率が下がるものなど幾多もあるので、巷では料理系スキルもちの争奪戦が繰り広げられているとか……。



 「お~!いいですね採取!私の方も鉱石が少なくなってきてたから、ボディガードが欲しかった所なんですよね」

 「ウサミさんの作っている武具は補正値が高いですから、最優先にするべきですね」

 「それは同意見ですわ。狩りに行く場所が場所ですから最近武器の耐久値の減りが多くて困ってたんですの」


 ウサミの素材の不足発現の後、シヅキやコノハなど物理攻撃スキルを持つ面々が賛成の意を出す。

 この一ヶ月で何度か行ったギルド狩りにより、大幅なレベルアップを果たしたシヅキ達は、既に攻略組のすぐ後ろに付くほどの実力になっています。



 「なら鉱石素材を集めるメンバー、食材を集めるメンバー、それらについていく護衛メンバーを決めましょうか」

 「はいはーい。じゃあ私は食材チームについていくよ!食材の目利きは私の料理スキルで見分けた方が良いからねー」

 「それなら私が鉱石側の護衛につくわね。後はそうね……メンバーの割り振りかしら?」



 その話し合いの結果、鉱石な香石などの石系素材集めに、ウサミ・コノハ・私の3名。

 食材集めは残りのメンバーであるナナ・ルルカ・シヅキ・スミナで当たることになりました。



 「さてっ、鉱石チームはザーバン南東エリアの岩石島へ、食材チームはザーバン北東の密林島と言う事で決定ね?」

 「それで良いよ~」

 「分かりました!」

 「了解~」



 各々の返事を聞き、準備を始める私達。既に何度か行っている島なので、どういった特徴の島かは把握出来ていますから準備もすぐに終了しました。


 「それじゃ出発!!」

 「レイカちゃん気をつけてね!」

 「ナナもね?」

 「こっちは成竜になったシャナンが居るから大丈夫だよ?むしろ過剰戦力だもん」

 「そういうならこっちも歴代のボス人形たちがそろってるから、大丈夫よ」

 「レイカちゃんの強さは知っているよ。そっちの意味じゃなくて、あのあたりの島は今大人気の為、大量にPKが出るって聞いたから」

 「それこそ気にしないで良いわ。【海竜ネプトロン】シリーズの装備になった私達に攻撃が早々通らないから」

 「それもそっか。じゃあ行ってきます!」



 ナナたちを見送った後は、私達も目的に島へ向かいます。

 岩石島に到着した私達は良い素材が採れる島の中央部を目指して進みます。道中に出るモンスターは岩やら鋼で出来ているモンスターなので物理攻撃よりも魔法攻撃が効果的な為、【天光魔法】【冥闇魔法】を駆使し、発見次第倒していきます。


 「レイカ!前方の窪地にランダムボスの巨人トールがいるわよ!」

 「またなの?最近よく会うわね……。ちょっと片付けてくるから、待ってて」

 「いつもすまないねぇ……レイカさんや……」

 「ウサミ……そのお婆さんネタ飽きたわよ」

 「だってこれ位しかないもん」

 「やらなきゃ良いだけじゃないの……」

 「それは負けた気がするから嫌っ!」

 「……もういいわ。それじゃあコノハはウサミの護衛よろしくね。もしPKが来たら……連合の件もあるから潰して良いからね」

 「分かりました!この任務必ずやり遂げます!」

 「そこまで意気込まなくても良いわよ?どうせ【影法師】・【暗黙の世界ジ・イクリプス】辺りがメインでしょうから」

 「そうですね。けどガレイオウあたりに来られると私では厳しいですよ?」



 そうなのよねぇ。最近【影法師】のメンバーがよく私達の行く狩場にいて、出会うメンツが毎回同じなのよ。ガレイオウ・ギンガ・フィジット・リオンの4名と他のメンバー数名で来ます。

 こういった通常フィールドでは大会の時のように装備のステータスを抑えていないので、彼らの攻撃じゃちょっとね……私の作り上げた装備達の上から大きなダメージを与えられないのです。ガレイオウは除きますけどね。


 で、もう一つのPKギルド【暗黙の世界ジ・イクリプス】は3期分が増販されてから、台頭を現した新進気鋭?のPKギルド。この人達は単体では弱いのですけど、必ず10人・20人単位で固まって襲って来るので1期や2期のプレイヤーでも偶にやられたりしてますね。

 私もナナと一緒にいる時に襲われましたがPKと判断した瞬間、システム外スキル【激怒】となったナナによって全員、一瞬で撃破されていたのを覚えています。

 システム外スキルと言いましたが、なんて事はないただの怒りなんですけど。




 とりあえず、私はウサミ達が狙われる前に巨人トールの討伐を済ませないといけません。

 もう何度も無傷で倒しているボスなので、今回も危なげなく……



 倒せました。



 倒し方は簡単ですよ?巨人種族モンスターって足を攻撃すれば弱点が現れるのは共通らしいので、攻撃方法さえ覚えていれば倒すのは容易いです。

 トールの攻撃方法は、通常時の武器所持時は雷槌を振り下ろす・薙ぎ払う・放り投げるの3種類。

 雷槌を手放して拾うまでの攻撃手段は、その巨体で駆け足をして地震を起こしその隙をついて踏みつける攻撃やら、大声で叫んで【怯み】を起こさせてからフライングボディプレスをする。というモノ。


 私の場合はほら……武器の帯がこの辺のボスクラスに対してもまだ効果が高いようで、数度攻撃すれば弱点を晒してくれるのでそこまでヒドイ攻撃をされた事がないんですよ。



 巨人トールのドロップアイテムは《雷撃銀》《封印宝玉》《雷巨人の皮膚》とその他《巨人の骨》などの共通素材を複数。私は皮膚以外に用はありませんので素材はギルドホームの共通倉庫に突っ込んであります。

 ちなみに《雷撃銀》を売れば単価で150万~200万Cとなるんですけど、ギルド狩りで来てるので独り占めはダメですよね。

 巨人トールを倒し素材の採取を始めるウサミ。私もウサミが採らない素材を【再生採取】で集めていきました。スミナは採取系スキルを所持していないらしいので、警戒にあたってもらっています。

 あと密かに心配していたPKの襲来はなかったので、安心です。



 にしてもナナ達は無事に素材を集められているかしら……?

 そんなことを考えている所に何やら地中から迫る音が聞こえたのだった。

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