目立ちたくないのに 6
遅れました。さーっせんしたぁ!
なおこのコメントは自動で爆発されます……。
顔合わせが済みアパートに戻るとまたしてもシャワーを浴び、気分をスッキリしてからDCOへログインする。
時間的にはリアルで1時間(DCOでは約3時間)程楽しめる計算です。
昨日までは生産方面を頑張っていましたけど、今日は時間の関係上ギルドクエストを受けるか、適当に狩をするかお悩み中なのです。
しかし、あまり悩んでいるのは時間の無駄ですから、コミュニケーションツールのダイスを出し奇数が出ればギルドクエストを偶数が出れば狩りへ行くという事に決めました。
「ダイス~……Go!……ふ、フフッ」
ダイスを転がし、出た目を見てこっそり喜んでいる私がいました。
私が今いるのはザーバン西側にある大きな島。
私の水着を奪ったあの鳥に復讐したついでに、ヤツらの持つ盗難防止もしくは盗難系効果を持つ素材を集めたいのです。
この島を選んだ理由としては、今日はあまりログインしていられる時間が少ないので、短時間でいけるマップで、敵自体は強くなく(けど素早い)、かつ私のストレス解消になるモンスターはあのエッチな鳥しかいないから。
島に到着すると他のプレイヤーがいないか確認して、ビキニの上から着ていたパーカーを脱ぐ。
押さえつけてた胸元が多少自由になり少し開放感がありました。パーカーを着ていたのは、街から出る際にビキニだと注目度が半端なかったので、それらの視線から少しでも逃れるため。
けどそれも結局無駄でパーカーを着ててもまだ、多くの視線を感じるんですよね……見られてる位置は上だったのが下に変更されてましたけど。
「さてとっ、始めるとしましょうか!」
気合を入れなおし、やはり水着のままで島を歩き回ると遠くからバッサバッサと沢山の羽音が……。
「……やっぱり来たわね」
音のする方向を見ると7羽のエッチな鳥……正式なモンスター名は《透並鳥》と言うみたい……が横並びに飛んできていた。
予想はしてたけど本当に名前どおりだったのね。読める人には「すけべどり」としか読めないわよね。読めないなら読めないで良いんですよ?…安直に助平ではない所がまだマシなのかしら?
呼び方は……エッチな鳥のままでいいですよね?後はとりあえず蹴散らしてから考えましょうか。
「シルフィショット」
私が唱えたのは【神風魔法】の基本スペル。けど、この魔法も実は基本スペルと言いながらなかなか凶悪ですよ。だって……風精霊で出来た球を打ち出した後、その球が破裂し、幾本もの矢に分かれ範囲内の敵を撃つ魔法。
うん、一応これでも風魔法スキルの最終形なのに数羽ほど避けたではないですかっ!
うーん?私の魔法のチョイスが悪かったのでしょうか。けど、私一人だとどうしても正面から撃つ事になってしまいますよね……。
しかし私には強い味方がいます!…そう、人形達です。こちらの方も【人形遣い】になったことで、人形に設定されているコストが少しだけ減少しているので【人形操作】の時よりも多く繰り出す事ができるのです。
彼らを使えばもしかすると、エッチな鳥たちの目をごまかせるかもしれませんね。
「やっぱりこうなるのよね……」
人形達でエッチな鳥達の気を引こうとしましたが、見事にスルーされてしまいました。
あっ、スルーされてると言っても人形たちの攻撃はきっちり避けてるのです。人形達がいくら攻撃しようと眼中にないって事なのでしょう。
そりゃ、エッチな鳥の出現条件?が水着を着ていることである以上、狙う相手も水着着用じゃないとだめなんですよね……。
あれ?と言う事は人形に水着着せれば良いんじゃないの?
と言う事で、一番ガタイの大きいワイヴァーン人形を取り出し予備の水着を着用させてみました。
「……に、似合わないわね……」
ワイヴァーンに着せたのは、ホルターネックの無地の水着。
なんとワイヴァーン人形に水着を着せた途端、エッチな鳥は私に見向きもせず人形に向かって突っ込んで行ったではありませんかっ!その体当たりというか水着を盗む為の攻撃を避けたワイヴァーンがフワリと浮き上がり、エッチな鳥に向かって炎を吐く。
「こ、こんな馬鹿な事があるなんて……開発チームの趣味を疑うわ……」
ワイヴァーンの炎に巻かれて、エッチな鳥たちが次々と落ちていく…。
ダメージだけ受け墜落したエッチな鳥は、漁夫の利というかそんな感じで私がシルフィショットで止めを刺しておきました。
水着ワイヴァーンを飛び回らせることでエッチな鳥をおびき寄せ、後方の死角からシルフィーショットによる纏め狩りの方法を編み出したので、後半は嬉々としてエッチな鳥退治をがんばりましたよ!
「よしっ!盗鳥の皮も羽も十分に集まったわね。そろそろ帰ろうかしら。時間も良い感じだしね」
集めた素材は新しいタイプの水着にしてナナ達に作ってあげる予定にしています。数を作り裁縫スキルを早く最終形にしたいからね。
ザーバンの街を経由して、インカロードのギルドホームへ戻る。そこにはシヅキ達が居たので希望の水着を聞いてみた所、全員パレオつきのビキニが良いと言っていましたので了承しておきました。
ついでに何故ビキニが良いのか聞いてみたのですがゴニョゴニョ言っていて聞き取る事ができませんでした。
こう言う話は女性同士でもやっぱり恥ずかしいのかしら?付き合いのある友人って少ないので気持ちがよく分かりません。
☆☆☆ レイカがシヅキたちに水着の件を聞き、ログアウトして行った頃 ☆☆☆
「レイカさんは明日遠くに行く用事があるから早く落ちるんだって」
「へぇ~?じゃあ明日はログインしないのかな?」
「そうかもしれませんわね。さらに明日もナナさんがいらっしゃいませんのできっと暇になりますわね」
「え?ナナさん明日も居ないの!?」
「そうですの。何か大事なイベントがあるからって言ってましたわよ」
「ほぇ~そうなんだぁ?」
シヅキとスミナの質問にコノハが答える。コノハはこの三人で話す時はなぜか御淑やかな口調になる。
シヅキ達は既に気にしていないので突っ込む事はしないけど。
「ふーん、イベントかぁ。調べてみるね……あぁ、これじゃない?」
シヅキが素早い操作で、情報を引き出す。レイカはこういった操作に慣れていないので未だにいちいちログアウトしているので、シヅキがいかにDCOのシステムを使いこなしているかが伺える。
「ふむふむ……アリーナでDCOのレアアイテムが当たる(かもしれない)福引券をもらえるんだって」
「いいなっ!……私達もいこうよ!どうせログインしても誰も居ないんだしさっ!」
「そうですわね……。ちょうど良いタイミングで明日は空いていますの」
「スミナ……体調は平気なの?」
「問題ないないっ。昔みたいにベッドに縛り付けられるような事はもうないよ」
「そう、ならいいわ。それなら私もスミナについて行ってあげるわね」
「やりぃ!……それじゃ明日7時に駅集合で!」
「早すぎませんですこと?」
「コノハ~。こう言うイベントは早く行った方が良いんだよ。って言っても既に一日出遅れてるんだけどねー」
「一応、女神サイトにナナさん宛てにメッセージを書いておきますね。もしかしたらあちらで会えるかも知れませんし」
「そうですわね。ではそれはシヅキさんにお願いいたしますわ」
「オッケ~ィ。コノハは……朝食よろしく!」
「仕方ありませんわね。お昼は適当に済ませることでよろしいですの?」
「そうだね。あまり沢山持って行っても邪魔になるから、朝ごはんだけで良いよ~。容器は捨てれる方が良いなぁ」
「分かっておりますわ。万事抜かりありませんのよ?」
と言う事でシヅキ達はイベント会場へ向かう事にした。はてさてこの先彼女達はナナに会う事ができるのでしょうか!