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目立ちたくないのに 3

明日の更新はお休みです。

 「おろろ?レイカさんじゃない。久し振りじゃない~。元気してた~……のは知ってるから聞かなくても分かるからいいや」


 私が訪ねていったのは、インカロードの街のダンジョンから正反対にあるプレイヤー用の私有地。

 ここには、私と同じ魔族でクリエイトスミスを取得している女性プレイヤーがいるのです。

 クリエイトスミスとは【鍛冶師】の最終派生スキルで【マスター~】を最大レベルに上げた後に出てくる2種類のスキルのうちの片方。



 「ご無沙汰してます、エミリーさん。ギルドバトル見てらしたんですね?

 その話は追々するとしまして今日はお願いがあってきたんですけど、今大丈夫ですか?」

 「仕事の話かしら?それだったら良いわよ」

 「実は私の生産スキルを上げるためにギルドメンバーに装備を作ることにしたんですけど、その子は鎧を好むんです。

 ですが、私が扱えるのは薄い鉄板までなので、母体となるプレートアーマーの制作をお願いしたいんです」

 「ふーん……レイカさんが使うなら二つ返事で受けてあげるんだけど他の人が使うんじゃねぇ……」


  エミリーさんは、自分の気に入った人にしか武器を作らない変わり者で、腕は良いのに人気が無い人でもありました。私の事を気に入ってくれたのは、当時私が【香料士】で作った香りによる新しい補正ステータスを確立したからだと思います。



 「ダメでしょうか?」

 「どうしようかなぁ。仮に作るとして形に拘りはある?」

 「ありませんね。原型を作っていただければ、そこから私のスキルで手を加えさせてもらおうと思っていたので」


 しばらく考えているようでしたが、ふと何かを思いついたかのような表情をして、私からの依頼を受けてくださることになりました。


 「うーん……よしっ、条件として、これから言う素材のどれかを採取してきてもらう事と、レイカさんが手を加える時に一緒に作業する事を了承してくれるなら、その依頼受けても良いよ」

 「そんな事でよければ喜んで。私としても鍛冶を見せてもらえるチャンスですし、問題ありません」

 「OK。交渉成立だね。じゃあ早速だけど、これらの素材のどれでも良いから採取よろしくっ!勿論多いのは大歓迎するよ」

 


 自慢げに胸を張るエミリーさん。と言ってもささやかに膨らんでいるくらい。

 私としては羨ましいです、自分の胸って肩が凝るし邪魔になるんだもの。

 そんな事を考えてる時でもエミリーさんから鋭い視線を感じることはなかったですよ。気にしてなくてよかった。



 エミリーさんから入手してくる素材の一覧を受け取り、出現するモンスターの位置を確認していく。


 《フォレスターエルタイド》を落とすクルエルドタイグー

 《グラミドエルタイド》を落とすミッションワーム

 《ウォッタルエルタイド》を落とす海湖の主

 《フレイアムエルタイド》を落とすU・Dユニティ・ダイナマイトスライム……?聞いた事の無いモンスターばかりなんですね。


 「えっと、エミリーさん。このモンスターの事、何一つとして思い当たる節がないんですけど?」

 「そう?ちゃんと情報掲示板に載っているよ。ただし全部ザーバンエリアの目立たない小島に生息しているレアモン中のレアモンだから出会える確率は低いと思うけどね」


 

 対象はザーバンエリアに出るのは確定情報なんだし、封印の宝玉集めの道中で探せば良いかな。

 敵寄せのお香アイテムを量産していけばどれかには会えるでしょ。


 

 「相手がレアモンスターというのですので、いつ集まるか分かりませんけど、集まりましたら持ってきますね」


 エミリーさんに声をかけ店を出た後、昨日作ったばかりの強奪防止付きの水着を所持していることを確認してザーバンへ飛びました。





 私がエミリーさんの工房から出た頃、エミリーさんの鍛冶工房内にて……


 「待ってるよ~……ふっふっふ、これで四源石しげんせきが集まるといいな。でもでもレイカさんが来てくれるとはラッキーだったよ。

 ギルドバトルで見た限り、本気出して無さそうだったし、アキラより強いって言うのも本当みたい。

 四源石がいくつかあれば、DCO初のレアリティ10越えを作れるはず。ふふふふっ……っといけないいけない。レイカさんから頼まれたプレートアーマーの基礎は作っておかないと……一緒に手を加える場所考えとこうかな」



 コンコン…ガチャリッ……



 「毎度~エミリーはん。いつもの納品にきたでー……ってなんや!?何で笑ってはんの?」

 「ウフフフッ。笑ってなんかないですよ?」

 「顔の造形がおかしくなる程度には形崩れてはるで?」

 「そう?じゃあそうなのかもね~。うふふふっ!」

 「……その笑い方のせいで、美形とは言わんけど見れる顔が台無しやん!」

 「代金はそこの袋に入ってるから確認してねっ」

 「ひの、ふの、みぃの、よぉ……んっ、確かに。んじゃ毎度おおきに!また素材足りんようになったらウチの店《光陰、疾犬の如し》をご贔屓に~」

 「はいはーい。フフフッ」


 謎の販売員はエミリーの店を出た後、メモ帳を取り出す。


 「あのエミリーはんが、あの状態になる時は、決まって良い素材が手に入るメドがついた時やったな。ちょっと探り入れとかなアカンな……アイツら呼ぼか…」


 謎の販売員がブツブツと言っていると、数人の人影が販売員を取り囲み、何かを受け取るとスッと消えていく。販売員はそれを見送り近くの転送機から何処かへ去っていった。

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