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目立ちたくないのに 1

次話 いつもどおり2話目登校予定時刻に予約済みですー。


何時かは教えないヨッ!?

 GWのイベントが終了したGW最終日。私はある電話を受けていました。


 「はい、今週の9日土曜日夕方に、カメラマンと記者の方との顔合わせですね?」

 「あぁ、あと紡木さんの方には既に連絡しているから、二人で来てくれ」

 「七……紡木さんとですね?分かりました。では土曜日にお伺いいたします」



 こんにちは。鏡麗華です。え?知ってる?そうですよね。……と、余計な話しはなくて良いですよね。


 先程の電話は姫島さんから頼まれたモデルの件でおなじみ?△◇さんし雑誌社の三枝社長からです。

 これからの撮影やらなんやらの当面の流れを話し合うために、行動を共にする事が多くなるであろう方々と一度顔合わせをしておこうとなりました。

 土曜日の昼からと言われた場合、エトランゼのシフトの関係上困りますが、そこは社長があらかじめ融通を利かせてくれたみたいで安心しました。


 約束の日までまだ3日ほどありますのでその間に色々やろうと思います。

 まずは、イベント前に悪魔フォラスと戦った遺跡型ダンジョンで見つけた各種生産スキルの秘伝書の情報とその封印の解き方。そして封印を守護する敵の強さ。

 敵の強さに関しては以前申した通り、最高装備した私でもかなりの痛手を負いましたので、もしかしたらニ次職の人ではレイドで行かないと取れないかも。という感じで投稿しておきました。


 この投稿に関して、もっと詳しい事を教えろ等という書き込みがありましたけど、他の人がその人達を駆逐してくれたみたいです。どうやってかは知りませんけど。

 私も全ての守護モンスターを倒したわけじゃないですから言えないこともあるわけです。

 あぁ言う情報クレクレプレイヤーが多いと、情報提供するのが嫌になりますよね。あぁ気分が悪い。


 

 GW翌日は大学での講義。しかしそこで予想だにしない事が……。

 大学内に併設された食堂で昼食をとっていると、同じ学部の先輩らしき男性2人が近寄ってきたのです。

 なぜ同じ学部と分かるかと言うと、一人は作りかけの服を持っているから。

 そしてそれがなかなか趣味が良い造りだったので、服飾科の人だと見当をつけたわけ。


 容姿は、普通の人が見るならそこそこカッコイイ雰囲気を出す優メンではないでしょうか?

 私?私はそうですね。もうちょっと濃い方が好みかな?……いざそんな人に会っても話せないけど。



 「なあ、アンタって、DCOやってるよな?」


 いきなり寄って来て突然何を言い出すのかしら、この人達。


 「……貴方たちはどなたでしょうか?」


 いくら年上だからって自己紹介もしない人と話す気なんてありませんよ?

 DCO内でしたら、男性と話すのも吝かではないですけど、外ではちょっと抵抗がありますから。


 「俺はDCOをプレイしている一人で、内藤という。プレイヤーネームはバッキバキ。んでこっちのヤツが、李・潤というヤツでプレイヤーネームは……」

 「ヴォルヘイム・ヘルメスド・ジャガンだ……アンタは裁縫の魔術師のレイカさんだよな」


 ……既に確信を持って話しかけてきたって事ですか……。正直相手にするの面倒くさいかも…。

 って言うか後の人プレイヤーネームながっ!覚えられないわ。



 「人違いです。じゃあそういうことで」


 食べ終わった食器を、セルフ返却口に持って行こうと席を立つと二人とも慌てだす。


 「いやっ、ま、待ってくれ。別に俺はレイカさんと裁縫スキルについて語りたいだけなんだ」

 「俺はその付き添い」

 「だから私はそのレイカさん?とかいう人じゃないって言ってるでしょう?」

 「そ、そんなバカな。ここまで似ていて他人だというのは信じられん!」



 ガックリとしている内藤氏。しかしそこに彼らへの助け舟がやってきてしまう。



 「あら、麗華じゃない」

 「むっ!やはりか!」

 「……ミヤ。すごくタイミング悪いんだけど……」

 「え?なん……あぁ、去年の学内裁縫コンテスト最優秀賞を取得した内藤先輩……と、ごめんなさいよく知らない人ね。彼らがどうかしたの?」


 ミヤのよくわからない人発言に李氏がヘコむ。内藤氏は私が麗華という名前と知り、瞳に輝きが戻ってしまいました。あともうちょっとで逃げられたのに……。



 「君は?」

 「私はシステム構築科の都筑といいます。内藤先輩の活躍はよく耳にしています」

 「そうなのかい?どういった感じで噂が流れているのか気になる所だけどそれよりも……そちらの麗華さんについて聞きたいことがあるのだが、彼女はDCOプレイヤーではないかな?」

 「…っ!?ミy……」


 内藤氏は私はいつまで経ってもほんとの事を言わないと判断し、突如現れたミヤに質問したのです。急いで口止めをしようと、口を開いた時には既に遅く…


 「そうですよ。先日のギルドバトルでさらに有名になった子ですね」

 「やはりそうだったのか!なぜ否定したんだい?」

 「……現実の男性と正面から話す事が嫌なだけですよ?」

 「それはすまないね。ではDCOで色々と聞きたいのだがあちらで会って貰えないだろうか?」


 やっぱりこうなりました。言われると思ってたんですよねー。

 あんまり現実で繋がる人と関係を持ちたくないんだけど……。あんまり断ってリアル情報をバラされても困るし。


 「リアル情報を他言無用にしてくださるならDCOで話すのは大丈夫です」

 「それはマナーとして当然だね。誰にも話さないことを約束しよう」

 


 という訳で、彼とは本日の夜にあちらで会うことになりました。内藤氏と李氏が立ち去った後、私はミヤに不満げな視線を送る。


 「い、イヤぁね~。……内藤先輩って言ったら、服飾学部の王子って言われてるのよ。服飾科にいる友人の一人が内藤さんに憧れててよく話を聞かされるのよね」

 「そういわれてるのと私の情報は全く関係ないですよね」

 「ご、ごめん」

 「人の情報をペラペラ周りに漏らすのはこれっきりにしてくださいね」

 「わ、分かったわ。酔ってない限り言わない!」

 「酔ってても言わないでくださいっ!」

 「……はい(今日の麗華、超怖いんですけど!?)」



 14時過ぎに大学の選択講義が終わり、アルバイトへ。そこでは特に問題はなく普段どおりだったので割愛します。



 アルバイト後、帰宅して色々済ませてログイン。内藤バッキバキ氏との約束までまだ少し時間があるので、先日鳥に盗まれた水着を作り直すことにしました。

 今回のメイン素材も前回同様、龍皮。それにあのエッチな鳥から手に入れた鳥皮を併せて制作すると強奪防止の特殊効果のついた水着が完成しました。


 「…ふふっ。これは良いわね。まさか防具に使うと強奪防止の効果がつくなんて。これであの鳥にリベンジが出来るわ」



 一人、素晴らしい出来に満足していましたが、ふと時計を見て驚く。

 ……また裁縫に没頭してて時間ギリギリじゃない!内藤氏を待たせることになるわね。

 ……まあいいかな?これで内藤氏が諦めて帰ってくれれば、遅刻したけど約束の場所に行ったと言い張れますし。




 ……甘い考えでした。


 DCOで30分くらい待たせてるのに頭上に《バッキバキ》という名前のついたプレイヤーが約束した場所にいるではありませんか。


 ……いるのならしょうがありません。遅れたのは私ですから謝罪しなくちゃ。

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