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特一級機密調書八二三〇一号より抜粋①
〈記録者〉
期待はしないで頂きたい。
確かに私は、直接的な付き合いはあったが、それも短い間だ。知っていることなど多くはない。そうでなくても、当時の私は自分の事でやっとだった。
〈会見対象者〉
いえ、どんな小さなことでも構いません。こと彼に関しては、その知名度に比べてあまりにも情報が少ないんです。
〈記録者〉
分かった。では、どこから話したものか。
〈会見対象者〉
まずは、彼との馴れ初めなどを。
〈記録者〉
馴れ初めなどと‥‥‥そんな色っぽい話ではない。最初は、今思えば笑えるほど最悪だった。
少なくとも、私はそう思っていた。