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モノトーン

掲載日:2026/03/27

 なんの変哲もない消しゴムを買った

…はずの、少女二人のお話を書きました。

最後まで楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。


 これは一つの消しゴムの話です。私と友人の黒い消しゴムの話です。


私と友人は文具が好きでした 私はフルーツなどの香り付きのものや 赤やピンクのカラフルな文具。

友人のB子は黒や白、グレーなどのシンプルな文具が好きでした。

私たちの住む地域では雑貨店があり、そこには 文具のコーナーがあるので いつも 学校帰りに立ち寄っていました。


 その日も私たちはおしゃれな店内で好みの文具の発掘に勤しんでいました。

私がその時 狙っていたのはバニラの香りのするペンといちごの香り付き消しゴムでした。

「無いなぁ…」

そう呟いた時でした。

「待って…これすごく可愛くない?めっちゃ私好みなんだけど」

B子が小さくこえを上げ、私にそれを見せてきました。

B子の手の中には小さな黒い消しゴムがありました。

何の変哲もない、ただの消しゴムに見えましたが何故かいつもはシンプルな文具にはあまり関心のない私でもその消しゴムは光り輝く宝石のように見えました。


他のお店では売っていないような謎の魅力を感じたのです。


「それ…私も買おうかな。どこにあったの?」

自分のお目当ての文具のことも忘れて、私はB子に聞きました。

「えっと…こっちの消しゴムコーナーにあったんだけど…これでラストみたい…」


少し気まずい沈黙の後、消しゴムは結局、B子の物になりました。


先にこの消しゴムを見つけたのは B子でしたし、私が好きなのはシンプルな文具では無いのでこれは B子のものになるべきだと思ったのです。


しかし頭では納得できても、感情的にはまだ消しゴムを手に入れたいという思いは収まっていませんでした。


私はその時欲しかった文房具を手に入れたというのに全く嬉しくありません。


 次の日、B子はあの消しゴムを学校に持ってきました。

消し心地は最高で力を入れなくてもさらっと消えるそうです。

嬉しそうにしているB子を私はとても恨めしいと思っていました。ついつい 手に力が入りシャーペンの芯を何度か折りました。


もちろん授業は全く頭に入ってきません。


次の日もまたその次の日もB子は消しゴムを持ってきました。


お気に入りになった様子で、毎日その消しゴムを使って授業を受けていました。


そして最後の金曜日、B子は6時間目授業の前にトイレに行くため 席を立ちました。


B子の机の上には、先ほどまで使っていた文房具が無造作に置かれています。


もちろんあの消しゴムも。


 周囲の人たちはそれぞれ、他の友達とおしゃべりをしたり別のクラスへ行ったり、トイレ行ったりと誰もこちらを気にしていませんでした。


私はその消しゴムをそっと自分のポケットに忍ばせました。


 B子はしばらく無くしてしまったと慌て、見つからないとなるととてもショックを受けた様子でいました。


友人が悲しそうな顔をするのは とても胸が痛みましたが、それよりも 消しゴムを手に入れたいという思いの方が勝ちました。


 学校から帰宅する時、いつもなら一緒に文房具のコーナーを見るのですがB子も元気がありませんし、私たちはどこにも寄り道せずにその日は家に帰りました。


自分の部屋で 私は消しゴムをじっくりと眺めます。


B子の使いかけですが構いません。


学校に持って行ってしまうと B子にバレてしまうので 私は家で宿題をする時、それを使うことにしました。


宿題をしてる途中、文字を間違えたり計算を間違えたりする時は必ずその消しゴムを使いました。


確かに 消し心地はB子が言っていた通り最高でこれまで使っていたどの消しゴムよりもずっと使い勝手が良いものでした。


それに顔に近づけると、ほんのりとコーヒーや、チョコレートに似た良い香りが鼻をくすぐります。


どうやら、これも香り付きの物のようでした。


やっぱり手に入れてよかったと私が喜んでいた時でした。


スマホにB子からの着信がありました。


「もしもし?」

私はいつも通り電話に出ましたが、 内心は少しハラハラしていました。

もしかして 消しゴムを取ってしまったことがばれたのではないかと思ったのです。


B子は不安そうな声で私に言いました。


「右手に変なあざができた」と。


小さいのですが黒ずんでいて、ジンジンとすごく痛むそうです。

親が帰ってきたら2人で病院に行くという話でした。


(たかが、あざでしょ?大げさだな…)


と思いましたが私はお大事にと言って電話を切りました。


 その次の日 私の使っている消しゴムは少し白くなったように見えました。

(気のせいだよな…)

私はそう考え、その消しゴムを筆箱に入れていつも通り学校に登校しました。


よく晴れた気持ちいい天気の学校にB子は姿を現しませんでした。


原因不明の体調不良との話で結構な重症だと先生は言いました。


周りのクラスメイトはザワつき、私も少し心配になりました。


いつも通り学校を終え、B子もいないので今日も文具は見ずに家に帰ります。


家に帰ると、そこにはB子からの着信がありました。


かけ直すとB子のお母さんが出てきました。


B子が亡くなってしまったとの知らせでした。


原因は本当に不明ですが、痛いと言っていた右手のあざが全身に広がり、真っ黒になって死亡したとのことでした。


通話を終えて、ふと消しゴムを見ました。


消しゴムの半分が真っ白になっていました。


(もしかしてこの消しゴムを使ったせいで…?)


その時、ズキンッと鋭い痛みが右手に走りました。


ハッとして手元を見ると、黒く小さなあざが出来ていました。


それは、漢字の「呪」のようにも見えました。


私はもうすぐ死ぬでしょう。


日に日に消しゴムの白さが増しています。


だから、これを書いています。


誰もこの消しゴムに近寄らないように。


これは一つの消しゴムの話です。私と友人の黒い消しゴムの話です。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

何か学生ぽい物テーマの話が書きたくて、「学生…文房具…( ゜д゜)ハッ!消しゴム!」と、思いついた作品です。

他の作品も楽しんで読んでもらえると嬉しいです!




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― 新着の感想 ―
身近な文房具を題材にしたホラーなのに、不気味さと後味の悪さがしっかりあってとても面白かったです! 消しゴムの色が少しずつ変わっていく描写が特に印象的で、静かに迫ってくる恐怖がよく表れており短編ホラー…
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