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野球はスリーアウトから  いよかんシーズン  作者:


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6/7

遅刻の朝

携帯けいたい電話でんわとかが普及ふきゅうするまえはなしだよ。

 そのとしも、プロ野球やきゅうの「春季しゅんきキャンプ」がはじまった。


 数日すうじつだ。一人ひとり選手せんしゅがベッドのうえでぼんやりしている。


 ここは二人ふたり部屋べやだ。しかし、相方あいかた姿すがたがない。


 うっすらとだがおぼえている。相方あいかた何回なんかいも、こそうとしていたような・・・・・・。


 けれども、自分じぶんはこうかえした。


「あとふんだけ」


「あとふんだけ。つぎきるから」


「あとふんだけ。これが最後さいごだから」


「あとふんだけ。ファイナルシーズン・だい一章いっしょう


 それがかさなっていき・・・・・・。


 ようやくあたまが、いま状況じょうきょう理解りかいする。


寝坊ねぼうしたーっ!)


 あさから『ムンクのさけび』になる。


 時計とけいるのがこわい。


 が、ないわけにもいかない。


 かべのアナログ時計どけいに、おそるおそるをやる。


 えた時間じかんは、


午前ごぜんじゅうっ!)


 午後ごごじゅう時計とけいがたまたままった、というのはなさそうだ。まどからひかりが、きっぱりと否定ひていしている。


(ど、どうしよう。監督かんとくとコーチに無茶苦茶むちゃくちゃおこられる!)


 とにかく、いそいで野球場やきゅうじょうかないと。で、誠心せいしん誠意せいいあやまるのだ。


 とはいえ、まずはおなかに、なにれておいた方がいい。空腹くうふくのままだと、練習れんしゅう支障ししょうをきたす。


 遅刻ちこくしたうえに、へろへろと練習れんしゅうしていたら、


本気ほんきであるぞ、ぐんち)


 そこでづく。


 テーブルのうえに、菓子かしパンがいくつかいてあるのだ。


たすかった)


 相方あいかた感謝かんしゃしながら、パンをくちほうりこむ。


 そのあと、自分じぶんしん記録きろくのスピードで、用意よういませた。


 部屋へやす。廊下ろうかをダッシュした。


 このホテルは球団きゅうだんりになっている。ホテルないほかのおきゃくさんはいないので、そのにする必要ひつようはない。


 すぐにエレベーターがえてくる。


(おっ!)


 幸運ラッキーなことに、そのひとつがちょうど、このかい待機たいきちゅうだ。


(これはついている♪)


 なかわるいことばかりでもないようだ。エレベーターがるのをたなくていい。


 ダッシュしてきたいきおいそのままに、エレベーターの「したボタン」をす。


 で、ドアがひらいたとおもったら、


「うぎゃああああああああああああああ!」


 惨事サプライズっていた。






 そのころ野球場やきゅうじょうのグラウンドでは、


「あいつ、そろそろきたかな」


 監督かんとくとコーチがにこやかに会話かいわしていた。


「うまくいくといいですね」


 ホテルのエレベーター、そのひとつに仕掛しかけがしてある。


 ドアがひらくと、なかにある野球やきゅうのボールが、そとかって雪崩なだれこすのだ。ボールのかずは二〇〇


「あの仕掛しかけ、結構けっこう大変たいへんだったんですよ」


 そうってわらうコーチは、じゅっぷんまえ野球場やきゅうじょういたばかり。エレベーターのなかにボールをセットするのに、時間じかんがかかったのだ。


 この三〇ぷん寝坊ねぼうした選手せんしゅあおざめたかおで、野球場やきゅうじょうにやってた。


明日あしたからは絶対ぜったい遅刻ちこくするなよ」


 監督かんとくとコーチはにやにやしながら、かるいお説教せっきょうませる。この選手せんしゅぐんにはとさない。これほどショックをけているなら、このキャンプちゅうはもう遅刻ちこくをしないだろう。


「そうそう、あのエレベーターのことは、ほか選手せんしゅたちにうなよ」


 監督かんとくくちめした。


 そのため、ほか選手せんしゅたちには、「この選手せんしゅなにがあったのか」はわからない。


 それでうわさう。


 ――寝坊ねぼうしたら、おそろしい「ドッキリ」がっていたらしいぞ。


 で、このうわさにどんどん、「ひれ」がついていく。


 ――エレベーターにったら、ゆか一部いちぶけたらしいぞ。


 ――階段かいだんおどが、「天井てんじょう」になっていたらしいぞ。


 ――タクシーにったら、がけからうみにダイブしたらしいぞ。


 選手せんしゅたちは戦慄せんりつした。


(これは絶対ぜったい寝坊ねぼうできない!)


 その一方いっぽうで、こんなイタズラが流行りゅうこうする。


 同室どうしつ選手せんしゅ使つかっている目覚めざまし時計どけいから、よるあいだにこっそり電池でんちいておくのだ。


 これがプロの世界せかいである。


次回は『大学野球を見に行こう』というお話です。

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