収容人員
仲のいい四人組のバンドがいた。
まずは『路上ライブ』からスタートする。
しばらく『路上ライブ』を続けたあとで、『公民館の一室』、『ライブハウス』、『小さなホール』と、順調にステップアップしていく。
その頃、音楽事務所と契約した。
それ以降も、ファンの数は増えていく。『小さなホール』では、もはや席が足りない。
なので、大きな会場を手配する。先日のライブは、収容人員二千人の『市民ホール』だった。
もしも、このままファンの数が増えていくなら、もっと大きな会場が必要になる。
これから先、どんどんステップアップしていけば、いずれは「あの会場」にたどり着くだろう。
「目指せ、『野球場』!」
「『ドームツアー』とかいいなぁ」
そんな夢を四人で語り合う。野球場だと収容人員は数万人だ。
で、四人が新曲の練習をしていると、
「次の会場が決まりました!」
音楽事務所のマネージャーが、スタジオに駆け込んでくる。
かなり興奮していて、
「次は『野球場』です! プロ野球の球場ですよ!」
その言葉に、四人は驚いた。
「それはまだ早いんじゃ」
自分たちの実力に見合わない会場にすると、空席ばかりで赤字になるんじゃ・・・・・・。
「たぶん大丈夫!」
マネージャーは胸を張ると、
「二軍の『野球場』だから!」
収容人員は三千人だという。
「まあ、それなら」
二千人の会場でもすぐに完売していたし、そこから千人増えてもたぶん大丈夫。
で、結論から言うと、『二軍球場』でのライブは大成功だった。
さらに、収穫がもう一つ。
二軍の若手選手たちの練習風景を、四人はライブの前に見た。同世代の選手たちががんばっている姿に、四人は刺激を受ける。
音楽と野球という違いはあるけれど、自分たちも二軍の選手たちも「目標」は同じだ。
「次は一軍の『野球場』で!」
球場いっぱいのお客さんたちに、自分たちのパフォーマンスを見て欲しい。
次回は「お嬢さま」のお話です。




