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わたし、魔法を知ってるの!だけど…ナイショにしてね

田上詠は、ごく普通の魔法使いである。

毎日魔力を練って、毎日誰にも気づかれないよう魔法を放つ、齢24の魔法使いである。


今日も今日とて、異世界転生もの映画を見て魔法がとんでもない扱いを受けていることに憤慨したあと、行きつけのコンビニでベースメイクコンパクトとネイルポリッシュを買って家路についていた―――のだが。



キイィイ!!キ――――イイイイイイイ!!!


ドガ――――――――――――ん!!


ぐわしゃぁああ!!


ぶちゅ。




真っ白な空間。

田上詠の魂と…、女神が対面している。


「田上詠さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます」

「はあ」


「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」


────────

田上詠(24)

レベル38


称号:転生者


保有スキル:わたし、魔法を知ってるの!だけど…ナイショにしてね


HP:3

MP:459

────────




「というわけで、いきなり草原に放り出すの?これって私仕様?こんな扱いしちゃダメでしょ…」


べよん、べよん。


水色の、ぶよぶよした丸い塊が…魔法使いの前に現れた!


「スライムかあ…」


うろたえない、魔法使い。


「保有スキル…《わたし、魔法を知ってるの!だけど…ナイショにしてね》って…なんで文章??私の知らない何かがこのスキル名に隠されている…?」


スライムは落ち着き払っている魔法使いを見て、なんかいつもと違うと思っている!!


「うーん、ここなら思いっきり魔法使ってもいいかも?日本だとショボいのしか使えなかったんだよね、よーし、せっかくの機会だから知ってるの全部使ってみよ! フルエクスプロージョン!ダストブラスト!ダイタクルウェイブ!」


ちゅどーん!

どかーん!

ばっちゃーん!!


スライムは自分を目の前にして空中にド派手な魔法をぶっ放す魔法使いを見て激怒した!

なんやわれコッチスルーして環境破壊とはええ度胸しとるやんけ!


スライムは腕組みして何やらブツブツ言っている魔法使いを丸のみした。

胃袋の中がしばしビチビチと動いていて不快だったが、それもやがて収まったという。



「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」


魔法使いは時間を巻き戻されて、コンビニの入り口前に立っていた。

コンビニの入り口で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが…、それに気づく様子はない。


一般人はコンビニでベースメイクコンパクトとネイルポリッシュを買って家路についた。


家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。


「巻き戻すか…?いや、コイツは救ったらだめなやつだ、まぁ…ご愁傷さま」


魔法使いは、ごく普通の一般人を続けながら気の向いた時に人助けをして悦に入っていましたが、ある時一人のイケメンに恋をして禁断魔法を使ったことで神の怒りを買い、星の上の魔力を全て押し付けられた結果人類と同じ次元に居られなくなり、誰からも認識されない場所で自分の生み出した泥人形に囲まれながら、7279歳になった今でもその世界を去れずにいるそうです。




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