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再現度ヤバっ!

佐藤ゆめは、ごく普通のコスプレイヤーである。


毎日メイクを研究し、毎日衣装&小道具の購入代金のリボ払いがキツイと嘆く、齢28のコスプレイヤーである。


今日も今日とて、テーマパークのコスプレイベントに参加し239枚の写真を撮って大満足したあと、行きつけのコンビニでクレンジングシートとコエンザイム910入りの乳液を買って家路についていた―――のだが。



キギュィイ!!キ――――イイイイイイイ!!!


ドガ――――――――――――ん!!


ぐわしゃぁああ!!


ぶちゅ。




真っ白な空間。

佐藤ゆめの魂と…、女神が対面している。


「佐藤ゆめさん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます」

「はあ」


「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください」


────────

佐藤ゆめ(28)

レベル24


称号:転生者


保有スキル:再現度ヤバっ!


HP:63

MP:3

────────




「というわけで、いきなり草原?!ちょ…なんか国際展示場思い出すんですけど!!」


べよん、べよん。


水色の、ぶよぶよした丸い塊が…コスプレイヤーの前に現れた!


「スライムじゃん!やっば!武器も何もないし…魔法とか使えんのかな?」


うろたえる、コスプレイヤー。


「そだっ!!保有スキルあるじゃんね?!《再現度ヤバッ!?》ナニコレ、何がどう…あ、もしかしてコス??」


うばほん!


コスプレイヤーは、とある異世界のちょ~有名な魔王様の出で立ちに変化した!!

水色のオーダーメイドウィッグに空色カラコン、もさもさした首周りの衣装に愛犬のぬいぐるみマスコット、にぶく光る妖刀…バッチリ再現されているぞ!!


スライムは憧れの小説の主人公そのものが目の前に現れたので…ガチ緊張している!!

尊みがすごくてスゴイー!


「うわ!!すごっ!!ナニこの再現度…マジパない!!写真、写真撮りたい!誰か、撮影班!」


うばほん!!


写真撮影許可の腕章をつけたカメラマン(ただしモンスター)が、わんさか現れたぞ!!


こっち視線下さーい!

ありがとーございまーす!

切っ先下さーい!

しゃがみポーズいいですか?

あ、これ差し入れです!

このスライムのぬいぐるみ抱っこしてくださいー!

キス顔欲しいっすー!

邪魔だよ、撮ったら譲れ!!

おい、こっちも待ってんだよ!!

あ、次こっちお願いします…。

並んでるんだから!!

こっちが先に手上げたの!!

許可証ない奴はどけよ!!


ムム、むギュウううううう!!!


カメラを持っていないスライムは、マナーの悪い一部のカメコに押しやられてしまい…神コスを見ることができない!!


イライラしたスライムは、邪魔者をまる飲みしはじめた。

つぎからつぎへと捕食するうちに、なんだか食べる事の方に意識が集中してしまい、食欲が暴走した。

気が付いたら草原にはスライムのぬいぐるみしか残っていなくて、スライムは愕然とした。


その後、草原にふにゅふにゅのぬいぐるみを頭にのせて移動するスライムがいると噂になった模様。




「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」


コスプレイヤーは時間を巻き戻されて、コンビニの入り口に立っていた。

コンビニの入り口のところで立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが…、それに気づく様子はない。


コスプレイヤーはコンビニでクレンジングシートとコエンザイム910入りの乳液を買って家路についた。


家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。


「ヤダ、もうちょっと早く通りかかってたら特注のグラデーションウイッグの受け取り時間に間に合わなくなってたかも!」


コスプレイヤーは、オタク仲間と家庭を持ち愛娘達にコスプレ衣装を手作りしてはイベントで披露し悦に入っていましたが、中学生になったあたりでもうやらないと宣言されてしまい、今後は地味な格好で同人誌を買いに行かないといけないんだなと落ち込んだものの、大学生になっていた長男がTSコスに目覚め共に美を追求するようになり元気を取り戻し、幅広い年齢層と性別を気にしない衣装作りにせいを出し続け、徹夜でオーダーメイド品を仕上げていたある日いきなり倒れ、そのまま天に召されたそうです。


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