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最強の駆除剤

五百旗頭翔太は、ごく普通の害虫駆除師である。


毎日ペラペラの防護服に身を包み、毎日ほうきとちりとりで虫の死骸を片付ける、齢31の害虫駆除師である。


今日も今日とて、ゴキブリがすごいという依頼を受けたのにネズミだらけで辟易したあと、行きつけのコンビニで6Pチーズとレモン汁を買って家路についていた―――のだが。



キキキキキ!!ギュキ――――イイイイイイイ!!!


ドガ――――――――――――ん!!


ぐわしゃぁああ!!


ぶちゅ。




真っ白な空間。

五百旗頭翔太の魂と…、女神が対面している。


「五百旗頭翔太さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます」

「はあ」


「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください」


────────

五百旗頭翔太(31)

レベル20


称号:転生者


保有スキル:最強の駆除剤


HP:18

MP:19

────────




「というわけで、いきなり草原に放り出すのは…ひどい…」


べよん、べよん。


水色の、ぶよぶよした丸い塊が…害虫駆除師の前に現れた!


「スライム?!武器も何もない…、駆除すべきなのか…?」


ややうろたえる、害虫駆除師。


「…そうだ、保有スキルを使うのが、たぶん…《最強の駆除剤?》」


うばほん!


たっぷり薬剤が充填された噴霧器が出てきた!

害虫駆除師の身体に…普段使っているような不織布のツナギではない最高級防護スーツが装備されたぞ!!


「おお、なんか宇宙服みたいだ…いくらするんだろ、これ。…まあいいや、とりあえず駆除しよう」


害虫駆除師は最強の駆除剤を噴霧した!


じゅん、じゅわー!!


勢いよくスライムの身体が溶けていく!!

何この効き目、超すごい!!


テレレテッテテーン!!


スライムを倒した!


害虫駆除師はレベル25になった!

ネコイラズ作製スキルレベル2を得た!

毒生成スキルレベル2を得た!


「…よし、あらかた融解したな」


一仕事終えた害虫駆除師は、ひと息つく事にした。


最高級防護服はかなり分厚い。

さんさんと降り注ぐ太陽の光を受けて、体感温度が急激に上昇している!

体温を下げたい害虫駆除師は、頭のところにあるファスナーを下ろした。

涼しい風が害虫駆除師の頬を撫でる。


「…フー、暑い、あつ…ヴッ…うぇブゲキュッ?!」


突如、害虫駆除師が苦しみだした!


なんと、最強の駆除剤は…辺り一面に毒ガスを発生させていた模様!


無色透明の有毒ガスを吸い込んだ害虫駆除師は、絶命した。




「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」


害虫駆除師は時間を巻き戻されて、コンビニの入り口に立っていた。

コンビニの入り口のところで立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが…、それに気づく様子はない。


害虫駆除師はコンビニで6Pチーズとレモン汁を買って家路についた。


家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。


「…もうちょっと早く通りかかってたら、明日の山小屋の仕事行かずに済んだかも…なんてね」


害虫駆除師は、山で仕事をした際にマダニに噛まれ、高熱にうなされて意識を失い病院に緊急搬送されましたが、回復することなくこの世を去ったとのことです。

風邪を引いたと勘違いさえしなければと、嫁は107歳になっても悔やんでいたそうです。

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