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あいたたた…

今枝亞希は、ごく普通の自分の事を名前で呼ぶ女子である。


毎日バイト先で自分の事をアキと言い、毎日お局さんから職場は学校じゃないんだからきちんとしなさいと怒られる、齢19の自分の事を名前で呼ぶ女子である。


今日も今日とて、「これアキの一番のおすすめなんですけど~」と気さくに言ってしまってお客さんにドン引かれた事に微塵も気づかず退勤したあと、行きつけのコンビニでお気に入りアイドルのコンサートの予約をし家路についていた―――のだが。



キイ!!キイイイイイイイ――――!!!


ドガ――――――――――――ん!!


ぐわしゃぁああ!!


ぶちゅ。




真っ白な空間。

今枝亞希の魂と…、女神が対面している。


「今枝亞希さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます」

「はあ?!」


「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください」


────────

今枝亞希(19)

レベル1


称号:転生者


保有スキル:あいたたた…


HP:25

MP:0

────────




「ばっかじゃないの?!いきなり草原?!バーカ、バーカ!!」


べよん、べよん。


水色の、ぶよぶよした丸い塊が…自分の事を名前で呼ぶ女子の前に現れた!


「ウケるwwwスライムじゃん!」


ウケる、自分の事を名前で呼ぶ女子。


「つかさあ、保有スキル《あいたたた…》ってナニ?ハラでもいてーのかよってwww」


スライムは目の前でウケている自分の事を名前で呼ぶ女子を見て、何となくやな予感がした。


「ねーねー、アキさあ、いきなしこんなとこに連れて来られてえ!!ちょー困ってんの、なんとかしてくんない?」


びっちゃ、びっちゃ!!


自分の事を名前で呼ぶ女子は、スライムの頭部を叩いて笑っている!!

なんと、傍若無人すぎる自分の事を名前で呼ぶ女子には、スライムの猛毒がきかない模様!!


「うわー、めっちゃねばついててキモっwwwでもさあ、コーユーの今ASMR?で人気なんでしょ?めっちゃ儲かってるよね?なんかいいもんおごれよ~!!異世界名物食いて〜!アキ、アイスがいい!ね〜早くして!」


ぷっす!ぷっす!

自分の事を名前で呼ぶ女子のデコネイルがスライムの体表にプスプス突き刺さっている!


地味に痛い!

スライムは逃げ出


「ちょ!アキのこと置いてく気?!こんなか弱い女子が一人で生きていけるわけ無いじゃん!責任感なさすぎ!マジムカつく!だいたいさあ、アキがちょ~気ぃ使ってんのになんなん?!」


つかさあ、なんでコイツこんなに上から目線…?

気ぃ使っとんのは…こっちじゃ!


スライムはぎゃあすかわめいている自分の事を名前で呼ぶ女子を一口で捕食した。




「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」


自分の事を名前で呼ぶ女子は時間を巻き戻されて、コンビニの入り口に立っていた。


コンビニの入り口のところで立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが…、それに気づく様子はない。


自分の事を名前で呼ぶ女子はコンビニでお気に入りアイドルのコンサートの予約をし、家路についた。


家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。


「キモっ、もうちょっと早く通りかかってたらニュウ君にウィンクもらえなくなってた可能性!」


自分の事を名前で呼ぶ女子は、結婚しても二児の母になってもシングルマザーになっても再婚しても五児の母になっても孫が生まれても曾孫が生まれることがわかっても自分の事は名前で呼び続け、79歳でこの世を去った際にはみんなにアキちゃんバイバイと言われて送り出されたとのことです。

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