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ピー(自主規制)

井関倫彦は、ごく普通の絶倫である。


毎日己を高め、毎日気のすむまで欲を発散する、齢33の絶倫である。


今日も今日とて、最近知り合った寂しい女子を天国に誘ったあと、行きつけのコンビニでペラペラのトランクスと派手な色の靴下を買って家路についていた―――のだが。



キキキイィイ!!キ―――!!!


ドガ――――――――――――ん!!


ぐわしゃぁああ!!


ぶちゅ。




真っ白な空間。

井関倫彦の魂と…、女神が対面している。


「井関倫彦さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます」

「は?」


「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください」


────────

井関倫彦(33)

レベル29


称号:転生者


保有スキル:ピー(自主規制)


HP:1022

MP:12

────────




「というわけで、いきなり草原に放り出された俺っ!!なんちゅーか、うん、まるでこう…、いやあ、素っ裸になりたくなるね!!!」


べよん、べよん。


水色の、ぶよぶよした丸い塊が…衣服を脱ぎ始めた絶倫の前に現れた!


「スライムだ!!武器も何もない丸腰の俺を…襲うというのか?!そのヌルつく身体で!!!ド天然のローション…グフフ!!!」


うろたえながらも滾る、絶倫。


「おお…、そう言えば保有スキルがあったんだった!《ピー(自主規制)?》誰もいないしどこにも配慮しなければいけないような存在はないというのに、なぜ規制しなければいけない?!そんなもの…くそくらえだ!!!」


スライムはなんだかとっても目が離せなくなった!!


変な音出てるけど、どうなるの??

なになに、この人今からなんか面白い事する??


「この世界は自由だ!!なぜならば常識という他人を意識した謎の気遣いシステムが存在していない!!誰もいないこの世界で、俺は己の欲を発散することを決めた!!ゥっヒョォオオおお!!!青空の真下で素っ裸で《ピー(自主規制)!!》でもって《ピー(自主規制)》さらに《ピー(自主規制)!》出てこい理想の《ピー(自主規制)!!!》ギャハハ…これぞ理想の《ピー(自主規制)》つぎ来い次々ぃイイイイイ!!!」


欲深い人間のおぞましい願望が…雲一つない燦燦と太陽の光が降り注ぐ爽やかな風の吹き抜ける草原のど真ん中で大暴走している!!!


なんか一人で盛り上がってて…、つまんない…。

あんなべちょべちょしたの…、食べたくない…。


興味と食欲が失せたスライムは、そっとその場を離れた。


翌日別の転生者を追ってきたスライムが同じ場所を訪れると、脱ぎ散らかされた衣服がそのまま放置されているのを目にした。


誰かが連れ去った…?

スライムの疑問に答えるものはいなかったという。




「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」


絶倫は時間を巻き戻されて、コンビニの入り口に立っていた。

コンビニの入り口のところで立ち止まった時に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが…、それに気づく様子はない。


絶倫はコンビニでペラペラのトランクスと派手な色の靴下を買って家路についた。


家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。


「ちょぉ…、もうちょっと早く通りかかってたら予定狂いまくりになってた可能性!!」


絶倫は、有り余る体力をあらゆる場所で発散させ大満足の日々を送っていたのですが、執着女子の陰湿な戦いが勃発した際に知略女子による緻密な計画に巻き込まれて身動きが取れなくなるというアクシデントに見舞われたりしつつも、常に自分の欲を最優先するという姿勢を貫き通し巷にあふれる嫌悪の目をものともせずストレスのない暮らしを続け、他人の過ちが許せない正す事だけに命をかけているめんどくさい人物に襲撃されて意気消沈したあと、失ってしまった気力を取り戻すことなくぼんやりした時間を過ごすようになり、71歳でひっそりこの世を去ったとのことです。

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― 新着の感想 ―
このスキルはすごいですね(笑。 でももともと絶倫さんだから……いえ。なんでもございません。
ちょっwww 絶倫さん、どーやって現世に帰還したんでつか?wwwwww
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