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席について下さい!

加藤秀は、ごく普通の学級委員長である。


毎日さり気なくクラスメイトに気を配り、毎日宿題をやったあと明日の用意をする、齢10の学級委員長である。


今日も今日とて、自分の消しゴムの匂いが一番いいニオイだと言って譲らないクラスメイト同士の諍いを宥めたあと下校し、通学路の途中にあるコンビニ横で爆盛フェアが始まったというのぼりを目にしてお母さんに教えてあげなきゃと思いながら家路についていた―――のだが。



キイィイ!!キイ――――イイイイイ!!!


ドガ――――――――――――ん!!


ぐわしゃぁああ!!


ぶちゅ。




真っ白な空間。

加藤秀の魂と…、女神が対面している。


「加藤秀さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます」

「はい…」


「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください」


────────

加藤秀(10)

レベル3


称号:転生者


保有スキル:席について下さい!


HP:3

MP:8

────────




「というわけで、いきなり草原に放り出されてる、どうしよう…今年こそやりたかった自由研究あったのに!」


べよん、べよん。


水色の、ぶよぶよした丸い塊が…学級委員長の前に現れた!


「スライムだ!武器も何もないけど、どうしよ!仲間になってくれる?いや、でも!」


うろたえる、学級委員長。


「あっ、保有スキル!これを試せばいいよね?!《席について下さい!》」


うばほん!


5年す組の教室が現れた!

スライムは大人しく自分の席についた!


「では、今から学級会議をはじめます!なにか議題にしたいことがある人は手を上げて下さい!」


誰も手を上げない!


「じゃあ、今日はみんなでケイドロをして遊びましょう!」


学級委員長はクラスメイトと一緒に草原に向かった!


「ぐっとパであわせ!…じゃあグーの人が刑事、パーの人はどろぼうね。刑事はどろぼうを捕まえるんだよ。捕まえたらろうやに入れること!捕まったどろぼうは仲間にタッチしてもらえたら復活できるよ!タッチは手だけ、他の部分を触ったらアウトで!」


クラスメイトたちはルールを守って仲良く遊び始めた!


いち早く捕まってしまったスライムは、手を伸ばしてタッチを待っている!

刑事の学級委員長は、タッチさせてなるものかと両手を広げてガードしている!


くっ!!

守りに隙がなくてどろぼうは手が出せない!


牢屋からでられなくてつまんない…。

苛立ったスライムは背後から学級委員長を一口で捕食し、仲間にタッチしてもらった。


ろうやから出たスライムはクラスメイトから嫌われてしまい、誰も追わないというのに一人さびしく草原を逃げ回り続けているという。




「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」


学級委員長は時間を巻き戻されて、コンビニ横ののぼりの前に立っていた。

コンビニののぼりの所で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが…、それに気づく様子はない。


学級委員長はコンビニの爆盛フェアが始まったというのぼりを目にして、お母さんに教えてあげなきゃと思いながら家路についた。


家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。


「えっ…こんなところで事故?お母さんに教えておかなきゃ、もうちょっと早く通りかかってたら…こわっ!」


学級委員長は、真面目な性格と思いやりにあふれた言動で人気を集めていましたが、やや成長が遅く身長が伸び悩んだこともあってか高校でお子様いじりをされるようになり、陰キャに路線変更しそうになったもののたった一人の幼馴染がずっと横にいてくれたおかげで自分を見失わず、遅れてきた成長期で一気に40センチも身長が伸びてウルトラモテ期に突入しても一途に一人の女性を愛し続け、プラチナ婚式を迎えた次の週に穏やかにこの世を去ったという事です。





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