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他人の事なんか知らね!

新美礼二は、ごく普通の人でなしである。


毎日気が済むまで他人を罵倒し、毎日家族に怒鳴り散らす、齢29の人でなしである。


今日も今日とて、公民館の軒下にツバメの巣があるのを発見し足元に転がっている石を投げつけ破壊したあと、行きつけのコンビニで便所紙と安い日本酒を買って家路についていた―――のだが。



キキキイィ!!キ――――イイイイイイイ!!!


ドガ――――――――――――ん!!


ぐわしゃぁああ!!


ぶちゅ。




真っ白な空間。

新美礼二の魂と…、女神が対面している。


「新美礼二さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます」

「はあ」


「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください」


────────

新美礼二(29)

レベル2


称号:転生者


保有スキル:他人の事なんか知らね!


HP:6

MP:19

────────




「というわけで、いきなり草原に放り出しやがるとか…ぶっ殺すぞ!!」


べよん、べよん。


水色の、ぶよぶよした丸い塊が…人でなしの前に現れた!


「スライム?!武器も何もないのにふざけんなよ?!勝てなかったらどう責任取るんだよ!!」


うろたえる、人でなし。


「クッソ!!死んでたまっかよ、保有スキルが使えなかったらぶち殺すぞ?!《他人の事なんか知らね!》はあ?!他人なんざどこにもいねえじゃねえかよ!!」


スライムは今にも襲いかかろうとしている!!


「クッソ!!誰か…身代りになるやつ出て来い!!」


うばほん!


さえないおっさんが出てきた!

いきなりの状況に驚いているおっさんは、あっと言う間にスライムに捕食された!

スライムはじっくりモッタリおっさんを消化している!


「よし…満腹になるまで食わせて逃げ出そう!スライムのエサになるやつ、もっと出て来い!!」


うばほん!


シミだらけのおばさん、神経質そうな学生、汚い作業着の爺さんが出てきた!

腹が減っているスライムはばっくばっくと捕食していく!

どうやら切りの良いところまでモグモグしたあと人でなしを喰らおうと考えている模様!


「なんちゅー底なし胃袋だ!!もっとエサ、出てきやがれ!!」


うばほん!


ピチピチのキラキラした女子高生が出てきた!

女子校生は目の前で繰り広げられている捕食劇を目の当たりにして怯えている!

雑魚キャラを消化し終えたスライムが、女子高生に襲いかかる!!

叫び声をあげしゃがみ込む女子校生!!

イチゴ模様のパンツが丸見えだ!!


「クッソ!!」


人でなしは女子校生の前に飛び出した!


スライムは人でなしを一口で捕食した。

腹がいっぱいになったスライムは草原をあとにした。


女子高生はいつの間にかいなくなっていた。

召喚した人でなしが消化されてしまったので元の世界に戻されたらしいが、真相は不明だ。




「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」


人でなしは時間を巻き戻されて、コンビニの入り口に立っていた。

コンビニの入り口のところで立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが…、それに気づく様子はない。


人でなしはコンビニで便所紙と安い日本酒を買って家路についた。


家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。


「すげえ!!生脳みそ初めて見たwww写真とってSNSにあげとこwww」


人でなしは、いついかなる時も一般常識を二の次にして自分のルールを貫き通し、あらゆるところで悪意をバラまきながらマイペースに暮らしていましたが、ある時心底嫌っていた身近な人物に似ていると揶揄されて感情が爆発し、無抵抗な人をコテンパンにしてしまった結果長く捕縛生活を送る事になり、ようやくシャバに戻った頃には身も心も衰えて攻撃力が皆無になり、最後はネズミにあちこちをかじられゴキブリやアリに集られた状態でこの世を去っていたのを発見されたそうです。

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