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14 世界は狭いね

 



 鳳凰学園に転入する前日、ファーロウから一つの注意を私は受けた。


 私の実家から鳳凰学園は遠いので入学する前日は一般のホテルに泊まって明日に備え、入学に親の同伴などないのだから当然一人でホテルに泊まっている。


 家からでればファーロウは人間の姿をとりホテルにも堂々と入れる、学校関係者と家族以外にファーロウが共に暮らしているなんてばれなければいいのだ。


 新幹線に揺られ、明日とうとう鳳凰学園にいくかと、荷物を床に置いてホテルの窓から学園のある方向を覗いていた楓の後姿からファーロウが突然声をかけられた。


 「楓さんにお知らせしたい話があります、少しでもいやな予感がする…なんて感じたらその直感は高い確率で当たりますので心に留めておいてください」


 とのことだ、当然頭には?マークが浮かぶ。


 「なんで?」


 私がもっともな質問を言うと。


 「…性転換した事で取得した能力といいましょうか…」


 少しいいにくそうにファーロウが伝えてくる。


 「男性になった楓さんに備わった特別な能力だといっていいでしょう、ただ直感が特化されただけで予知能力などが身につく訳ではありません。他の人より勘が優れていると認識してください」


 そのときは特別興味もなく、勘がよくなったといわれても実際の生活には特に影響はでないし勘が優れているとか劣っているとか、さして得もないように思えた。


 いや使いようにはギャンブルとか危険を察知できるなど使い道はあるのだけど、そんな職業(?)に就職する気はない。


 くじ引きの確率が上がるかな?程度にしかこの時には認識していなかった。


 「直感が優れているだけで後は以前と変わりません、ただ少しご自分の勘に素直に従ってもらえれば嬉しいです」


 しかし突然、勘が何だとか言われても…知ってても知らなくてもあんまり大差ないんじゃないのか?


 なんて思っていた自分に喝を入れたい。すごく重要でした自分の強化された勘とやらは。


 だって


 ちょっと


 嫌な予感 


 していたんですから。

 



 さーて…回想はコレぐらいにして現在の状況と対処を考えないと。


 ただ今、ごっつう腰を抱かれて男の膝の上に乗せられています。


 決して趣味ではないぞ、私が凪史に言われた場所。食堂で「――……楓。13日の放課後、第6校舎66資料室へきて」と律儀にその場所に向かっていた。その途中にいきなり声をかけられて拉致られました。


 生徒会長に。 


 「ちょっといいか?お前って転入生の新井 楓だよな?」


 と突然、このモンスターに声を掛けられたので振り返り。


 「ええ、そうです。ところでどちら様でしょうか?」


 なんてとっっっても丁寧に返事をしたのですよ?なのにこの有様。


 それから「可愛い」の単語を連発したと思ったらいきなりモンスターの肩に抱きかかえられ。


 「もういい加減にしてください!苦しいです!!」 


 生徒会室に連れて行かれてこのざま。


 私の腰に絡まる腕を外そうとすると、益々力を込められて抱きしめられる。


 「うひゃ~可愛い❤」


 嫌がるそぶりをすると余計に喜ばせてしまう。


 今後の選択しとして。 


 殴って逃亡→報復やペナルティがかかる。


 黙って耐える→私の胃が多大な被害をこうむる。


 助けを呼ぶ→声はとどかない。


 四面楚歌ってこういうの?


 「こいつ俺の飼っていた猫にそっくり!」


 死ねこのボンボン。


 相手が生徒会長様ではなかったら即行動に移しているものを、ヒバリの忠告で以前『親衛隊』なるものの存在からこの人種とトラブルを起こしたくない。


 生徒会室には楓を昔飼っていたとやらの猫を連想させて大喜びの生徒会長と呪い殺さんばかりの楓のほか、副会長が会長の奇行と楓を眺めていた。


 生徒会メンバーはヒバリの言うとおり親衛隊が騒ぐというほどのいい男ばかりだった。


 生徒会長は黒髪の背の高い男は雰囲気として、黒豹を人間にしたかのような風貌。人懐っこそうな顔をして何かを隠すようにも率直に楓は捕らえた。


 副会長はお約束の眼鏡にきりっとした補佐タイプ、お前は何処の恋愛ゲーム(ガール向け)じゃと、そのような知的な風貌。


 それはいいとして私はどうしたものかと、すこし休憩。抜け出せぬ。


 「おい、もう終わりか?」


 黙れ小僧!


 興味津々の顔で私を覗くな。


 はああああっと長いため息をついていると生徒会室の扉がバンッと勢いよく開く。


 「やっぱり居た!クソ直樹なおき、楓を返せ!!」


 扉の向こうに居たのは凪史だった。今は私の救世主に見える。


 「よー凪史、元気だなお兄ちゃん嬉しいぞ」


 「早く放せ、ぼくは楓に用があるんだ」


 ふーん、この2人親しいな。お兄ちゃんとか言っているし。


 「知り合い?」


 屈辱的だけど興味がわいたから私は拘束されつつ凪史に聞くと返答は副会長から返ってきた。


 「従兄弟の関係だこの男(直樹)とオチビ(凪史)はな」


 うーん期待を裏切らない知的ボイス。


 「イエス、俺は甲本こうもと 直樹なおきこの学園に光臨する生徒会長さまだ。んでこっちは志水しみず りょうよろしくしなくてもいいぞ」


 何となくこの2人に血のつながりが見えてきた。強引なところが似ている。

今回は短めですご免なさい。速く次をあげたいです。

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