42-1.会談(1)
使節として魔族の拠点へ迎い入れられたファムファテルたちはマリアへの面談を申し入れた。
面談は魔族側からも代表者が同席することで承認され、ファムファテルたちは通された部屋でしばらく待機することになった。
「まずは姫さまの真意を確認することですかね」
ユウキはファムファテルにそう問いを向けた。マリアが魔族にさらわれたという報告は虚偽であったのは確認しているが、その真意までは汲み取れていない。それを聞いたうえで、マリアの身柄の取り扱いについて魔族の代表者と交渉する必要がある。
「そうじゃな。マリアの考えはおおよその見当はつくが、ちゃんと話はしておかねばならん」
ファムファテルはマリアの人となりをよく知っている。マリアが魔族の拠点へ行くことで生じる政治的役割を果たそうとしていることは理解していた。だが、その思惑が魔族側と共有されていないと意味がない。
ファムファテルは、マリアとの話を魔族側の代表者に聞かせることで意思の共有を図ろうと考えていた。
ファムファテルたちがしまらく待っていると、魔族側の代表者がマリアを連れて入室してきた。
細長いテーブルを挟んで、片側にファムファテルとユウキとセッカが座りファムファテルの背後にサイファーが立って控える、もう片側にマリアをヒコ、マリアを連れ去った魔族の男と長老のような見た目の年老いた魔族が座った。
「まずは自己紹介から始めようか。わしはファムファテル、見た目は幼いが転生を繰り返し長い時間を生きながらえておる。魔法の力に精通し、事実上こちらの世界を統べる者じゃ。両脇のものはおぬしらとは別の世界からの客人である」
「ユウキです」
「セッカです」
ユウキが小さく手を挙げて名乗るとセッカがそれに続いた。
「うしろの者はエルフをいう亜人種の者で、おぬしら魔族がこの地に入る以前にこの森に住んでおった」
「サイファーだ。俺たち亜人種も、別の世界からの移住してきた歴史がある」
「この世界は別の世界からの受け入れに寛容なんだな」
マリアの隣に座っているヒコが口を開いた。
「マリアや、隣の若者を紹介してくれるかの?」
「そうですね。彼の名はヒコ。平たく言っちゃえば、彼がいわゆる魔王さまなの」
「!」
「!?」
ユウキとセッカは驚いた表情を見せたが、ファムファテルは余裕の表情を崩さなかった。
「マリア、その言い方はやめてって言ったでしょ」
「その方が伝わりやすいと思って」
マリアが苦笑いを見せながらヒコをなだめる。
「まあ、そういうことだ。でも僕は見た通り魔族じゃなく普通の人間だ。だからか、連中から魔王とは認められず元の世界から逃げ出す羽目になった。先の戦いで守ってくれたことには感謝している」
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