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41-2.使節隊



「あの侍女はどうして嘘をついたんだろうな」

 サイファーがそう言ったのは、ファムファテルたちが不凍の森の手前に着陸して徒歩で目的地に向かっている途中でのことだった。侍女とはサリーの事である。

 サリーは、マリアと銀髪の魔族の男が話し合っている場に同席していた。

「まあ、その後の行動がそれを現しておるな。一刻も早く救出すべきと主張しておったろ?」

「それはつまり?」

「マリアは侍女(サリー)の反対を押し切って魔族の男に同行したということじゃ。その行動が示す意味をよくよく理解していたからこそ、と言えるがの」

 サリーは、マリアの身柄が人質として扱われかねないことを危惧した。


「さて、このあたりじゃな」

 一行が不凍の森に入って2時間ほど進んだところでファムファテルはそう言うと、自身の魔法の杖を掲げて口パクで呪文を唱える。

 すると地面に降り積もった木の葉が舞い上がり、封印によって隠されていた結界の姿があらわになる。

「懐かしいな、この感じ」

 サイファーが結界を見上げてそう言った。

「あの頃より複雑な結界にはしてあるがの」

 ファムファテルは、かつてこの地にあった、サイファーたち亜人種の里に外部からの侵入を阻む結界を施していたが、亜人種たちがこの地を放棄した後、魔族の将が力づくで結界を破壊していた。

 のちに魔族の一派がこの地に拠点を構え、魔族軍から離反する機会をうかがっていた頃、ファムファテルから一派へ接触して様々な交渉の上、より強固な結界を張りなおした。


 結界は、大人の胴体のような太さの半透明状の茨が複雑に絡まったものが、数十メートルの高さまで組みあがっている。

「痺れるから触れるなよ」

 思わず結界に触れそうになったユウキにサイファーが止めに入った。


「通るときはどうするんですか?」

 サイファーに行動を制されていた勇気が尋ねる。

「結界をを中和する膜を通したい者に張ってやればいい」

 ファムファテルは杖を振りかざして自身を含めた4人に魔法の膜を張る。

「これで結界を通れるぞ」

 4人は結界を超えて魔族の一派の拠点へ歩を進めた。



 拠点の中にある、ひと際立派な屋敷の二階にある一室にマリアとヒコがテーブルを挟んで向かい合っている。

「マルボークからの使節が来るそうよ」

「そうなのか。まあ、大事なことは大人で決めるだろさ」

「あら、それはダメよ」

「えっ?」

「例え決定権がなかったとしても、あなたはあなたの意見を言わなければならない」

「それは、どうしてだ?」

「それはもちろん」


 マリアは背筋を伸ばし、ヒコを指さして言った。


「あなたが、ここで一番偉いから」



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