40-2.使節派遣へ
旅の一行を迎え入れるために、レオン騎士団長は直属の部下を引き連れてマルボークの城門へ出向いた。
マリアに扮したバーバラはレオンの手を取って馬車を降り、城門の内側に案内視察された。
「遠路はるばる辺境の要害への視察に感謝いたします」
「お迎えありがとう。噂にたがわない、堅固な要塞ですわね」
レオンはマリアが影武者に入れ替わっていることは知っていて、バーバラもそのことは承知していた。
あくまでそのことは”極秘”だ。なので人目のある所ではそれらしい演技をすることが求められた。
「楽にしていい。君は情報部のものだと聞いている」
レオンは、自身の執務室にマリアを連れてきた。サリーとストロベリーも付いてきている。部外者の目がないので演技の必要はなくなった。
「マリア姫さまは婚約者に会うために、ここまでの旅を決意されました。お守りできなかったのは不徳の至りです」
バーバラはかしこまって頭を下げた。
「済んでしまったことはしょうがない。問題はこれからどうするかだ」
「あの、騎士団長さま」
サリーが思いつめた表情でレオンに声をかける。
「君はマリア姫の侍女だったかな。どうかしたか」
「姫さまの救出部隊の編成をいち早くお願いします!」
レオンは真剣な表情でサリーに向かって言う。
「マリア姫は魔族にさらわれたと報告を受けているが、大魔導士さまは違う見解をお持ちだ」
「どういうことですか?」
「曰く、マリア姫は自ら進んで魔族に同行したと」
「違います!」
「まあ聞いてくれないか。マリア姫が自分の意志で魔族に同行したとすると、彼らはそれを受け入れたという事に他ならない。違うかな?」
「うっ……」
「つまりだ、マリア姫の返還を求めるにしても、連れ去られた場合と自ら同行した場合とではこちらの対応も変わる。正確な情報が必要なんだ」
「姫さまは……」
「最悪の場合、マリア姫は命を落とす」
「姫さまは、ご自尊の意志で魔族と同行しました」
「……本当だね?」
「はい」
「わしの言った通りだったじゃろ?」
「そうですね」
数時間後の騎士団長の執務室で、ファムファテルは得意げに話している。
「マリア姫さまの取り扱いについて、正式な折衝が必要になりましたね」
そう語るのは、黒髪の青年将官だった。
「そうじゃな、こちらから出向くしかあるまい」
「人員はいかがいたしましょう」
「異世界よりの来訪者には異世界人じゃ。もちろんわしも行くが」
「またセッカを?」
「おぬしも付いてこい。ユウキ。異世界交流のいい機会じゃ」
「わかりました。出張帰りの妻を労ってやりたかったですが」
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