39-2.マリアとジェノム
マリアが不凍の森にある魔族の拠点に入って三日になる。
この地で営まれている魔族たちの生活は、マリアの想像と大きく違っていた。
自分たち人間と何ら変わらない。日の出とともに目覚め、日中は働き、日が落ちると眠る。
マリアにはお目付けの魔族がつけられている。その魔族は若い女性で、名前をジェノムと言った。
ジェノムは緑色の髪をしていて、長い髪を後頭部の高い位置で一つ結びにしていた。額に逆三角形の配置で短い3本の角が生えていて、肌の色はグレーだが血色は不思議と生気に満ちていた。
マリアはジェノムを不思議と気が合って、マリアが魔族の拠点のあちこちを視察している間、ジェノムと二人でおしゃべりに興じていた。
「ねえジェノム、魔族ってみんな無条件で超常的な力を持っていて、人間を超えるものみたいに思ってたけど、案外そうでもないのね」
「そうね。見た目がちょっと違うだけで本質的には変わらないの。体力だったり魔力容量だったりは平均的にちょっと高いみたいだけど」
「ちょっと待って、魔力容量って何?」
「魔力容量は、魔力の容量だよ」
「ジェノムー……!」
「ごめんごめん。マリアは魔法使えるんだっけ?」
「ええ、使えるわ」
「魔法を使えための力の根源は、自分自身の内にあるって習った?」
「ええ、それが”魔力”よね」
「じゃあ、その魔力はどこから生まれたもの?」
「え……、考えたこともなかった」
「魔法を使って魔力を使い切っても、疲れたりするわけじゃないし、健康上問題が出るわけじゃないじゃない」
「うん」
「魔法を使う素質がなくて魔力を持たない人もいるけど、その人は普通に生活する上で何か困ることもないわけよね」
「そうね」
「わたしたち魔族は研究の結果、”魔力とは周囲の自然から受け取るもの”と結論付けたの」
「自然から?」
「そう。例えばここみたいに自然の木々に囲まれた場所は、そこにいるだけで周囲から魔力を受け取れるの」
「そっか、その受け取れる魔力の上限が魔力容量なのね」
「うんうん。それで、より効果的なのがこういうやつね」
ジェノムは、身に着けていたペンダントをマリアに見せる。それは赤い色のしずく型をした石だった。
「宝石?」
「そう。わたしの世界にある宝石」
「そういえば、こっちでも魔法の杖を作るときに宝石を埋め込んでるわね」
「そうなんだ。魔力に関する研究もちゃんとしてるのね」
「ねえ、魔族ってもしかして」
「ん?」
「魔法を操る力に優れてる種族っていう意味?」
「ご名答」
「じゃあさ、そっちの世界にはそうじゃない種族もいたってこと?」
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