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37-2.マリアはどこへ(3)



「出会ってしまったのか。部屋から出るなとは申しつけてあったんじゃがの」

 ファムファテルは物知り気にそう言った。

「裏切者とか言ってた奴のことかい?」

「そうじゃ」

「じゃあやはり、その裏切り者を追いかけて町の中まで押し入ろうとしたわけか」


 ガーネットとサイファーが既知の情報を整理すると、改めてサリーが経緯について話し始める。

「姫さまは、お身体を整えるために貴賓室を退室なされました。私は少し遅れて姫さまを追いかけたのです」

「確か、一緒に行かずに遅れて行ったのはお茶の用意のために奥の控室に行ってたからよね」

 セッカが思い出しながら補足した。


「そうです。本来なら常にそばに居なければならなかったのですが……」

「あたしもちょっと不注意だった。ごめんね」

「それからどうなったんだ?」

 サイファーが先を促す。


「私が姫さまに追いついた時、姫さまは銀髪の魔族の男と対峙していました」

「そいつとは一度戦っていたんだっけ?」

「はい。その時は近衛の精鋭も付いていたので撃退出来ましたが」

「結構な深手を追わせていたはずなんですけどねー」

 ストロベリーが言う通り、銀髪の魔族の男はジェットの銃弾を受け、マリアの雷撃を込めた剣で片腕が不随になるほどの深手を負っている。

「見た感じ、完治していたと思います」

「こちらの世界と同等の治癒魔法の技術がありそうじゃな」

「はい」

「話を進めようか。……魔族の男は一人じゃなかったんじゃろ?」

「はい。人間の少年を連れていました」

「人間の?」

「少なくとも私にはそう見えました。ファムファテルさまの方がご存じかと思いますが」


 サリーがファムファテルに話を振ると、皆が一斉にファムファテルのほうを向く。

「うむ、その少年は間違いなく人間じゃ」

「姫さまは、その少年を解放するように説得していたのですが……」

「!? そうなのか?」

 ファムファテルは驚いたようにして尋ねる。・

「はい。そこで色々ありまして、魔族の男が少年を解放する振りをした際に隙を突かれて……」

「マリアらしくないですねー」

「……」

 ストロベリーの感想をサリーは聞き流した。


「その魔族の男は、どうやってザグレーブから離れて行ったんだい?」

「両脇に姫さまと少年を抱えたまま飛んでいきました。東側の城壁を越えて行ったので、途中で合流したバーバラに追ってもらったのですが、彼女も見失ってしまいました」

「飛んで行ったのは、東南の三日月の森のほう?」

「いいえ、東北方面だったそうです」


「東北……、不凍の森じゃろうな」

 ファムファテルは物知りげにつぶやいた。



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