37-1.マリアはどこへ(2)
「これ、まずは皆落ち着け」
ファムファテルが混乱している一同をたしなめる。
「そうだ、魅了魔法だ」
ストロベリーに掴みかからんばかりに興奮しているミーナを抑えていたジェットが思い出したように言った。
「魅了魔法だと?」
ファムファテルが少し驚いて聞き返す。
「彼女、無意識に魅了魔法をかけてしまう癖がありましてね。魔法学院でもちょっと問題になってたんです」
ジェットはストロベリーと同じ魔法学院の卒業生で、在学期間は1年被っている。
「なんと! 無意識とな」
「慈愛の女神の加護でも憑いてるですかね」
「女神憑きなんぞ聞いたこともないがの。どれ」
ファムファテルはそう言うと、ロベールの額に自身の杖をかざして魅了魔法を解除した」
正気に戻ったロベールは、うつむいて次第に顔が赤くなっていく。そして部屋の外に飛び出して行ってしまった。
「あらあらー」
ストロベリーは平然とロベールを見送る。ミーナはそんなストベリーをキッっと睨んでロベールを追いかけて行った。
廊下を駆けていくロベールとそれを追うミーナが、サリーとバーバラがすれ違う。
サリーとバーバラは不思議そうに二人を眺めながら貴賓室に戻った。
「何かあったんですか?」
「実は……」
セッカが、サリーとバーバラにおおよそのあらましを説明した。
「セッカさんにストロベリーの悪癖をちゃんと説明してなかった私のミスです。お騒がせして申し訳ございません」
ストロベリーとロベールを貴賓室で二人きりにしてしまったのはセッカだが、セッカはストロベリーの”無意識に魅了魔法”を使ってしまう気質を知らなかった。貴賓室を出る際、セッカにその説明をしていなかったサリーは自分の責任を感じた。
サリーは部屋の中の一同に向かい直り深々と頭を下げて謝罪した。
「済んだことをとやかく言っても仕方あるまい。それより」
ファムファテルはストロベリーが起こした騒動に終止符を打ち、本題に入る前に一呼吸置く。
「サリー、マリアはどうした?」
冷静になった一同が周囲を見渡す。部屋の中にマリアがいないことに改めて気が付いた。
「姫さまは……、魔族の男にさらわれました」
「……!」
サリーの言葉に、一同が驚愕する。
「銀髪の大男か?」
「はい」
ファムファテルは、皆よりは冷静にマリアをさらった魔族の男の容姿について聞く。
「アタイらが門で戦っている間に、別の所から魔族に侵入されてたってことかい?」
「いや、そういうことではない」
ガーネットの疑問にファムファテルが答える。
「門での戦いが始まる前に、その魔族の男は庁舎の中にいた感じでした」
サリーは、マリアがさらわれた経緯について話し始める。
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