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36-2.マリアはどこへ(1)



「残念だけど見失ったわ。人の足で追えるものじゃなかった」

「そうですか……。報告するしか手はなさそうですね。方角は?」

「北東だね」



 北門ではザグレーブ防衛隊が魔族軍の撤退を見送っていた。追撃は仕掛けずに警戒態勢を整えたまま、南東方向に向かう魔族軍を注視している。

「三日月の森の方向だな」

 西門からやってきていたサイファーがつぶやく。

「三日月の森の迷宮の入り口付近はすでに奴らが要塞化していてそれなりの数が常駐しとる。今回来ておったのはそこから切り崩した軍じゃろう。だから無理はせなんだんだろうな」

「本来の業務を疎かには出来ないということか」

「そうじゃ」


 西門から呼び出したサイファーとガーネットがファムファテルの下に訪れたところで魔族軍の撤退が始まっていた。

「それで、どうじゃった? 西門での戦いは」

「魔法戦力もなかったし、どうということは無かったな。機動力の髙い者で押し通ろうとしたんだろうが無理なく抑え込めた」

「そうか。ご苦労じゃったな」

「それで、なんの目的があって落とす見込みもない人数で寄せて来てたんだっけ? 裏切り者がどうと言ってたけどさ」

 ガーネットが、忘れかけていた問題を掘り返す。

「そうじゃった。マリアにも聞かせねばならんし、庁舎の方に戻ってから話そうかの」


 そうして、一行のうち戦闘に加わっていた4名とファムファテルは庁舎の貴賓室に戻る。


 貴賓室の扉を開けて5人が目にしたのは、乱れた服装のままソファーの上で寄り添うロベールとストロベリーだった。

「これは……、どういうことじゃ?」

「ロベールさま! 一体どういうことですか!」

 慌ててミーナがロベールの下に駆け寄る。

「ロベールさまって、案外やるね」

 ジェットはなぜか嬉しそうにしている。

「マリアはどうした? おらんようじゃが」

 ファムファテルは混乱した状況よりマリアがいないことを気にしていた。


「なんだか騒がしいわね。どうかした?」

 セッカがエイムを連れて貴賓室に戻ってきた。

「セッカか、どこに行っていた?」

 ファムファテルが尋ねる。

「あたしがエイムさんとここに戻ってきたとき、その……そういう声が聞こえてきたのでしばらく外していたんですよ」

「マリアは見んかったか?」

「ああ……そういえば……。中にいるはずないのに、考えてもみなかった」

「お付きのメイドと影武者もいないようだな」

 サイファーがサリーとバーバラもいなくっていることに触れる。


「突然ロベールさまに迫られちゃってー。キュンとしちゃって拒めなかったんですー」

「ああああ!」


 ストロベリーが事情を話すと、ミーナはひどく動揺した。




ここまでのご愛読ありがとうございます。

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