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35-2.狙撃



「ファムファテル様、敵が銃への対策を講じて前進してくる前に先制をかけるべきだとは思いませんか」

「まあ、それが出来るならな」

「相手の指揮官はどれだと思います?」


 エイムは、ザグレーブ防衛隊の魔法銃部隊が持っているボルトアクションライフルより一回り大きな銃を革製のカバーから取り出しながら言った。


「お主……それは?」

「試作の最新型です」

「遠眼鏡付きの超長距離型か。もう実戦に出せるほどの出来になっておるのか?」

「私の照準魔法(スキル)込みですけど」

「お主しか使えないなら完成とは言えんのお」

「まあ、そうですけどね」


 道具というものは、一定の技術を持った者が等しく扱えるものでなくてはならない。

 それは武器とて同じことである。


 エイムは、街道での魔物退治で魔法銃の実戦経験を日常的に積み上げてきた。

 その結果、銃を撃つ時に”弾道を魔法でコントロール”する技術(スキル)をいつの間にか身に着けていた。

 これは誰にでも出来る事ではない。

 エイムが取り出しているスナイパーライフルはまだ照準が安定せず、魔法銃の訓練を受けたものなら誰にでも扱える代物ではない。

 エイムだけが使える武器であった。


 ファムファテルは魔族軍の隊列を観察している。

 伝令の向かう先、指示の出どころをおおよそ把握したところで周りを見渡すと、そばにセッカが立っていた。

「セッカ、どうしてこちらに来た? お主が来てもやれることはないぞ」

「ファムファテル様、エイムさん、お話があります」



「それは本当か?」

「ストロベリーさんは王城内の教会の聖職者です。受胎の見立てに間違いはないでしょう」

 ファムファテルの問いにセッカが答える。

「エイムや……それなら連れてこなかったのに……」

「いやー、ただの不順だと思ってたんですけど……えへへ」

 エイムは苦笑いをしつつも嬉しさが隠せない様子だった。


「そういうことならエイムはここから外す。セッカはエイムを庁舎へ連れて行ってくれ」

「わかりました」

「あっ、でも一発だけ仕事させてください」

「エイム……無理は」

「指揮官だけやっちゃえば終わりますから。ねっ」

「むう……撃ったらすぐ下がるんじゃぞ」

「指揮官はどれですか?」


 ファムファテルは魔族軍の隊列に向き直り、エイムは射撃姿勢を取りスコープを覗き込む。


「中央からやや右、一番奥に線の細い青い顔の優男が見えるじゃろう」

「眉間に角が一本、白いスカーフのやつですね」

「そいつじゃ」

「撃ちます」


 ひときわ大きい発砲音と共にスナイパーライフル専用の先の尖った円錐型の弾丸が発射された。

 弾丸は魔族軍指揮官の喉の少し下に命中して、彼の首を吹き飛ばした。

ここまでのご愛読ありがとうございます。


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